プリンシプルでは、デジタルマーケティングに役立つ情報をまとめてメールマガジンとして毎月発行しております。その中から、今回はSEOに関する2020年上半期(1月〜6月)の主なトピックスをまとめてみました。
2020年上半期といえば、やはりCOVID-19に関するトピックスが多く、SEO業界においてもその影響が大きいと感じました。COVID-19の影には、恒例のアルゴリズムアップデートやその他重要なSEO関連ニュースもありましたので、この機会に一度振り返ってみてはいかがでしょうか。
上半期のSEOトピックス一覧
まずは、メールマガジン記載の全トピックを月ごとに簡単に振り返ります。
2020年1月
- January 2020 Core Updateの実施
- 2019年のSEO振り返りと2020年の展望
- PCの検索結果でのファビコンに関する調査結果
2020年1月は恒例のコアアルゴリズムアップデートが実施されています。コアアルゴリズムアップデートについては後述で簡単に解説します。
その他、検索結果画面のデザイン変更がありました。この時のSERPs変更はファビコンが導入され、大きな話題となりました。ファビコンは、サイト制作時には忘れられることもありますが、ブラウザのタブが複数開かれることが多くなった昨今では、忘れずに設定することの重要性が再認識されました。利便性向上、という面でも設定は忘れずにするようにしましょう。
2020年2月
- Search Consoleの新機能まとめ
- 地域ごとの検索結果の簡単なチェック方法
- 強調スニペットと自然検索結果は同一ページに重複することはなくなる
2020年2月は、SearchConsoleの新機能のまとめが主なトピックスでした。2019年から実施されていたSearchConsoleの新旧入れ替えの大きな進展がありました。「クロールの統計情報」などは現在も過去のUIで使用可能ですが、そのほかの主な機能は新UIで使用が可能になりました。いずれは全機能が新UIに移行するものと想定されます。
2020年3月
- 構造化データ「Event」に新しいプロパティ「延期」「中止」「オンライン」が追加(COVID-19の影響を受け)
- 1年以内にMFI全面移行をアナウンス
- 【Google OfficeHour】 WebmasterToolのエラー検出が厳しくなっている気がするが、変更はあった?
2020年3月は、COVID-19の話題が本格的になり始めた時期でした。そのため、COVID-19関連のトピックが含まれています。
健康への影響が大きいということもありますが、ユーザーがリアルで受ける影響をいち早く察知し、その情報をサイト運営者が知らせることができる仕組みを導入しました。もともと構造化データ「Event」を入れていたサイトの場合は、比較的早く導入ができたのではないでしょうか。
また、このタイミングで構造化データの重要性が再認識されたのでは、と感じております。当ブログの他記事でも構造化データについては複数回取り上げておりますので、関心のある方は合わせてご参照ください。
2020年4月
- 【Google Office Hoursから】リダイレクトの回数が5回以上でも見ることは見る
- 在宅勤務に伴い、デスクトップ検索率が再び上昇している
- Google 検索で COVID-19 に関するお知らせをハイライト表示できる新しい方法の導入
- 一時的にビジネスを止める場合のベストプラクティスについて(主にeCommerce)
2020年4月も3月に続いて、COVID-19関連のトピックスが多くなっています(3件全て)。
世の中の在宅勤務への大きな流れを受け、我々の生活様式も大きく変動しました。それに伴い、検索体験も変動が見られ、4月はデータからどのような変動が見られるかをご紹介しました。「移動しながら」の検索から「座って」の検索に移行するユーザーが多くなったとのデータが出ておりました。MFIの元運営されているサイトさんが多いと思いますが、モバイルとPCの連携をしっかり見直すことが大切です。
2020年5月
- May 2020 Core Updateの実施
- Google Seach ConsoleにCOVID-19関連の特別アナウンスの通知スペースが追加
- グローバルパンデミックの中、5つの検索トレンド
- 【Google Office Hoursから】既に古くなっているページはnoindex化してください
2020年5月は2回目のコアアルゴリズムアップデートが実施されました。「1月のアップデートで順位下落が見られたが、5月には回復した」といった事象も見られました。
そのほかは、引き続きCOVID-19関連のトピックスがありました。SearchConsoleとの連携が進み、管理しやすくなりました。COVID-19が落ち着くまでは活用できる仕組みだと思いますので、慣れていない方は触れておくことを推奨します。
2020年6月
- 【Core Web Vitals】3つの指標/指標の見方
- モバイルファーストインデックス(MFI)強制移行が延期になる可能性も?
