インハウスSEO担当者で、Googleサーチコンソールへの理解が進むと「検索パフォーマンス」レポート一辺倒から抜け出して、左サイドバーのさまざまなレポートや機能を覗いてみたくなります。サーチコンソールで提供されている情報は何かしらSEOに役立つものである、という前提で眺める中で、ひときわ目に入るのが「ページ」>「ページがインデックスに登録されなかった理由」のレポートです。
この「見つかりませんでした(404)」は404エラーページの存在を表しています。一定規模以上のECサイトを運営されている担当者の場合は、この404エラー数が1万を超える、というケースもあるでしょう。
今回のテーマは、今もなおいくつか誤解されがちな404エラーについて、担当者の皆様が時間とお金を浪費することなく正しくSEO視点で404エラーレポートを活用いただけるよう、Google関係者の発言を適宜引用しながらまとめていきます。
実は重大でないこと
404エラーの存在はサイトの評価を下げる?
サーチコンソールで提供される情報はGooglebotへの最適化に関連するものという認識に立つと、
という表示は、担当者にとって気持ちの良いものではありません。404エラーページには何も情報を記載していないため、いわゆる「ユーザーにとって価値の低いコンテンツに該当しやしないか」という疑念も頭をよぎります。
しかしながら、これは2011年にGoogle公式ウェブマスターブログで同社のJohn Mullerに明言されているとおり、404エラーページの存在自体がサイトの評価を貶めることはありません。
- https://developers.google.com/search/blog/2011/05/do-404s-hurt-my-site?hl=ja(Google検索セントラルブログ)
- https://support.google.com/webmasters/answer/2445990?hl=ja(Search Console ヘルプ)
実際、適切に構成・運営されているサイトの中であっても、毎日のように商品の更新を行なっていれば品切れ=404エラー対応をするページは必ず存在します。(同氏曰く、品切れに適切に404を返しているため”404エラーのあるサイトは健全とさえ言える”、というレトリックをも残しています)
404ページへリンクのあるページの評価は下がる?
404ページは確かにユーザーにとって重要性の低いページですが、その存在自体がサイトの評価を下げることはない、ということは分かりました。では、内部リンク構築の観点で、そのように重要性の低い404ページに対して内部リンクを持つページの評価(ページ単位評価)は危険ではないのでしょうか。
この点も永らくさまざまな憶測を生んでいましたが、2017年4月のSEMPost(Webマーケティングメディア)のライターのメンションに対して、GoogleのGary IllyesがTwitterで「(404エラーページへのリンクがページ評価を下げることは)無い」と表明しています。
“Jennifer Slegg(SEMPost)「Googleは404ページへのリンクのあるページのランキングを下げているの?そのようなことをやっているかどうか分からなくて。」
Gary(Google)「いや。Noだね。そんなことにいったい何の意味がある?」<拙訳>”
http://www.thesempost.com/google-demote-pages-link-to-404/ (TheSEMPost:英語)
ただし、ややこしい言い方を許容いただくならば、404エラーはプラスになる内部リンクの効果を機会損失させている、とは言えるので、直せるものは直しておくと良いです。直せるものを放置するのはもったいない、ということです。
404ページをnoindexする必要は?
