2024年11月27日に「【企業の売上最大化】広告運用におけるBtoBマーケティング基礎:オンライン・オフラインデータの統合・活用編(GA4×Salesforce×広告運用)」というテーマでセミナーを開催しました。ご参加いただき誠にありがとうございました!
本セミナーではオフラインデータとGA4を繋ぐことでWEBプロモーションにどのような変化が与えられるのかについて解説しました。この記事ではセミナーの内容をまとめます。
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営業プロセスの変遷
日本のBtoB営業の歴史を振り返ってみると、かつてはリード獲得と集団クロージングからアフターサポートまで1人の担当者が担うのが一般的でした。しかし現在では、マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサポートと役割が細分化され、分業化が進んでいます。
また、ITツールによって情報共有をしながら営業活動を進めることが一般的になってきました。さらに、オンライン化によって、大手企業だけでなく中小企業においても、分業型の営業が主流となっています。
Salesforce「ザ・モデル」とその利点
多くの企業は、Salesforceの「THE MODEL(ザ・モデル)」型に基づいて営業体制を構築しています。
このモデルを採用する理由は、分業型の営業プロセスを明確にし、課題を可視化できる点にあります。その結果、問題の特定が容易になり、再現性を高められるというメリットがあります。さらに、営業の分業化によって業務の効率化が進むだけでなく、専門化によるスキル向上や、各部署の役割明確化が促進されます。
ザ・モデルの仕組みは以下の図で説明されています。
「ザ・モデル」が導入された背景として、インターネットの拡大によって顧客の購買プロセスが変化したことが考えられます。
これまでは購買プロセスの中で営業が占める割合が大きかったのに対し、現在は顧客による情報収集・資料請求も一般的になった結果、営業が関与する割合が縮小しています。
そのため、マーケティングと営業が一体化したコミュニケーションが重要になり、顧客の購買は約70〜80%はそれによって決まっています。
さらに、BtoBマーケティングアンケート調査によると、大手企業になるほど情報収集は社外のステークホルダーによって行われることが分かります。そのため、社内のステークホルダーの存在を考慮し、施策立案を検討する必要があります。
顧客の購買プロセスが複雑化していることや、ステークホルダーの存在を考慮すると、コミュニケーション設計が非常に重要になります。そのため、顧客データの収集によるパーソナライズされたコミュニケーション設計が必要です。
以下は購買プロセスと営業プロセスをまとめた図です。
コミュニケーションを実現する上での課題
「ザ・モデル」を採用する際、顧客の購買行動を踏まえたコミュニケーションを実現するために以下の3つの課題を認識する必要があります。
- マーケティング~カスタマーサクセスまで各部署連携の壁
- カスタマージャーニーの複雑化
- マーケ施策における費用対効果の悪化
ここでは、3つ目の課題「マーケ施策における費用対効果の悪化」に焦点を当てます。
リード獲得、商談、受注の数字を伸ばすために、マーケティングコストの投下が必要ですが、多くの企業は受注率と各転換率の維持ができないようです。費用対効果を改善するために、商談において顧客のデータをどう活かすかを定めなければなりません。
下の図は各部署連携の難易度とマーケティング施策をまとめたものです。営業チームの営業活動と自サイト上のユーザー行動を連携することによって、受注を見据えたコンテンツ改善や、広告施策の改善を図ることができます。
マーケティング担当者は見込客数をゴールとして設定していることが多いですが、今後は営業のゴール(案件数、受注数)を考慮して、量より質を重視すべきです。WEB上のデータだけでなく営業のデータを活用し、KPIに合っている見込客数の質を改善することが非常に重要なポイントです。
WEB施策の最適化イメージ
主にCRMデータを活用して、オンラインデータとオフラインデータを統合し、より効率的にユーザーにアプローチしていくことをおすすめします。以下はSalesforceをベースに、情報連携の流れをまとめた図です。
問い合わせが発生した段階でSalesforce上に顧客の情報を格納し、次にGA4はそれを計測します。その後に、お客様の受注データや商談データ、行動データをGA4上で分析し、最終的に広告の配信に活用したり、データの可視化をしたりすることによって同一のKPIを見ながら営業活動の改善に繋げます。
SaaS・非SaaS企業のマーケターアンケートによると、マーケティングデータとセールスデータ(CRM)の連携について、半数以上のSaaSベンダーで連携が進行しており、また非SaaS企業では連携実施企業はSaaSに比べ約半数に留まるも、今後加速が見込まれます。
そして、GA4の新機能として、「Salesforce Sales Cloudとの連携」機能がリリースされました。自社サイトで獲得したリードや商談をSalesforce Sales Cloudで管理している会社にとって、オンラインとオフラインを繋ぐ重要な機能となります。
この機能のおかげで、発注が発生する前に顧客の行動を分析し、発注後の営業活動をGA4上で分析することができるようになります。不要リードを除き、有効なリードをベースにし、分析の精度を向上させることやそれらのリードをGoogle広告にリポートする際には機械学習の精度向上にもつながると考えられます。
