2024年10月15日に「GA4の落とし穴を回避!失敗から学ぶ、ビジネス成果を最大化するGA4設定と分析手法の秘訣」というテーマでウェビナーを開催しました。ご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました!

本ウェビナーでは、GA4の設定を精緻化することで得られる詳細なデータと、そこから導き出せる具体的な分析手法を解説しました。この記事では、本ウェビナーの内容をまとめていきます。

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GA4 ユーザー行動のデータ構造

GA4は、ウェブサイトやアプリ上でのユーザー行動を「イベント」という形で計測しています。イベントデータは、「イベント名」と、それに紐づく「パラメータ」で構成されています。

下の図はイベント名「page_view」に紐づく4つのパラメータの例です。


GA4のデータ構造=イベント+パラメーター

例えば「ページビューイベントが起こったが、サイト内に無数のページがあるためどのページビューなのかがわからない」という場合に、パラメータ page_locationを参照することで解決できます。

パラメータには自動で取得されるもの(page_location、 page_referrer、 page titleなど)があるほか、手動でパラメータを設定することも可能です。手動で設定するパラメータの名称は使用者側で定義できます。

イベントの方で自動取得されるパラメーターについては、Googleの公式のドキュメント「[GA4] 自動収集イベント – アナリティクス ヘルプ」をご覧ください。

GA4分析 3つの落とし穴

GA4で分析する際、以下のような落とし穴があります。

  • ページ単位で分析しており、コンテンツ群のパフォーマンスが見えない
  • 推奨取得イベントを独自名で実装しており、適切にデータ表示できでいない
  • 設定ミスにより、流入情報が適切に取得できていない

以下では、それぞれの問題点と対処方法についてまとめます。

落とし穴1.ページ単位で分析しており、コンテンツ群のパフォーマンスが見えない

GA4の落とし穴として、サイト内のコンテンツ群全体のパフォーマンス評価をしたいのに、ある1ページのみのデータを対象に分析しているケースがあります。

BtoB向けのサイトには、商品/サービス紹介ページや、ブログ記事、導入事例のページなど、さまざまなコンテンツグループがあります。例えば、ECサイトでは商品の詳細ページやブランドの紹介ページなどがあります。

それらのコンテンツ群でパフォーマンス評価をしたい一方で、ある1ページのみのデータを対象に分析してしまっていることがあります。

対処法:コンテンツグループの実装

コンテンツグループとは、ページパスなどの条件を使用しサイトのコンテンツをカテゴライズする機能です。コンテンツグループを活用することで、ページグループ毎の表示回数など、ユーザーのサイト回遊状況を体系的に把握することが可能になります。

一定の条件に対して、1つのコンテンツグループを付与することができます。

例)
・/column/ 配下のページ:ブログ
・/search/ 配下のページ:サイト内検索

実装するためには、イベントパラメータに content_group を付与します。すると、標準レポート内の「ページとスクリーン」レポートに反映されます。コンテンツグループを選択することによって、トップ、ブログ、サービスなどコンテンツ群のパフォーマンスを可視化できます。

  • 分析手法:コンテンツグループを活用した分析
  • 分析の目的:サイト内コンテンツの強化・改善
  • 分析により可視化できる情報:CVユーザーの関心が高いコンテンツ
  • 施策への落とし込み方法:
    ・CVにつながりやすいコンテンツへの導線を増やす方法
    ・CVユーザーの関心が高いコンテンツからリード獲得ページへの導線を強化する方法


分析が完了した際の表

レポート作成の手順

上記の表のアクティブユーザー数とユーザーエンゲージメントをもとに、それぞれの平均エンゲージメント時間を算出します。

手順1. レポート形式は、探索レポートから自由形式のレポートを選択し、セグメント機能を使います。

必要なセグメントは2つあります。

  • コンバージョンが発生したユーザーのセグメント
  • コンバージョンが発生しなかったユーザーのセグメント

このレポートで、コンバージョンと非コンバージョンの比較をすることができます。

手順2. ディメンションには実装したコンテンツグループを置き、指標にはアクティブユーザー数、ユーザーエンゲージメントを置きます。このユーザーエンゲージメントとアクティブユーザー数を割り算すると平均のエンゲージメント時間が算出されます。

<計算式> ユーザーエンゲージメント÷アクティブユーザー数=平均エンゲージメント時間

  • ユーザーエンゲージメントとは、ユーザーのページ合計滞在時間です。
  • 平均エンゲージメント時間とは、コンテンツに平均してユーザーがどのくらい滞在したかを表す指標です。

手順3. それぞれのコンテンツグループで、CVを発生させたユーザーとさせなかったユーザーの平均エンゲージメント時間を算出し、比較します。

今回の例では、ブログでCVを発生させたユーザーの平均エンゲージメント時間は2分、発生させなかったユーザーは50秒という結果になりました。また、サービスでCVを発生させたユーザーの平均エンゲージメント時間は45秒、発生させなかったユーザーは40秒という結果になりました。

