今週はIDCが2016年10月に発表した世界のビッグデータ市場について記載します。
世界的な調査会社であるIDCが2016年10月3日に発表した内容によると、世界のビッグデータ市場は2020年に2030億ドル(約20兆円)となる見込みで年平均11.7%の2桁成長が続くとの予想をしています。
IDCJapanが2016年6月に発表した日本国内の2020年のビッグデータ市場予想額が2889億円となっており、この数字を全世界の市場規模と比べると、日本のシェアは世界全体の約1.5%となります。
なお、本記事はIDC社からのプレスリリースおよび下記記事を一部翻訳引用しております。
http://www.techrepublic.com/article/big-data-business-analytics-to-hit-203-billion-by-2020-says-idc-report/
画像引用:https://en.wikipedia.org/wiki/International_Data_Corporation
1:データ需要は高まり2桁成長が続く
IDCによると、ビッグデータ(BDA:Big Data Analytics)市場は2016年に過去最高の1300億ドル(約13兆円)となる見通しです。さらに2020年までに2030億ドル(約20兆円)に達し、年平均で11.7%の2桁成長が続くとの予想です。
IDCのDan Vesset氏はレポートの中で、継続的な成長の背景に下記があると述べています。
- 1:IoTなどあらゆるものからデータ取得できる環境整備
- 2:データを処理する技術革新
- 3:データドリブン(データを根拠とした)な意思決定などの動き
2:金融と主要5業種が市場を牽引
レポートの中では、ビッグデータの市場をけん引する産業についても述べられています。
金融業(銀行・証券)が市場のほぼ50%、また食品・医療などの製造業、自動車、電機などの製造業、連邦/中央政府、およびプロフェッショナルサービスが5つのメインの産業として2020年まで市場の成長を牽引していくそうです。
特に金融業のビッグデータへの投資は、リスク管理、不正防止やコンプライアンス関連の活動などを中心に2016年には170億ドル(約1.7兆円)に達し、今後も急速に投資を増やしていくと予想しています。また今回の調査した18業種のうち、16業種のおいて、2020年にまでに2桁以上の成長が見込まれると予想しています。
3:アメリカと500人以上の企業が市場を牽引
企業規模の面では、500以上の従業員を持つ大規模な組織が市場を牽引し、2020年には1540億ドルと全市場の約3/4を占める、と予想しています。一方で今後は中小企業のデータ活用も活発化してくることが予想されています。
また国別という観点では米国企業が2020年には950億ドルと、世界のビッグデータ市場の約半分を占めることになりそうです。
4:サービス分野での成長が加速
市場規模が最も大きいカテゴリーは「関連サービス」のようです。2015~19年の大半で、ビッグデータ市場の半分以上を関連サービスが占めているようです。こちらにはコンサルティングなども含まれています。またソフトウェアへの投資も同様に高い成長が見込まれ、2020年に600億ドル、ハードウェアへの投資が同時に300億ドルとの予想です。
また技術面についてですが、Forrester Research社の最近の報告書では、ビッグデータの市場の広がりは、幅広い種類の膨大な量のデータを高速かつ動的に整理し分析することを可能にする、非リレーショナルな広域分散データベースシステムであるNoSQLデータベースの需要を喚起するとのことです。
5:日本国内は急速に拡大。2020年には約3000億円市場へ
国内では2015年ビッグデータテクノロジー/サービス市場規模は947億7,600万円、前年比32.3%増の高成長となっています。今後も新たなビジネスの基盤として活用が広がり、2020年までに市場規模は年間平均成長率25.0%で拡大した結果、2,889億円に達すると予測しています。仮にそうなった場合、世界全体の1.5%を占めるにとどまります。
グラフ出所:http://www.idcjapan.co.jp/Press/Current/20160613Apr.html