Googleにおける検索エンジンには、多くのアルゴリズムが使用されており、日々アップデートを繰り返しています。その中枢となるのが「コアアルゴリズム」です。
Googleは「ユーザーにとってより使いやすい検索エンジン」を目指すために、不定期にコアアルゴリズムの見直し・改善を図っています。筆者の経験則によりますが、2021年はGoogle検索において1つの大きな転換期ではないかと感じています。
例えば6月と7月に実施されたGoogleコアアップデートやcore web vitals、Product Reviewe Update(日本語圏サイトでは未導入)、リンクスパムアップデートなど、サイト評価を大きく左右するイベントが数多くリリースされた印象です。
この記事では、従来のコアアルゴリズムアップデートの歴史を遡るのと同時に、Googleがどのような点を重要視しているのかを解説していきます。
その前に、まずは「検索アルゴリズム」について簡単におさらいします。
おさらい:検索アルゴリズムとは
検索アルゴリズムとは、「Web検索した際に、検索結果に表示されるサイト掲載順位を判断するプログラム」を指します。インターネット上に数多く存在する全てのサイトを適正に公平に評価するべく、特別なプログラムを駆使しています。
主なGoogle検索アルゴリズム
Googleは、サイトを適正かつ公平に評価するために、さまざまなアルゴリズムを用いています。以下が主なGoogle検索アルゴリズムです。
QDD (Query Deserves Diversity)
「QDD(Query Deserves Diversity)」とは、多様性のある検索結果を意味します。つまり、あるクエリの検索結果に応じて、特定のサイトや記事を優先的に表示させるのではなく、検索結果に多様性を持たせ、さまざまなウェブサイトを表示させます。別の言い方で表現するのなら「ドメイン多様性」とも言えるでしょう。
QDF(Query Deserves Freshness)
「QDF(Query Deserves Freshness)」とは、直訳すると「検索は新鮮さに限る」です。検索上位には常に最新の情報が表示されるというGoogleの考えのもと、サイト運営者は最新トレンドや偽りのない情報を発信し続けることが重要となります。
MFI(Mobile First Index)
「MFI(Mobile First Index)」は、消費者のモバイル検索が増えたことにより、デスクトップ用のページではなく、モバイル用のページに評価基準が移り変わったことを指します。とはいえ、筆者が担当するクライアント様の中には、まだ完全にMFIに完全移行していないサイトも複数あり、サイト形態によってまだ差があります。
MUM(Multitask Unified Model)
2021年5月のGoogle I/O 2021(基調講演)にて発表された「MUM(Multitask Unified Model)」です。今後はAIの機械学習が発達し、ユーザーが直接的に求める情報が獲得できるだけでなく、Googleが検索意図を最大限汲み取りサーチアシスタントをしてくれる時代がやってきます。
MUMについては別記事「Googleが新しい検索アルゴリズム MUM(Multitask Unified Model)の開発を発表」で詳しく解説しています。興味のある方はぜひこちらも一読下さい。
これまでのGoogleコアアップデートの歴史
2010年以前のコアアルゴリズムアップデート
- Google検索サービスの開始(2000年9月)
- ボストンアップデート(2003年2月)
- カサンドラアップデート(2003年4月)
- ドミニクアップデート(2003年5月)
- エスメラルダアップデート(2003年6月)
- フリッツアップデート(2003年7月)
- フロリダアップデート(2003年11月)
- オースティンアップデート(2004年1月)
- ブランデーアップデート(2004年2月)
- ノーフォローアップデート(2005年1月)
- パーソナライズド検索開始(2005年6月)
- グーグルローカル導入(2005年10月)
- ビッグダディアップデート(2005年12月)
- ユニバーサル検索導入(2007年5月)
- カノニカルタグアップデート(2009年2月)
- パーソナライズドサーチアップデート(2009年12月)
- カフェインアップデート(2010年6月)
Google検索は2000年にリリースされ、毎年のようにアルゴリズムアップデートが行われてきました。
筆者がまだ小学生の頃から、Googleは定期にアップデートを繰り返していたことになります。
2011年以降の特に重要なコアアルゴリズムアップデート
そして、2011年以降で特に重要となったコアアルゴリズムアップデートには下記のようなものがあります。
- ベニスアップデート(2014年12月)
- パンダアップデート4.2(2015年7月)
- ペンギンアップデート4.0(2016年9月)
- クオリティーアップデート(2015年5月)
- モバイルフレンドリーアップデート(2015年4月と2016年5月)
- インタースティシャルアップデート(2015年11月と2017年1月)
- 医療健康アップデート(2017年12月)
- スピードアップデート(2018年7月)
- BERTアップデート(2019年10月)
- Core Web Vitals (2021年6月)
- June 2021 core update (2021年6月)
- July 2021 core update (2021年7月)
- May 2022 core update (2022年5月)
- September 2022 core update (2022年9月)