コンテンツグループ別に比較すると、ブログの平均エンゲージメント時間の方が長いことがわかります。つまり、コンバージョンユーザーの関心が高いコンテンツはブログであることが判明します。

最後に、この分析結果を施策に落とし込みます。以下は活用例です。

  • ブログコンテンツを増やす
  • ブログコンテンツへの導線を増やす
  • ブログからリード獲得ページへの導線を強化する

このように分析結果を活用することで、最終的には集客の最大化につながります。

落とし穴2.推奨取得イベントを独自名で実装しており、適切にデータ表示できでいない

ECサイトにおいて推奨取得イベントを独自のイベント名で実装しており、レポートへの適切なデータ表示ができていないということがよく起こります。


標準レポート内の購入経路レポート

標準レポート内に購入経路レポートがあります。これは、セッションの開始から購入までのステップをそれぞれ示しています。

前提として、ステップ1の「セッションの開始」はsession_startのイベントを元に数字を出しています。また、ステップ2の「商品を表示」はview_itemをもとに数値を出しています。それぞれステップごとに、元にするイベント名が決まっています。

このとき例えば、ステップ4の「決済手続きの開始」をbegin_checkoutではなく、独自のイベント名で取得していると、数値が表示されないということが起こります。Googleが推奨しているイベント名で実装することが非常に大切です。

対処方法:eコマースイベントの精緻化

対処法は、eコマースイベントの精緻化です。表の赤字にしている項目は標準レポートでも確認可能な項目なので、実装を強くオススメしています。正確な数値を取るためには、トリガーのタイミングでGoogleが推奨しているイベント名でデータを実装することが非常に大切です。


イベント名とトリガーのタイミングの一覧

参考:e コマースを測定する | Google Analytics

GA4のデータ構造がイベントと、パラメーターという構造になっていると前述しました。上の図では、purchaseというイベント名に対して複数のパラメーターが紐づいている形になっています。Eコマースイベントについては、itemsパラメーターを付与することで、商品情報の中に商品スコープという形でitem_name、item_brandのようなさらに詳細な商品情報を設定することが可能です。

分析手法:商品ベースでの分析

商品ごとの購入状況は、eコマースの購入数レポートから確認できます。どの商品の購入率が高いかなど、商品ベースでの分析が可能です。

応用:商品スコープでカスタムパラメーター精緻化

商品スコープのパラメーターにおいても、手動で設定することが可能です。これによって、商品ごとにさまざまな情報を取得できるようになります。

例えば、こちらの点線で示している item_videoの形でカスタムパラメーターを取得します。商品詳細ページでの商品紹介動画の有無を item_videoというカスタムパラメータで取得し、カスタムディメンションに登録することによって探索レポートで使うことができるようになります。

  • 分析手法:商品スコープのカスタムパラメータを活用した分析
  • 分析手法の目的:商品紹介動画の効果測定と動画作成の優先度検討
  • 可視化される情報:商品紹介動画の有無によるカート追加率や購入率の差異
  • 施策への落とし込み方:より動画設置の効果が高い商品に対して、優先的に動画を設置する

こちらも同様に探索ツールの「自由形式」レポートを使用します。ピンクのディメンションがアイテムのカテゴリーです。グレーの指標には、閲覧されたアイテム数とカートに追加されたアイテム数、アイテムの購入数を入れます。これをそれぞれ割り算していくと、カート追加率や商品閲覧後の購入率などを計算できます。これらを比較することによって、商品紹介動画がカート追加率に貢献しているのかを確認できます。

商品紹介動画の効果

  • カテゴリA:カート追加率0.3%、商品閲覧後の購入率0.2pt上昇
  • カテゴリB:カート追加率0.5%、商品閲覧後の購入率0.3pt上昇

上記の数字で分析すると、商品紹介動画が購入率に影響していることがわかります。またカテゴリAと比較し、カテゴリBは動画設置の効果が高いことがわかるので、カテゴリBに優先的に動画を配置するという施策への落とし込みができます。

落とし穴3.設定ミスにより流入情報が適切に取得できていない

設定ミスにより、流入情報が適切に取得できておらず、集客施策への有効な示唆が得られないことがよくあります。

対処方法:UTMパラメーターの精緻化

  • UTMパラメータは広告、メディア、メルマガなどに掲載するURLに付与するクエリパラメーターです。これを利用することによりサイトの流入元情報をGA4 に反映しています。
  • UTMパラメータの値は、標準レポートでは、「ユーザー獲得」レポートと「トラフィック獲得」レポートのディメンションの値に反映されます。特にutm_source、utm_medium、utm_campaign の3点を特に重視しましょう。

これらのパラメーターを適切に設定していると、流入元情報を正しく取得できます。その他のパラメーターについての詳細は、Google公式ドキュメント「[GA4] URL 生成ツール: カスタム URL でキャンペーン データを収集する – アナリティクス ヘルプ」をご確認ください。