- Google API における JSON-RPC および Global HTTP Batch エンドポイントのサポート終了
- JavaScriptおよびリンクに関するよくある質問
2020年6月は、「Core Web Vital」という新しい指標が加わりました。以前からSEOにおいてもUI/UXの重要性は認識されていましたが、具体的な指標として設定されたことは大きな意味があると考えられます。
そのほかは、MFIの強制移行時期が延期になる可能性がある、というトピックがありました。こちらもCOVID-19の影響によるものと考えられます。とはいえ、MFI移行はいずれ行われるので、まだモバイル対応ができていないサイトは対応することを推奨します。
重要トピックス
特に大きなトピックだと感じた以下の2点について、それぞれ簡単に解説します。
- コアアルゴリズムアップデート
- Core Web Vitals
コアアルゴリズムアップデート
こちらは定番のSEOトピックといっても過言ではありませんが、定期的に話題に上がるコアアルゴリズムアップデートはやはり順位に与える影響も大きいです。国内外の各SEOメディアが取り上げているので、変動については参考になることも多いと思います。
その他、各SEOツールも順位変動について「〇〇の分野は変動が大きい」などの情報を出していることもあるので、参考になります。
実施時期の傾向
コアアルゴリズムアップデートの時期については、年に2-3回実施されることが多いです。
直近の3年間では、
- 2018年3月
- 2018年4月
- 2018年8月
- 2019年3月
- 2019年6月
- 2019年9月
- 2020年1月
- 2020年5月
と、(2018年は特殊ですが、)およそ3-4ヶ月に1度実施されることが多くなっています。過去データから推測すると、今年は9月-10月あたりに実施があるかもしれません。
アルゴリズムアップデートの対処法
また、アップデートがあった際に話題になるのはその対処法です。基本的にはGoogleは、「アルゴリズムアップデートに対しての対策は不要」との姿勢を打ち出しています。日頃からコンテンツの品質向上に取り組むということが本質であり、検索アルゴリズムの変動によって対処を変えることは推奨はしていない、とのことです。ドキュメントも出されており、日頃から運用をしっかり行うことが対策、となります。
とはいえ、何もしないということは難しいと思いますので、アルゴリズムアップデートが起こった際は「自サイト:サイト内のどのコンテンツが大きな影響を受けているのか」「他サイト:全体としてどのような分野が影響を受けているのか」を合わせて分析して傾向を掴むことが大切です。
その中で、「Googleが今の時点でユーザーニーズに合っていると判断しているコンテンツは何か」を探り、自サイトで展開できそうであればアップデートしていく、ということが対処法として考えられます。
年に数回はあることなので、サイト運用の中では定期的に起こるものとして、日頃から意識することが大切です。
Core Web Vitalsについて
Core Web Vital(サイト内における、ユーザーの主な操作・閲覧体験を定量化した指標)が重要シグナルとして追加されることが5月にGoogleから発表されました。
実際の導入は2021年予定ですが、UX面での改善はシステムが関連することが多く、工数が多くかかることが想定されます。今のうちから取り組むことを推奨します。
Core Web Vitalの3つの指標
Core Web Vitalの指標には、
- LCP:Largest Contentful Pain
- FID:First Input Delay
- CLS:Cumulative Layout Shift
の3つがあります。
すごく簡単にいうと「ページにアクセスしたから安定して操作できるまでの時間」が指標になっているイメージです。指標としてはシンプルですが、(ページ速度改善と同様に、)実際に改修を加えるとなると結構骨の折れる作業かと思います。
「読み込みに不要なファイルがないか」「ポップアップなどの挙動を操作できないか」などの基本的なことから「jsフレームワークで組んだ際の挙動に起因する問題」などのサイト基盤に関わる問題まで幅広く関連してきます。
最近はjsフレームワークを利用したサイトも増えてきておりますので、既存サイトはより高パフォーマンスにできないか、新規サイトはjsフレームワークを使用するのがベストなのか、などを考慮する必要があります。また、制作関連になりますが、ヘッドレスCMSなどの概念も登場しており、ますます多様化している状況です。
WordPressやShopifyといったCMSが便利になり、非エンジニアでも運用が可能なものがある一方で、エンジニアではないと対応が難しい分野のものもあり、ますますチーム一丸での対処が必要になってきていると感じます。
本トピックは、そういった意味でも大きなものだと感じました。
おわりに
本稿では2020年の上半期のSEOトピックスをまとめて振り返りました。
SEOに関わる方であれば、日頃から情報収集が好きな方が多いと思われますが、まとまった期間で振り返ることは少ないと思います。備忘録を含め、定期的に一覧にすることにより情報整理ができますので、少し時間をとってまとめることも重要だと執筆を通して感じた次第です。
また、Googleが半年間でもこれだけ多くの改善を加えている、ということを再度実感しました。「Google が掲げる 10 の事実」という20年来変わらない理念を追求するために、Googleは検索エンジンとして最大手となった今でも絶えず改善をし続けています。このことは事業を運営されている方も参考になるのではないでしょうか。
トピック1つをとっても、SEOに与える影響はもちろん、1事業のPDCAという側面でも参考になる点はとても多くあると思います。「この変更はどういった意図の元実施されたのか」など、「点ではなく線」での考え方も加えてみることで、より深い改善施策や今後のGoogleの変化を推測することにも繋がるかと思います。
本稿が皆様の参考になれば幸いです。