SEOの軸として、テクニカルSEOとコンテンツSEOがあります。これらのアプローチは異なりますが、どちらもサイトの流入を増加させるのに有効であると考えられています。
しかし、テクニカルSEOとコンテンツSEOと一口に言っても、それらがどういったものか、そして、それらをサイト改善のどのフェーズで取り入れるべきか分かりにくいとも思います。
そこで今回は、サイトのトラフィック増大のためにテクニカルSEOとコンテンツSEOのどちらに取り組むべきか、それぞれの特徴を踏まえて解説します。
是非皆様のサイトの運営の一助としていただければ幸いです。
テクニカルSEO/コンテンツSEOのどちらに取り組むべき?
サイトの流入を拡大するためには、この二つの内どちらに取り組むべきなのでしょうか?
結論から言うと、コアコンテンツのタイプによって優先すべきSEOは異なります。
コアコンテンツに応じてSEO戦略を選ぶ
ウェブサイトをコアコンテンツの種類で区別すると、以下の二つに分けられます。
- コアコンテンツがデータベースである動的サイト…(以下「データベース系」)
例)EC、求人、不動産、マッチング系サイトなど - コアコンテンツがテキストを中心とした情報であるサイト…(以下「テキスト系」)
例)メディア、ブログ、コーポレート、ブランド系サイトなど
そして、データベース系のサイトにはテクニカルSEOを、テキスト系のサイトにはコンテンツSEOを優先して注力するのがよいと考えられます(コンテンツSEOもテクニカルSEOも、どちらも注力ができていない場合)。
これらをまとめると下表のようになります。
コアコンテンツ | サイトの例 | 優先するSEO |
---|---|---|
データベース系 | EC、求人、不動産、マッチング系 | テクニカルSEO |
テキスト系 | メディア、ブログ、コーポレート、ブランド系 | コンテンツSEO |
なぜデータベース系サイトには、テクニカルSEOなのか
データベース系サイトにおいてテクニカルSEOが優先される理由は、以下のようなデータベース系サイトの性質に対して、テクニカルSEOのレバレッジが効きやすいからです。
データベース系サイトの性質
- 動的(カテゴリー別)に、かつ、一律にコンテンツを生成する
- SERPs掲載を狙うのは(詳細ページではなく)一覧ページ
※一覧ページの例:(商品ページではなく)商品カテゴリごとの商品一覧、(物件ページではなく)地域ごとの賃貸物件一覧など
これらの性質から、コンテンツの量さえ豊富に揃えることができれば、主に以下のような点をゴールとしたテクニカルSEOが威力を発揮しやすいというわけです。
テクニカルSEOの具体例
- カバレッジの最適化(クローラビリティの改善、インデックスステータスの最適化など)
- クローラーによるコンテンツとサイトの理解(TitleやH1タグの改善など)
- 定量的に測定可能なUXの向上(セキュアな通信やページのスピードアップなど)
テクニカルSEOとは文字通り「技術的なSEO」であり、その本質はサイト開発の技術を用いて、上に並べたようなゴールを達成することを目的としています。そして、そのアプローチは人間(ユーザー)というよりは、むしろ機械(検索エンジンのクローラー)に向けられたものと言えます。
検索エンジンのクローラーが見ているのは、「良質なコンテンツがたくさんあるか」という点と、「よりよいUXが実現されているか」という点です。
そのため、コンテンツを量的に最適化することをゴールとするデータベース系サイトには、まずテクニカルSEOから取り組むべきと言えるでしょう。
補足:SEO観点から見たUX
上記で「定量的に測定可能なUXの向上」について言及しましたが、一点補足です。
それは現状、定量的に計測できないものでも、UXを考慮したサイト作りは非常に重要であるということです。セキュアな通信やページスピードは検索エンジンに直接的に評価されますが、それだけでは不十分だと考えています。
