当社はGreat Place To Work® Institute Japanが主催する2022年版日本における「働きがいのある会社」ランキング(従業員25-99人部門)にて、ベストカンパニーとして4年連続選出されました。この受賞は、私の理想が徐々に実現しつつある証であるとうれしく感じています。

私は創業にあたって、単に事業を大きくして利益を上げるのではなく、会社に関わるすべての人が幸せな人生を歩めることを目標にしたいと考えました。今回はプリンシプルの人と組織についての考えを書きます。

ビジネスモデルでの差別化は難しい

プリンシプルはデジタルマーケティングのプロフェッショナル集団です。「コンサルティング」「データ技術」「運用・実行」の分野で高いレベルのサービスを提供していますが、トータルでサービス提供できる企業は日本では少ないので同業他社とは差別化されています。

しかし、プリンシプルの事業は、人の優秀性と生産性が基本となる労働集約型のビジネスモデルです。そのため他社が同様のビジネスモデルで攻めてくる可能性があります。つまり、ビジネスモデルでの差別化は難しいと言えます。

プリンシプルの戦略:人を活かす組織

では、プリンシプルが勝ち残るにはどうすればいいのでしょうか。

私は、それは「人」であり「組織」であると考えます。

私は外資系、日系、ベンチャーなどで働いてきましたが、人や組織の在り方によって働きやすさに大きな差が出ることに気づきました。自分が活かされたり、力を発揮できなかったり、成長できたり、できなかったりしたのです。つまり、環境によって発揮されるパフォーマンスは変化したのです。その経験から、プリンシプルはすべての人が活かされ、成長できる組織にしたいと考えました。

以下では、私が得た経営における大きな示唆を、2冊の本とともに紹介します。

適切な人をバスに乗せた後に目標を選ぶ

1つは「ビジョナリーカンパニー2:飛躍の法則」(ジム・コリンズ著)です。全米1000社を超える企業を調査して、傑出した業績を長期間持続させている偉大な企業の共通点をまとめたレポートです。

本書は、ビジネスモデルと人について重要な指摘をしています。

ビジネスモデルについては、「情熱をもって取り組めること」「自社が世界一になれること」「経済的原動力になれること」の3つの輪が重なった部分を1つのことに長けたスペシャリストであるハリネズミのように一点にフォーカスしなさいと書いています。当社もハリネズミをめざしたいと考えます。

企業の人(と文化)については、「偉大な企業の特徴」として述べられています。第3章の「誰をバスに乗せるか?」において著者は「偉大な企業は、適切な人をバスに乗せ、不適切な人をバスから降ろし、その後に目標を選ぶ」と言うのです。これは戦略よりも人が重要だという指摘です。

環境変化に合わせて企業は戦略を柔軟に変える必要がありますが、そのときに価値観を共有した適切な従業員がいれば、正しい道を歩むことができるのです。確かに、GAFAをはじめとする成長を続ける企業には共通の価値観と企業文化があり、バスに乗せる人を選んでいるようです。

戦略と人・組織の両立

もう1冊を紹介しましょう。「ストーリーとしての競争戦略」(楠木健著)です。

楠木先生は競争戦略について次のように書いています。

「競争優位(差別化)を確立するための戦略にSP(Strategic Positioningポジショニング)とOC(Organizational Capability 組織力)の二つがあり、両方ともに競争優位を持続させる論理を含んでいる。」

2つの書に共通しているのは「戦略と人・組織は、いわばクルマの両輪であり、その2つが強力であることで企業は差別化される」という指摘です。

創業の志―Win-Winの会社

私は、「人生でやりたいことは何か?どのように生きたいのか?」と問い、覚悟を決めて創業しました。単にビジネスモデルが他より秀でているだけでなく、人として幸せに生きることができる。夢や目標を達成できる。自立した個人が家族や同僚、顧客、社会に良い影響を与えていく。それらを理想としてプリンシプルを興しました。

私はプリンシプルの戦略だけでなく、組織や文化についても社会から評価されたいと願っています。その意味で、今回の働きがいのある会社ランキング受賞をうれしく思っています。まだまだ課題の多いプリンシプルですが、当社に関わるみなさまが幸せになれるWin-Winの会社にしたいと、決意を新たにしています。

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楠山健一郎

国際基督教大学卒。シャープ、サイバーエージェント、トムソン・ロイターを経て株式会社プリンシプル設立。

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