では、404ページは以後クロールする必要がなく、Googlebotのムダを省くためインデクス拒否をする必要があるのではないか?と、そのようなことに思い当たる方がいるようで、たとえば「404 noindex」などと検索すると404ページにはnoindexが必須、という日本語記事をよく見かけます。
この議論に関しては、弊社は「万一の保険としてならnoindexを設定しても悪くはないが、投資対効果で判断」という見解です。404エラーページは、Googlebotにとってはコンテンツの良悪や寡多は認識されず、単なる404です。コンテンツの品質以前に、単なる404ページとして処理される、ということです。
サーバレスポンスの管理において運用上のミスにより不一致を起こす可能性はあり、noindexをページに設定することは低品質コンテンツとして誤ってインデクスされてしまうリスクを減らすことにはつながります。ただし、個別にアラートされている、それこそ何千というページに大手を振ってひとつひとつnoindexを設定することは現実的ではありません。テンプレートベースで一括対応できるならやっても良い、というレベルです。
見るべき404エラーのポイント
ここまでの内容では、ともするとサーチコンソールの404エラーレポート、いや、そもそも404エラーのチェックはSEOに意味がないのでは、とまで思われかねません。
確かに、個別のページ単位で、後継商品移行におけるリダイレクト漏れ(=新しい後継商品に正しくリダイレクトされていない)をモニタリングするレポートとしては意味を発揮しますが、それは「リダイレクト漏れ」として、問題の観点が別にありそうです。
本題となる404エラーについては、以下の点に注目して活用してください。
1. 内外リンクのURL誤り
先にしつこく記載したとおり、404エラー自体はサイトの評価を下げることはありません。これは、John Mullerが2011年に公式で述べているとおりです。
ただし、URLの誤りのため外部からのリンクが404ページについている、という場合は、話が変わってきます。確かに評価を貶めることはありませんが、せっかくの外部リンク=評価を404ページに渡してしまっているという意味で、機会損失を起こしていることになります。これは内部リンク、つまるところは社内の作業者によるURLの誤りでも同様です。
この正しいリンク先の逸失についてはいくつか原因が考えられ、以下の通りきり分けた上で対処を行うことができます。というのは、発見しても手を下せないエラーや、対処の必要のないものもあるからです。
リンク先 | 要因 | リンク元 | 対処法 |
静的ページ | URL(aタグ)の誤り | 内部 | URL修正 |
ページ終了 | 301リダイレクト または放置 |
||
URL(aタグ)の誤り | 外部 | 301リダイレクト または修正依頼(困難) |
|
ページ終了 | 放置 | ||
動的ページ | URL(aタグ)の誤り | 内部 | URL修正 |
ページ終了 | 301リダイレクト または放置 |
||
URL(aタグ)の誤り | 外部 | 301リダイレクト または修正依頼(困難) |
|
ページ終了 | 放置 |
静的か、動的かによって301リダイレクトの困難度合いは変わってくることが考えられます。
また、外部へのURL修正依頼も簡単なものではありません。広報活動などの成果として能動的に行なった外部リンクである以外、SEOのあるべき姿としてはすべて修正依頼を行なうのが望ましいものの、リソース的に難しいものがあります。心構えとして重要なのは、社内はもちろん、外へのリンク提供時に誤ったURLを渡さない、といったことです。
なお404ページへのリンク元は、404エラーレポートで個別のURLを選択、「URLを検査」をクリックすると確認できます。
2. 自然検索での404ページ流入
これは、自然検索に限ることではありませんが、ランディングページが404(ページがありません)であることほどあなたのビジネスのサイトに対してユーザー体験を損ねることはありません。SEOにおいても有効な訪問を無碍にしてしまう意味で、よろしくありません。
ここでは、Googleアナリティクス(UAとGA4それぞれ)を用いたデータ抽出の方法をお示しします。
UAの場合は、下記の手順です。
2. プライマリディメンションで「ページタイトル」を選択する
3. アドバンスフィルタ(絞り込み)であなたのサイトの404ページのタイトル(例: “ページが見つかりません” )で絞り込む
4. 適宜、アドバンスセグメントで「自然検索」を絞り込む
上記のプロセスにより、404ページに(自然検索で)ランディングしている数を「閲覧開始数」で知ることができます。
この数値はたとえば、そもそもの404ページのリダイレクト対応を優先すべきか、あるいはカスタム404ページへの改修をすべきかどうか、といった意思決定に用いることが望ましいでしょう。
GA4の場合は、下記の手順です。
2. ページタイトルを表示させた状態で、あなたのサイトの404ページのタイトル(例: “ページが見つかりません” )で絞り込む
3. 適宜、「+」ボタンを押下して、ページ/スクリーン > ページパスとスクリーンクラスを選択して、URLを表示する
まとめ
404エラーページについては、ユーザーエクスペリエンス上は(ページがありません、ということは)本来的に気持ち良いものではありません。ただし、そのことが404のSEOにおける誤解につながり、正しい投資を妨げ、今回挙げたようなURL誤りのエラー解消にまで対応が至っていないケースがまだまだあるように見受けます。
サーチコンソールはGAで見られないクエリをぼんやり見るだけのツールではありません。インハウスSEO担当者の方々はぜひ各機能を掘り下げ、有効活用してください。