というのも、今後ロボットの技術が向上し、これまで定量評価できなかったUX的内容が評価されることもあり得るからです。仮に定量評価されなくても、SEOで呼び込むことができたユーザーにストレスを与えるようなサイトは多くの離脱を招くため、SEOによる集客を無駄にする可能性があります。
私は以前、UX向上を目指したサイト改善に取り組んでいました。その経験から、UXが非常に幅広く奥深いことを実感しています。
UXで考えるべき項目は多岐に渡ります。例えば、導線上にあるコンテンツそのもの、見せる順番、ページ数、グローバルナビゲーションに置くリンク、画像 or テキストなど、粒度も様々です。また、導線(リンク)が1つ欠けただけでユーザー離脱が起きるほど繊細な世界でした。
そのため、SEOで流入させたユーザーを逃がさないような「本質的なUXの向上」が非常に重要なのです。
なぜテキスト系サイトには、コンテンツSEOなのか
次は、テキスト系サイトでコンテンツSEOを優先する理由についてです。
コンテンツSEOは何を指すか
この記事では、「コンテンツSEO」を以下のように定義します。
コンテンツSEO = ユーザーの検索意図に対し有益なコンテンツを作成することで、流入の拡大を図る取り組み。
具体的には以下のような取り組みです。
コンテンツSEOの具体例
- キーワード選定
- ユーザーの検索意図の分析
- キーワードに基づくコンテンツ作成
テキスト系サイトでコンテンツSEOを優先すべき理由
これらを踏まえたうえで、テキスト系サイトがまずはコンテンツSEOに取り組むべき理由は、一般的なテキスト系サイトには、以下のような特徴があるためです。
テキスト系サイトの特徴
- メインのコンテンツは(一覧ページではなく)詳細ページ
- SERPs掲載を狙うのは詳細ページ
テクニカルSEOがどちらかと言うと検索エンジンのロボットに向けられていたものであったのに対し、コンテンツSEOは人間(ユーザー)に向けられたものであると言えます。
それはユーザーの検索意図に対応したコンテンツをサイトに掲載することで、ユーザーが実際に検索をしたときにSERPs上にひっかかるようにするものです。
そのためテキスト系サイトにおいては、「ユーザーの検索意図に合ったコンテンツ」を作成するコンテンツSEOが優先されるのです。
補足:「まとめ系ページ」から考えるコンテンツSEOのUX
何年か前からコンテンツSEOの一環として、「□□□□□ まとめ」や「□□□□□ ●●選」といったまとめ系のページを作成する方法が流行っています。
まとめ系ページは実際よく検索上位に出てくるほど効果はあるようですが、UXを無視した「まとめ」には要注意です。
SEOでは「良質なコンテンツ」が「数多く」あることが良いと考えられていることもあって、まとめ系サイトの中には、情報過多と言えるほど多くの内容を羅列するものがあります。
たとえば、「オススメの●●50選」のような記事を見たことはないでしょうか。50もの項目を何の工夫もなしに単純に並べただけでは、非常に読みづらく感じてしまいます。
このようなコンテンツはUXが悪く、せっかくSEOで集客に成功したとしても、離脱により多くのユーザーを失う可能性があります。そのため、あまりも多くの内容を詰め込むことは要注意であると考えています。
ゆえに、コンテンツの量を考えるときは、一度ユーザーになりきって、ストレスなく閲覧できる量を考慮し、1ページに掲載しきれない場合は複数に分けるなどの工夫をするようにしたいところです。
最後に
以上テクニカルSEOとコンテンツSEOについて、どちらから取り組むべきかをコアコンテンツという切り口から解説しました。
ただし、上記で説明したことはあくまで目安となります。皆さまのサイトに合わせて必要な手段を柔軟に選択していただければと思います。
なお、プリンシプルは特にテクニカルSEOが得意です。また検索意図の分析やキーワード選定など一部のコンテンツSEOでも実績ががございます。「サイトが現状どのような状態にあるのか分からない」などのお悩みがありましたら、サイトの無料診断や提案等も行っておりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。