  • 分析手法:コホートデータ探索を使用した分析
  • 目的:サイトへの ユーザー再訪率が高いキャンペーンの把握
  • 可視化される情報:各キャンペーンによって獲得されたユーザーの1週間ごとのサイトの再訪状況
  • 施策への落とし込み方:リターゲティングの有効期間の検討や広告変更のタイミングの検討など

コホートの登録条件を初回接触、リピートの条件をセッションスタートとし、内訳をユーザーの最初のキャンペーンにします。

これらがUTMキャンペーンに付与している値が対応するディメンションになっています。これらを適用することにより、各キャンペーンの初回接触、1週間後の再訪ユーザー数が明らかになります。

これらの手順を踏むことで、上記画像のレポートが完成します。

これらを分析していくと、例えば、キャンペーン3で獲得したユーザーの再訪率が比較的他のキャンペーンよりも高いことがわかります。これにより、キャンペーン3で訴求している軸をほかのキャンペーンに応用することが可能になります。

補足1:UTMパラメーターでよくある間違い

ここで、UTMパラメーターでよくある間違いを2つ挙げます。

  • 全サイト共通で使用している「ヘッダー、フッター」からのサイト内遷移を計測する時のUTMパラメーター付与している
  • サブドメインが違うサイト遷移を計測する時(ルートドメインは同一) にUTMパラメーターを付与している

基本的に上記のようなケースでは、UTMパラメータは使用しません。UTMパラメータは外部からのトラフィックに対して流入元情報などの属性を付与するものです。そのためUTMパラメータを付与したページが記録されると「外部からのトラフィック」として参照元、メディアが記録されます。

セッションは切れませんが、アトリビューションには反映されてしまいます。ヘッダー、フッターからの遷移については、「遷移先のページURL?i_link=header」などリンク先ページでパラメータを処理することを推奨しております。

今一度、皆様のサイトでこのようなことが起こっていないか確認してみましょう。

補足2:UTMパラメーターの運用で重要な3つのポイント

お客様からUTMパラメーターの運用方法についてご質問いただくことがよくあります。効果的なデータ計測と一貫した分析のためには、UTMパラメータのルールを設けることが重要です。

ルール設定にあたり、重要なポイントが3つあります。

1つ目が、それぞれのパラメーターに一貫性のある命名規則を付与するという点です。ひと目で意味を理解できる値を付与することが重要です。

UTMパラメーターでは大文字と小文字を識別する仕様になっているので、例えば、utm_mediumにcpcという形で付与したい場合、大文字と小文字のいずれかに統一する必要があります。また、わかりやすさの点ではキャンペーン目的をutm_campaign内に明記するのも有効です。コンバージョンの獲得目的のキャンペーンであれば頭文字にCVと明記し、認知目的であればCNとするなどの工夫をすることで今後のデータ分析のわかりやすさにつながります。

2つ目が、パラメーターを適切に管理・運用するという点です。社内で決定したUTMパラメータールールをドキュメント化し、関係者に周知することが大切です。

ルール化したにもかかわらず、ドキュメントやガイドラインとして残っていないと、各々が別々のパラメーターを付与してしまいます。組織で運用していくためには、ドキュメント化し管理体制を整えることが重要です。

最後3つ目が、定期的なレビュー・更新を行うという点です。例えばマーケティング戦略の変更があったときなどは、UTMパラメーターのルールの見直しが非常に重要になってきます。皆様の組織の中でも、この3点を押さえられているかという点で今一度振り返ってみましょう。

その他GA4でよくある設定ミス

その他のよくある設定ミスとしては、GA4のトラッキングコードである「Googleタグ」はどの「GAイベントタグ」よりも早いタイミングで発火させる必要があるということです。「Googleタグ」よりも前に他のイベントが発火した場合、そのイベント情報が正しく計測されない可能性があります。

上記のように、まず初めにGoogleタグを発火させて、その後に他のイベントタグを発火させることが重要です。DataLayerのカスタムイベントの使用などにより、Googleタグの発火より後に発火させるのが困難なGA4イベントがある場合、GTMのタグの順序付け機能やトリガーグループを使用し、タグの発火順序を制御しましょう。

まとめ

本ウェビナーでは、GA4の設定を精緻化することで得られる詳細なデータと、そこから導き出せる具体的な分析手法を解説しました。

  • コンテンツグループを活用することで、導線強化すべきコンテンツを把握でき、CV獲得施策の PDCAを回すことができる
  • eコマースイベントを精緻に取得しておくことで、商品ベースでの分析が可能になる
  • eコマースイベントで商品スコープのパラメータを使用することで、新たな分析視点を得ることができる
  • UTMパラメータの運用ルールを設けることで、適切な流入情報に基づいて一貫した分析が可能になる

今回のセミナーの内容についてより詳しく知りたい方は、下記リンクより資料のダウンロードをお願いします。

こんな方におすすめ

  • デジタルマーケティング戦略を担当するマネージャー/責任者の方
  • 自社サイトの分析を担当されている方
  • GA4の導入・設定に関わる技術担当者の方

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