参考として、GA4上でAccount Engagement(以下、AE)が設定できます。AEでは大きく分けて3つのトラッキング方法があります。
- AEから発行されるトラッキングコードを使用する(初回接触リードソースをトラッキングする)
- AEで提供されているGoogle Analyticsと連携し、初回接触のUTMパラメーターをトラッキングする
- カスタム項目を作成し、CV時のリードソースを計測する(AEフォーム、ないしはAEフォームハンドラーを使用する必要あり)
SalesforceとGA4を活用した広告施策3選
SalesforceとGA4を活用した広告施策を3つ紹介します。
- 1. 広告施策の可視化・PDCA
- 2. 商談・受注データを自動入札に活用した広告配信
- 3. 特定条件をオーディエンス化してサイト内分析や広告配信の活用
1. 広告施策の可視化・PDCA
1つ目は、広告施策の可視化・PDCAです。Salesforceからのオンラインデータを統合することによってLookerStudioとダッシュボードで可視化するのが望ましいです。
さらに、オフラインデータを統合することでより実際の売上に近い数値で評価することができ、予算内の費用をより適切に媒体やキャンペーン・キーワードに分配し、ポートフォリオの最適化が可能だと考えられます。
たとえば右側の図は、日付とチャネル別の実績を表しています。有効のリードがチャネル別でどのような貢献をしたかを可視化することができたり、実際に商談や受注に進んだユーザーがはじめに接触したキーワードやクリエイティブなども可視化できるため、より適切なPDCAを回すことができます。
参考に、GA4でクリエイティブの実績を分析する方法を紹介します。
GA4の自動収集イベントではクリエイティブ計測用の「content」が自動収集がされていないため「カスタムディメンション」にて設定する必要があります。そして設定したカスタムディメンションを広告管理画面上にてパラメータを設定することで、GA4上でクリエイティブ別のLTVが計測可能となります。
2. 商談・受注データを自動入札に活用した広告配信
2つ目の施策案は、商談・受注データを自動入札に活用した広告配信です。
GA4プロパティとGoogle広告を紐付けることで、GA4で計測しているキーイベントをインポートできます。さらに、SalesforceからGA4へ連携したリード(Ex. MAL)を広告の機械学習へ活用することも可能です。商談や受注のデータを基に最適化を行うことで、より確度の高い顧客に向けた広告配信が実現できます。
注意点として、商材によってはオフラインコンバージョンの件数が少ない場合、最適化の学習に必要なコンバージョン数に達しないことがあります。そのため、複数のコンバージョンを組み合わせて最適化を進めるのが望ましいでしょう。
GCLIDを活用してオフラインデータを取り込む企業もあるので、以下の点にも注意してください。
- オフラインコンバージョンの取り込み期間は90日のため、90日以内で取り込めるオフラインコンバージョンを使用するのが望ましい。
- 電話が多いサービスの場合は、GCLIDなどのタグを利用することは難しいため、現段階では電話経由のオフラインコンバージョンを取り込むことはできない。電話経由の申し込みが多い場合は、コールトラッキングなどの電話の効果測定を入れることで対策可能。
3. 特定条件をオーディエンス化してサイト内分析や広告配信の活用
3つ目の施策は特定条件をオーディエンス化してサイト内分析や広告配信の活用です。GA4の「オーディエンス機能」により、Salesforceからのデータを活用し、特定の条件に基づくイベントを計測します。
例として、役職や業種などのオーディエンストリガーをGA4で設定し、サイト内の行動分析ができます。これにより、サイト内の改善アプローチにつながるだけでなく、分析したオーディエンスを広告用にも利用することができます。
オーディエンスを作成する利点には以下の2つがあります。
- Google広告とリンクしていれば、Google広告のターゲティングに利用できる。
- Google広告へ連携したオーディエンスをモニタリング設定し、自動入札の精度向上を目的に機械学習のシグナルを増やすことが可能。
セグメント作成すると、オーディエンスも同時に作成できますので、それをベースに広告配信に活用することが確度の高いユーザーアプローチに必要です。とくにオーディエンスをモニタリングする設定することによって、自動入札を行うために、シグナルを増やす要素として使われます。
まとめ
この記事では、セミナー「【企業の売上最大化】広告運用におけるBtoBマーケティング基礎:オンライン・オフラインデータの統合・活用編(GA4×Salesforce×広告運用)」の内容をご紹介しました。
以下より講演資料・アーカイブ動画をご覧いただけますと幸いです。
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こんな方におすすめ
- 部署の売上・利益がミッションの責任者の方
- マーケティング担当者 ・商談データなどオフラインデータの活用・最適化ができていない方
また、弊社では広告運用に加え、Webマーケティング支援を多数行っております。お困りごとがある際は、いつでもお気軽にお問い合わせください。