本記事で触れているGoogleアナリティクスは、ユニバーサルアナリティクス(UA)を前提としています。
GA4を対象とした記事ではございませんので、ご注意ください。

こんにちは、プリンシプルの楠山です。今週は2016年9月にGoogleアナリティクスモバイルアプリ英語版向けに追加された分析補助機能、つまり大量なデータから意味ある知見を導き出してくれる「Google アナリティクス Assistant機能」をアメリカで自社のECサイト使って見てみました。
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1:Google アナリティクス Assistantとは?

「Google アナリティクス Assistant」は、2016年9月にGoogleアナリティクスモバイルアプリ英語版向けに対して追加された機能で、GoogleアナリティクスがAIを活用し、数々のデータの中から優先度の高い知見を自動的に導き出す、というものです。その裏には、Googleの機械学習機能が搭載されているようで、使えば使うほど、よりユーザーにとって役立つ知見を出してくれる、という。
これにはただデータを蓄積する、眺めるのではなくて、アクションにつなげ、最終的に売り上げにつなげなければ意味がない、というメッセージを強く感じます。
参考:
https://analytics.googleblog.com/2016/09/explore-important-insights-from-your.html
ということですので、早速アメリカで入手したiPadにアプリをインストールして、自社のECサイトを例に、その精度や使い勝手、そして本当に意味ある知見を得られるか、を検証してみました。

2: 通常のGAで分析:セッション数が36.2%もアップしたのはなぜ?

弊社のECサイト「kusuyama.jp」では2016年6月のセッション数が5837に対して、2016年7月が7950セッションと36.2%もアップしています。
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この増加の理由を知りたい時に、まずは流入元を見てみました。
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すると上記のとおり、自然検索流入が32.49%アップし、またそのほかにもDirectから42.94%、Paid Searchから64.78%のトラフィックの増加があることが確認できます。
ちなみに自然検索について更に深く分析を行うため、検索クエリレベルでの増減を確認したいところではありますが、(Not Provided)となり、分析できません。そこで、後ほどGoogle Search Consoleで深掘りしますが、まずはここで一は旦置いておきます。
現時点ではセッション数の増加は、絶対数において、自然検索流入がメインで、さらにそこを深堀しよう、というアクションに落ちます。

3:Google アナリティクス Assisitantでの分析

一方、この状況を「GoogleアナリティクスAssistant」がどのように分析をし、知見をくれるか見てみました。
まずはインターフェースですが、左のメニューの一番上に「Assistant(8)」とあります。(8)の意味はレポート数かと思いましたが、レポートはデフォルトで10個あるので、何の数字かはわかりません。
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実際に、2016年6月と7月の比較があるので見てみましょう。大きなわかりやすい太文字で「前月比で36%セッションが増加している」、と書いてあります。事業責任者としては結論が出ているのでわかりやすいです。この下の「VIEW INSIGHT」をクリックします。
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次に出てきたのは「Recommendations」、つまり「GoogleアナリティクスAssisitant」からのアドバイス、ということになります。読みますと「以下のセグメントが36%アップに大きな影響を与えています。」とあります。
実際に見てみると、先ほどGoogleアナリティクスのPCで確認した自然検索の部分は指摘しています。また3番目の「アメリカ向け地域へのリスティング広告が増えた」、のは戦略通りなのでこちらも事業責任者としては認識しています。ただ2番目の「Boston地域から、PCで、Direct」が増えている、という知見は正直、すぐに自分で調べて出る知見ではない、と思いました。おそらく時間をかけて、デバイス別だったり、流入であったり、ユーザータイプなどのセグメントを適用すれば、何か見つけ出せたであろう情報かと思います。そのような情報がこちらに、優先順位が高いものとして出ているのは驚きです。
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実際にPCのGoogleアナリティクスを見てみると確かにマサチューセッツ州のボストン地域(都市)からのアクセスが600セッション増えていました。なぜボストンから増えたか?というところはさらに深堀しなければならないのですが、そのなぜ?がわかれば再現性が効く施策であればROIを高めるためにそれを継続しよう、もしくは他の地域に展開してみよう、となるわけです。
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そのほかにも、「リスティング広告のランディングページで、コンバージョン率が低いページがある」、というアドバイスがあり、そのページで優先順位が高いページを抽出してくれています。この情報などは、リスティング広告の運用やROI向上にダイレクトに結びつきます。
ちなみにアドバイスとしては下記が挙げられています。

  • ビッドしているキーワードのパフォーマンスが悪い
  • 広告文が陳腐化している、もしくは正しい訴求ができていない
  • 3:ランディングページとの関連性が低い

当たり前のアドバイスといえばそうですが、AI系のソリューションは、ときどき的外れなアドバイスという認識を持っていましたが、Googleアナリティクス Assistantはそのようなことはなさそうです。
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4:十分実用性のあるものと感じる結果に

率直な感想として、事業側の責任者が一目で全体を把握し、問題点を見つける、という点においては十分実用レベルとの感想を持ちました。普段であれば分析担当が時間をかけて探す内容であったり、ダッシュボードが固定化している中でなかなか細かいところまで見れなかったりするわけですが、それを短時間で補ってくれている、という感想です。
そしてその分析時間と課題発見精度が改善されることで、アクションがすぐに取れるという印象を持ちました。
一方で、Googleアナリティクスのデータを元にして、独自のロジックで知見を導くアドバイスツールを提供している会社にとってはGoogleがこのような分野に進出してきたことは大きな脅威かもしれません。またデータ解析コンサルタントもGoogleのAIに仕事を一部奪われる部分があり、、より機械との差別化を求められるでしょう。
その差別化という点では、おそらく「Googleアナリティクス Assistant」は汎用的なECサイトやコンバージョンを発生させるサイトの知見を精度高く出す形で進化していくと思いますが、各企業の独自指標を取得するための特殊なカスタマイズや、広告データ、MAデータ、自社CRMデータなどのデータ統合、データプラットフォームを構築する側面などは引き続き付加価値のある仕事として残るでしょう。
あらためて思ったよりも実用性が高く、様々な今後の事業プランに影響する機能だと思いました。

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楠山健一郎

国際基督教大学卒。シャープ、サイバーエージェント、トムソン・ロイターを経て株式会社プリンシプル設立。

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