- Helpful content update (2022年12月)
- Link spam update (2022年12月)
- March 2023 Google core update (2023年3月)
- August 2023 Google core update (2023年8月)
- September 2023 Helpful content update (2023年9月)
- October 2023 Google core update (2023年10月)
出典:Yoast :A brief history of Google’s algorithm updates
2023年以降の特に重要なコアアルゴリズムアップデート
2023年以降にロールアウトされたGoogleコアアップデートは以下の通りです。
2024年以降の特に重要なコアアルゴリズムアップデート
2024年以降にロールアウトされたGoogleコアアップデートは以下の通りです。
【解説】SEO界隈で注目されたコアアルゴリズムアップデート
以下では、ここ数年で実施されたコアアップデートのなかでも歴史に残るであろう有名なものを、Googleの目的と合わせて解説します。
ベニスアップデート
ベニスアップデートはユーザーの位置情報を基に最適な検索結果を表示させるアップデートです。目的はユーザーの利便性の向上です。検索時に地域に関する情報を入力しなくても、その地域を考慮した検索結果が表示されるようになりました。
パンダアップデート
パンダアップデートは2011年に実施されたアップデートです。
サイトの品質が順位に影響するのが特徴であり、ユーザーにとって低品質のWebサイトは順位が下がり、高品質であれば順位が上昇します。パンダアップデートが実施される前に上位を取得していた価値が低いサイトは大きな影響を受けました。
ここでいう低品質とは、コピーコンテンツや自動作成された無意味なコンテンツなどです。アフィリエイトプログラムに参加し、他のWebサイトとの差別化がない内容になっている場合も品質が低いと見なされる場合もあります。
フレッシュネスアップデート
タイムリーな情報や最新情報を検索結果の上位に掲載するアップデートです。ユーザーが求めている新鮮な情報を掲載したページを優先的に表示することで、利便性が向上しました。
例えば、今年開催された東京オリンピックに関する情報を調べるために検索をした際に、2012年のロンドン五輪や2016年リオデジャネイロ五輪などの情報を表示させないようにします。
ペンギンアップデート
パンダアップデートと併せて覚える人も多いと思いますが、低品質な被リンクを集め、検索結果を上昇させようとしているサイトは順位が下落しました。ブラックハットSEOを実装していたサイトが淘汰されるアップデートでした。
健康アップデート
健康アップデートは、医療・健康に関する検索結果改善のために行われたアップデートです。
Googleウェブマスター向け公式ブログでは、「掲載順位が高くなるのは、医療従事者や専門家、医療機関等から提供される信頼性があり有益な情報を発信していること」が重要であると言及しています。このアップデートにより、アフィリエイトを目的としたページなどの評価が下がりました。
また近年Googleは、「E-A-T概念」と呼ばれる情報(ページとコンテンツのタイプ、コンテンツ作成者、運営者情報、Webサイトの評判など)も評価に加味するようになりました。
※EはExpertise(専門性)、AはAuthoritativeness(権威性)、TはTrustworthiness(信頼性)を指す
BERTアップデート
BERTアップデートがリリースされたことにより、これまで難しかった「文脈」の理解が可能となりました。
BERTは、”Bidirectional Encoder Representations from Transformers” の頭文字をとったもので、「自然言語処理技術」の一種です。人間の検索クエリをコンピューターが理解できるようになり、検索意図を汲み取ることが可能になりました。
Core Web Vitals
ここ最近よく耳する言葉の一つが「Core Web Vitals」ではないでしょうか?Core Web VitalsはWebサイト全体におけるユーザー体験(UX)の向上を目的として導入された、「Webサイトの健全性を示す指標」として重視される指標です。
Core Web Vitalsには以下の3つが含まれます。
- LCP:メインコンテンツが読み込まれるまでの時間
- FID:ユーザーが最初に行ったアクションに対し、ブラウザーが反応するまでに要した時間
- CLS:意図せぬレイアウトの”ずれ”が生じたかどうか
みなさまのサイトが各指標ごとにどのような状況であるかは、Page Speed Insights等のツールで一度検証してみるのも良いかもしれません。
まとめ
いかがだったでしょうか?
2000年9月にGoogle検索サービスが開始され、早20年余りが経過しました。過去のコアアルゴリズムアップデートを遡りましたが、今後も更なるアップデートが予測されます。
とはいえ本質としては、「ユーザーにとって有益な情報を継続して発信し続けること」がより重要であると筆者は考えています。テクニカルSEOやコンテンツSEOを単体で捉えるのではなく、「Web戦略の一部としてのSEO」と考えなければならない時代が始まっています。
われわれプリンシプルも、お客様のデジタルマーケティング課題を見極め、総合的な支援をご提案して参ります。もしお困りのことがございましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。