SEOの目的は、一義的には検索表示順位の上昇ですが、最終的にはビジネスの成果を上げることです。
EC機能を持たない店舗型ビジネスの場合、SEOは、ユーザーが商品・サービスを購入するためにリアルの店舗に訪問するまで導くことが求められます。
今回は、主に店舗型ビジネス(来店型・出張型含む)のための検索エンジン最適化、ローカルSEOについての基礎と現在地をまとめたいと思います。

検索エンジンの進化

検索結果画面(以下「SERPs」)は検索エンジンによって日々、ユーザーの利便性向上のために改良されています。
例えば最近では、クエリによってはSERPsに返される自然検索結果は10件に限られなくなっています[*1]。

[*1] 参考:http://searchengineland.com/report-number-google-organic-blue-links-results-drop-10-8-5-260599

自然検索結果の代わりとして、例えば、Yahoo!の場合はクエリに関連するYahoo!ニュースやリアルタイム検索結果の抜粋が、Google検索の場合でもニュースなどが表示されることで、クエリを入力したユーザーへの回答の質の担保に努めています。
つまり、検索エンジン上で探し物をしているユーザーに対して、「(求めているものは)これですよね?」と多様な回答が返されています。
そうした既存の自然検索結果を補強、あるいは代替する情報の中で、最もなじみ深くかつ重要なのが「地域情報」です。

ユーザー検索体験の変化とローカルSEO

ローカルSEOとは、地域情報の表示を最適化することです。
ユーザーは、実店舗など地域のビジネスを訪問する際、名前を知らないビジネスの場合は「地域名+○○(商品・サービス名)」と検索するでしょう。
「地名+(商品・サービス名)」クエリを入力するユーザーのニーズは、その地域で自らの探すサービスが存在するかどうかを知ることであり、さらに訪問したい場合はその場所を知りたいと考えています。
今日では、位置情報ニーズを満たすため、SERPSにはクエリで示された地域の地図と、域内に点在する店舗の抜粋が情報として掲載されます。
例えば、以下は「池袋_スーツ」というクエリに対してGoogleが返す結果です(2023年3月6日時点:PC画面)。
ユーザーの検索意図は、おそらく以下のようなものでしょう。
「池袋近辺でスーツ店を探したい。(だが、あるかどうか分からない)」

ローカルSEOの観点のひとつは、この地域情報画面の目立つ箇所に自らの情報を如何に表示させるか、ということです。
(出典に準拠し、この3つの情報表示枠を「3 Packs」と呼びます。)
SERPsにおける表示順位の競争の中に、3 Packs内における地域レベルでの表示順位競争がある
これが、地域ビジネスにおいてはとくに、既存のSEOとは別軸でローカルSEOに取り組む必要がある所以です。
店舗の場所を探すユーザーに対して、ただ自然検索結果の上昇に注力するだけでは認知度を高めることはできても実際に買い場である店舗へ足を運んでもらうのに充分ではありません。

ローカルSEOの基礎とGoogle マイビジネス

ローカルSEOのスタートラインに立つには、自社のビジネスをGoogle マイビジネス(以下「GMB」)にオーナー登録する必要があります。
GoogleマイビジネスTOPページ
(GMBは2014年秋にGoogleからリリースされたサービスですが、機能として以前のGoogle MAPの情報などを継承しており、実店舗のオーナーのコントロールが効かないままインターネット上に存在してしまっている場合があります。オーナー登録によって、ウェブ上での登録とハガキなどの認証によってGMBの所有者としてGMBの管理権を得ることができます)
登録方法は以下公式情報をご覧ください。
公式:登録方法
また、3 Packsの中で掲載順位を上げるための方法も公式に掲載されています。
公式:Google のローカル検索結果の掲載順位を改善する
対策の概要を要約すると、GMBに登録された情報を最新、正確に保つことがまず挙げられます。
3Packsの情報はGMBに準拠しており、情報の掲載は必須条件です。
掲載する情報には、既存のSEOと同様にクエリとの関連性も問われます。
なお、掲載順位を左右する要因として、検索者とビジネスとの物理的距離や知名度、口コミの評価などオーナーが与し得ないものもあります。

現在地とポッサムアップデート

現在の日本では、まだオーナー登録がなされていないGMBを見かけることのほうが多いようです。
公式情報に目を向けても、掲載順位を決定するアルゴリズムも発展途上と窺え、頻繁なアップデートが行われています。
しかしながらこうしたアップデートは冒頭で掲げたとおりユーザーの検索体験向上に基づいて行われており、少なくない比率でSERPsの画面占有がなされるようになっている現在、決して無視できるものではありません。
またローカルSEO向けのアップデートには、検索エンジン自体の性能の向上を覚えざるを得ません。
16年9月に行なわれたのは「ポッサム」という名のアップデートです。

ポッサムアップデート[*2]

これらは北米で9月1日に実施されたと公示されている内容です。
執筆時点で同内容が国内の検索時に全て適用されている訳ではありません。

1. 「地域名+」検索フレーズのバリエーションによる検索結果の変化

「地域名+○○」と「○○+地域名」での検索時にはローカル検索結果で変化が生じるようになりました。
また、地域名についても略称や別称がある場合は、違いに応じた結果が表示されることになります。

2. 重複した住所、所属によるフィルタリング

重複登録されているGMBの表示が是正されています。
個人経営の整骨院を例にとると、意図的かどうかに関わらず個人事業ベースと医院とでそれぞれのGMBを登録しているケースがありました。
しかしながらそうした表示結果はユーザー利便性に適うものとは言えないため、結果が一つに統一されて表示されることになります。

3. 自然検索結果とローカル検索結果の分離

ローカル検索結果の順位には自然検索結果が少なからず影響を与えていました。
これらの相互関係がなくなっていきます。

4. Google Mapが認識する住所名と、実情の差異による扱いの変化

これまでは、クエリに入力された地域名がGoogleMapに登録された住所(テキスト)に含まれていないと、該当の地域名クエリでローカル検索結果に表示させることは困難でした。
しかしながら、住所が必ずしもユーザーがイメージし、クエリに入力する地域名と一致しないこともあります(例:「目黒駅」は「品川区」にある)。
それらの差異が、実情に合わせて是正されています(住所には含まれていなくとも、ユーザーが入力している地域名クエリに合わせる)。

[*2] 参照:http://searchengineland.com/everything-need-know-googles-possum-algorithm-update-258900

まとめ

前述のとおり、国内ではまだオーナー登録のなされていないGMBを見かけることのほうが多いです。
ローカルSEOの第一歩としては最新、正確な情報を入力するのみ、と述べました。
複数の店舗を持つビジネスにとっては目の届かなくなりがちな個別対策ですが、アップデートの頻繁さを念頭におくと労を惜しむ箇所ではありません。
ぜひローカル検索結果に目を向けて参りましょう。

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菊池浩之

一橋大学商学部卒。2016年プリンシプルへジョイン。2023年から新規事業開発部 責任者。解析、SEO、広告の知見を掛け合わせたアプローチによる実績多数。

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