2024年6月11日に「ターゲット顧客に向けた効果的なデジタル広告チャネルを選定するポイント」というテーマでウェビナーを開催しました。

プリンシプルアメリカの解析ディレクター兼Eboost ConsultingのCOOであるクリスと、日本国内や海外の支援実績が豊富なコンサルタント 城田が登壇し、海外進出に関心を持つ企業様にご参加いただきました。ご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました!

この記事では、本ウェビナーの内容をまとめます。

〈こんな方にオススメ〉

  • 米国進出を検討している / すでに進出している 日本のBtoB企業のマーケティング担当者の方
  • 海外での事業拡大に向けたマーケティング施策・広告施策を統括している方、責任者の方

本セミナーでは、海外での事業拡大を見据える日本のBtoBマーケターが知っておくべき、デジタル広告施策ポイントや知見、事例をご紹介しました。

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ターゲット顧客に向けた効果的なデジタル広告チャネルを選定するポイント

概要・キーポイント

プリンシプルがご支援してきた多くの日系企業様より、BtoBに特化した情報はないかとお問い合わせを頂いてきました。

そうしたお声に応えるために用意したのが本記事にてお伝えする内容です。大きく分けて3つのポイントに集約できます。

①カスタマージャーニーにおけるタッチポイントの多様化
 →近年、BtoBの意思決定者(Decision Maker)はエンゲージするチャネルの数が増えている。

②パンデミック前後の勤務体制に応じた営業・マーケティング戦略のアプローチ手法変化
 →米国ではリモートワークが定着。リモートワークが可能なアメリカ労働者のうち、3分の1以上が常時在宅勤務を選択している。

③リード獲得チャネルはコンバージョンにつながるトラフィック獲得だけでは不十分
 →ターゲティング精度・質の高いトラフィックを獲得するための施策も大事。

以上の点を踏まえながら、米国進出のBtoB事情について触れていきます。

ターゲットユーザーのデータを理解する

BtoB ビジネスにおいて、「デジタル広告を配信するターゲットユーザーをどのように見つけるか」が課題となることは少なくありません。

とくに、日本とは異なる米国の環境への理解は決して容易ではないため、まずはターゲットオーディエンスのデータとそのポジショニングから理解を進めることが必要です。

  • 興味・関心・サイト訪問・行動・年齢・性別・その他デモグラ・ロケーション
    (例)大学卒/MBA有り/女性/35歳/AZ州Z市に在住/政治・Tech Newsに関心あり
    →BtoC & BtoBの広告運用に活用される情報(管理画面上にデータが存在する)
  • 氏名・Eメール・役職・部署・会社名・住所・電話番号
    (例)Jenny Yamada/jy@email.com/CIO/CA州・Acme社の社員
    →BtoC & BtoBの広告運用に活用されるがFirst Partyデータを得る前提がキー(First PartyやCRMのデータ)
  • 個人:詳細な属性、企業:会社の詳細情報
    (例)過去に資料請求有り、XYZのイベントに登壇、会社の社員数:1000名、会社の業績情報など
    →BtoBでほしい属性データを活用(Third/First PartyやCRMのデータ)

「興味・関心・サイト訪問・行動・年齢・性別・その他デモグラ・ロケーション」についてはBtoCでもよく見かけるデータですが、加えて「氏名・Eメール・役職・部署・会社名・住所・電話番号」のようなデータ、さらにはサードパーティやCRMを用いて「個人:詳細な属性、企業:会社の詳細情報」のようなデータがあればあるほど、BtoBにおけるターゲティングはより意味のあるものとなります。

これらの情報をどのように収集するかが課題になることも多くありますが、逆に揃えることができればチャンスに繋がる可能性もあります。そのため前述のキーポイントとして挙げた①カスタマージャーニーにおけるタッチポイントの多様化が鍵となります。

ターゲットユーザーの行動を理解する

BtoBビジネスの意思決定者(Decision Maker)の意思決定プロセスにおいて、アメリカでは「ソートリーダーシップ(Thought Leadership)」と呼ばれるコンテンツを消費し、最終的なサービスプロバイダーや製品を選択します。

「ソートリーダーシップ」とは、特定の分野において専門家としての知見や洞察力を活かし、業界の論調や思考をリードすることを指します。

意思決定者の52%以上は平均して週に1時間以上のソートリーダーシップコンテンツを読みます。また、意思決定者の75%以上が、能力や専門性を評価する上で企業のソートリーダーシップコンテンツが、マーケティング資料や製品パンフレット以上に信頼できる情報源としています。

2021年時点で、BtoB顧客はサプライヤーとのやり取りに10以上のチャネルを定期的に利用しているというデータもあり、2016年の5という数字と比較すると大きく増加していることがわかります。


Source: 2024 B2B Thought Leadership Impact Report – Edelman & LinkedIn B2B sales: Omnichannel everywhere, every time – McKinsey

