2024年9月10日に「導入後1年以内の企業向け!Tableauを組織で使いこなすための道筋」というテーマでセミナーを開催しました。ご参加いただき誠にありがとうございました!
セミナーではTableauのダッシュボード構築〜社内展開において必要なステップ、または組織内のTableau文化醸成におけるポイントについて解説しました。この記事では、セミナーの概要をまとめてご紹介します。
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Tableau導入後の全体像(3か月後、6か月後、1年後)
Tableau導入で期待できる効果
ダッシュボードを通じて、データに基づいたPDCAサイクルが実現できます。具体的には、経営とサイト運用に関する指標を可視化し、数値の変動要因とボトルネックを特定できます。
また、分析結果に基づき、強化すべき施策を立案することも可能です。それによって、チームの課題を把握して、パフォーマンス改善のために何に着手すればいいか明確になります。
Tableau組織運用のゴール設定について
Tableau導入後の組織運用のゴールは、3か月後、6か月後、12か月後に分けて設定するとよいです。
最初のゴールは3か月後にダッシュボードを作成することです。6か月後のゴールは、作ったダッシュボードの継続利用をチーム内で促進することです。12か月後のゴールは、データドリブンな組織運用を成し遂げることです。
今回のセミナーは3か月後と6か月後にゴールを達成するために必要なステップに焦点を当てます。
3か月後の目指すべき姿:チーム全員が使いこなす
導入3ヶ月後の目標は、チーム内全員がダッシュボードを使いこなすことです。そのために、課題と目標の整理に励み、Tableauスキルを身につけることが重要です。
ダッシュボードの種類には、提示型と探索型があります。提示型には状況を把握する目的があり、作るために一般的な知識と簡単な操作が求められます。一方で、現状からどんな部分に変化の要因があるかなど、詳細の分析のためには探索型ダッシュボードが必要です。深掘り分析を行うためには、特定のドメイン知識と複雑な操作が求められます。
3か月後の目標として提示型ダッシュボードの作成をおすすめします。
以下の作成手順に沿って、ダッシュボードを作ることができます。
STEP1 要件定義
最初のステージで、ダッシュボードを通じて実現したい分析内容や機能を整理することで、分析のテーマやプランを明確化します。
KGI/KPIの確認やプライオリティの高い課題を洗い出し、以下のように、実現したいこと・指標・期間を設定して、ビジネス課題一覧リストにして整理します。
STEP2 データソース開発
次に、案件定義で整理したデータソースを必要に応じてクリーニング・突合して、データソースを作成します。
Tableauを導入すると、Tableau Prep Builderというローコードデータ加工ツールも使用できるので、手軽に開発を行えます。
前のステージの結果から必要な項目を洗い出し、分析に使用されるデータの定義の確認と最適化を行います。
STEP3 イメージ作成
その後、実ダッシュボードの構築に入る前にPowerPointやデザインツールでイメージを作成し、ダッシュボードが分析プランに沿っているか、漏れなく要件が拾えているか確認します。
ここのステージでいくつか押さえるべきポイントがあります。
- 指標の表現方法は最適か?(グラフの種類、表現の意味)
- 詰め込みすぎていないか?(3つ以上のグラフが1つのシートになっていないのか)
- グラフの色に意味があるのか?(色を使いすぎていないか、色にそもそも意味がこもっているのか)
これらを意識すると、わかりやすいダッシュボードが作成できます。
STEP4 実ダッシュボード作成
最後に、作成したイメージを元に実際のダッシュボードを作成します。
作成の際には、以下のポイントを意識しましょう。
- グラフの幅は適切か(ユーザーが見たいことに応じて調整すべき)
- 文字の大きさは適切か
- 軸は見やすくなっているか(軸の始まりを調整すると見やすくできる)
ダッシュボード作成時の一番重要なポイントは、ユーザーの視点になって何を示したいのか、どんなことに注目してほしいのかをあらかじめ決めておき、作成に挑むことです。
6か月後の目指すべき姿:運用サイクルを構築する
6か月後のアクションは、同じ部署の中で作成したダッシュボードの利用を促進し、定期的なフィードバックを回収することで、最善な運用サイクルを実施することです。
ダッシュボードを作成後、継続してユーザーに利用してもらう必要があります。そのためには、レビュー依頼を通して改善要望やフィードバックを回収することが大切です。
回収した要望やフィードバックに対して、優先度を付けて対応することで、ユーザーの興味を絶やさずニーズを反映します。また、データの鮮度を担保するためにも、定期的なメンテナンスを通してダッシュボードをアップデートするサイクルを構築することが大切です。
導入6か月後はダッシュボードを使い続けてもらうことが重要であるため、ダッシュボード作成において3つのポイントを意識する必要があります。
継続利用されるダッシュボードの3つのポイント
POINT1 ユーザーニーズの反映
ユーザーが求めているデータや視点を正確に把握して、反映する必要があります。そのために、以下の3つの点に留意すべきです。
- 要望された項目は実現されているか(指標や分析軸、フィルター等)
- 想定していた利用シーンで活用できそうか
- 操作感に問題はないか(フィルターが多すぎないか、表示速度は大丈夫?)
POINT2 視覚的な魅力と使いやすさバランス
ダッシュボードでは認知負荷を抑え、主張すべき内容が伝わることが大切なので、以下のポイントを念頭に置きましょう。
- 画面構成が複雑なものになっていないか
- 色使いで誤解を与えたり、わかりづらい状態になっていないか
- 特定の背景知識を要するグラフになっていないか(誤解や過大評価を招く恐れがあるグラフ)
- 操作方法に癖がないか(多段フィルターや特定行動をとらないと表示されない等)
POINT3 KPIや指標の更新
必ず、定期的なKPIの見直しと反映が必要です。
ここでポイントになるのは以下のような点です。
- 指標の計算ロジックは意図するものとなっているか?(ユーザー側が意図しているロジックと計算のロジックが合っているか)
- 参照するテーブルやカラムは問題ないか?(ECの売上を見たいが、SHOPの売上を参照していた等の事故を防ぐ)
- KPIの見直しをダッシュボードへ反映しているか?(古い定義のままモニタリングすることを避ける)
ダッシュボードを組織内に浸透させていくためのコツ
次に、ダッシュボードを組織内に浸透させていくためのコツを4つ紹介します。
1)ダッシュボードの共有方法と権限管理の整備をする
適切な共有と権限設定により、組織内のセキュリティを保ちつつ、必要な情報が共有される環境を整備する必要があります。
- 作成したダッシュボードは、ローカルによる閲覧も可能ですが、よりセキュアに共有される必要があります。
- 適切な権限設定の下、意図したユーザーのみ展開していく方針をとり、閲覧事故を未然に防ぐ姿勢が求められます。この権限設定を行わないと、ユーザーの信頼を失う可能性があります。Tableau Cloud、Tableau Serverというプラットフォームを通じて、環境整備が必要です。
2)社内トレーニングとサポート体制を構築する
ダッシュボードの効果的な利用とメンバー自身での作成を促すため、定期的なトレーニングとサポート体制を構築しなければなりません。
教育体制の構築において、次の点について考えることが必要です。
- 組織全体が得るべきスキル水準と、中級者・上級者のレベル感を定義する
- 定義したレベル感をどのメンバーに求めるか決める
- 少人数の突出したメンバーを育成するよりも、基礎的な知識をメンバーが理解し共通言語となることを目指す
社内トレーニングとサポート体制の具体的な方法は、以下のようなものがあります。
基礎知識を得ることができるようにコンテンツやトレーニングを展開して、応用的な範囲を自発的に学習できるよう、サポート体制を構築しましょう。
3)ユーザーフィードバックを受け継続的に改善する
ダッシュボードを組織内に浸透させていくためには、ユーザーからのフィードバックや要望を定期的に吸い上げ、継続的な改善を行わなければなりません。
フィードバックを有効に活用するために、以下の2つの方法があります。
- ユーザーの利用状況をモニタリングし、窓口を設けます。そこでインタビューをする際、ダッシュボードを利用して、使いづらさや不要だと感じた点、追加要望のフィードバックを集めます。
- 抽出された要望や課題に優先順位を付けて、改善対応を行います。ダッシュボードの意図を損なわないようメンテナンスをします。メンテナンスの中で、データが肥大化しないか、データ更新が行われているのかチェックする必要があります。
4)部門横断的なコラボレーションを促進する
部門間のデータ共有と協力を促進し、全社的なデータドリブン文化を醸成します。
具体的には以下のような施策が考えられます。
- パイロット的部門にて作り上げたプロセスをもとに、他部門へ横展開を図る。
- 応用的な分析を実現するために、他部門のデータとの統合を図る。
導入6ヶ月後に目指すべき姿「運用サイクルの構築」を実現するためのポイントを以下にまとめます。ぜひお役立てください。
継続利用されるダッシュボードのポイント
- ユーザーニーズの反映
- 視覚的な魅力と使いやすさバランス
- KPIや指標の更新
ダッシュボードを組織内に浸透させていくためのコツ
- ダッシュボードの共有方法と権限管理の整備をする
- 社内トレーニングとサポート体制を構築する
- ユーザーフィードバックを受け継続的に改善する
- 部門横断的なコラボレーションを促進する
まとめ
本セミナーではTableauのダッシュボード構築〜社内展開において必要なステップ、また組織内のTableau文化醸成におけるポイントについて解説しました。
- Tableauを導入する際、期間別にアクションを分けて進めることが大切です。一気に拡大するのはなかなか難しく、フォローができずに失敗に終わるケースがあります。それを避けるために、全社で一気に進めるのではなく、パイロット部門を設定し、スモールスタートすることを心がけましょう。
- 最初の3か月では課題や目標の整理を行い、Tableauのスキルを駆使して、ダッシュボードを1枚作成することを目標にしましょう。
- 次の6か月では作成したダッシュボードの継続利用を目指し、定期的なフィードバックの回収と改善サイクルを軸として、組織内にダッシュボードを浸透していくために、適切な環境の整備と組織作りを行います。
本記事では詳しく触れませんでしたが、最後の12か月では、ダッシュボードの運用範囲を広げるために、リーダーとなる人材の育成を行います。データドリブンな組織運営に必要なことは、組織内の全体的なトレーニングでTableauとビジュアル化を通じて、データの共通言語化をしていくことです。
セミナーの内容をより詳しく知りたい方は、下記リンクより講演資料・動画ダウンロードをお願いします。
こんな方におすすめ
- Tableauを導入したけど、どこから始めるべきか分からない方
- Tableauでデータの活用を進めたいが、適切なダッシュボードの作成方法が分からない方
- Tableauダッシュボード作ったが、なかなか社内で浸透しないとお悩みの方
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