ここ数年で意思決定者の多くが接するコンテンツが増えてきているということは、言い換えるならば、カスタマージャーニーの複雑性が増しているということでもあります。

複数のチャネルで顧客と積極的にコミュニケーションを取る

上述のような複雑性を増している状況の中、一般的にはアメリカのBtoBマーケターが広告を打つ媒体としてLinkedInかGoogleを選定する傾向があります。

LinkedInにはプロフェッショナルを扱うデータが集まっており、Googleには「これが欲しい」という明確なデータを探すのに適しているからです。反面、MetaやX(旧Twitter)やSnap、TikTokはBtoCだから興味がないという意見も聞かれます。

しかしながらある調査では、近年、BtoB商品の購入者にとってLinkedIn以外にも、MetaのFacebookなどのプラットフォームの情報も重要となっていることも示唆されています。

もちろん従来通りLinkedInでの施策も大事ではありますが、複数チャネルの中で顧客と積極的にコミュニケーションを取る必要があります。検討段階における顧客の65%がSNSを使って情報収集しており、BtoB企業においても、勝ち抜くブランドはユーザーとの接触機会を増やすための投資を行っているという事情がアメリカにはあります。

Source: https://www.thedrum.com/open-mic/uncovering-shifts-in-b2b-buying-behaviour

低額商品や簡単な購入はセルフサービス・デジタルが主流

BtoB取引におけるチャネルとして、対面・リモート・セルフサービスの3種類をサポートすることが重要です。


Source: B2B sales: Omnichannel everywhere, every time – McKinsey

マッキンゼー社が明かすデータからもわかる通り、高額商品や複雑な購入プロセスを踏む商品の場合、企業は対面営業へのリソース配分を増やす必要がありますが、リモートやセルフサービスなども選択肢として残しておくこともまた重要です。

低額商品や簡単な購入プロセスの商品はセルフサービスが主流となる可能性がありますが、一部のバイヤーは対面営業を好む可能性もあるため、やはりチャネル全体の整備が必要となります。

セミナー本編では上記のような複雑化するBtoBチャネルの背景を踏まえ、アメリカで利用されるメディアから具体的にどういったデジタル広告チャネルのオプションが考えられるのか、また選定するポイントはどこにあるのか、さらに詳しく解説しました。

気になる方は、ぜひ講演動画・講演資料をご覧ください。

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まとめると、以下のようなポイントをおさえる必要があります。

  • 良いBtoBプロスペクト戦略は、ターゲットオーディエンスに少人数リーチする広告キャネペーンや特定の企業や個人を指名するだけの媒体に限定されるべきではない
  • 人々のメディア利用方法と各メディアでのエンゲージメント方法を考えると、従来はBtoCやEコマース向けと考えられていた広告プラットフォームであっても、今ではBtoBにも有効
  • BtoBマーケティング活動において適切な広告チャネルを選択するためには、ターゲットオーディエンスとその行動を理解し、広告プラットフォームでデータがどのように活用されているかを把握することが重要

以上を踏まえ、アメリカにおける各デジタル広告媒体を選定することが重要です。

事例:BtoB自動車業界向けSaaS

上記に関連して、具体的な事例をご紹介します。

アメリカにて、自動車業界の経営者をターゲットとしたソフトウェア会社の事例です。

大企業ホワイトカラーの部長職やブルーカラーの工場労働者へリーチするのではなく、そこの経営者へリーチしたいというケースです。広告媒体としてLinkedInがすぐに思いつく手法として挙げられますが、それは必ずしも有効打とはなりえませんでした。

そこでMetaを広告手法として活用したところ、エンゲージメントが高いことが分かりました。もちろん、ただMetaへ広告を打つだけでは、経営者という属性を狙ってリーチすることは容易ではありません。1st Partyデータ等とかけ合わせることでターゲティング精度を高め、PDCAを回し、テストを繰り返した結果、Meta経由でのマーケティングリードを3ヶ月弱で2倍にすることができました。

※他にもケミカルマテリアル提供事業の海外市場におけるGoogle検索広告運用事例について、セミナーで解説をしています。

まとめ

本セミナーでは、

  • 米国進出を検討している / すでに進出している 日本のBtoB企業のマーケティング担当者の方
  • 海外での事業拡大に向けたマーケティング施策・広告施策を統括している方、責任者の方

に向けて、海外での事業拡大を見据える日本のBtoBマーケターが知っておくべき、デジタル広告施策ポイントや知見、事例をご紹介しました。

米国進出を検討している企業の担当者の方や、 すでに米国進出しており広告運用に関する最新情報を収集中の方必見の内容となっていますので、以下より、講演資料・アーカイブ動画をご覧いただけますと幸いです。

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また、弊社では日系企業様の海外進出に関わるマーケティング支援を多数行っております。お困りごとがある際は、いつでもお気軽にお問い合わせください。

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