2023年7月7日に、ウェビナーイベント「The Principle Days 2023」を開催いたしました。たくさんの方にご参加いただき、ありがとうございました!
この記事では、本イベントでお届けしたセッションの中から『「今すぐ」できる!マーケティングデータ統合基盤の構築とその活用』の内容をまとめていきます。マーケティング活動の中で生まれたデータを最大限に活用したい方や、活用事例について知りたい方はぜひご覧ください。
なお、本ウェビナーの講演資料と講演動画は、下記リンクより受け取れます。
マーケティングデータ統合基盤とは?
マーケティングデータ統合基盤(DMP、CDP)とは、企業のマーケティング活動で発生するさまざまなデータを一元化・処理・分析・理解するためのプラットフォームのことです。
インターネットやWebがまだ普及していない頃のマーケティング活動は、テレビや新聞等のマスメディアの広告を使って製品のPR活動を行うものでした。効果の計測は自社のPOSレジを通して購買データとして取得するのが主流で、マーケティング活動で生まれるデータはごく僅かなものでした。
しかし現在ではデジタルマーケティングの発展により、自社Webサイトだけでなく、YouTubeやソーシャルメディア(Twitter、Facebook、TikTok、Instagram)、実店舗などさまざまなチャネルがマーケティング活動に関わるようになりました。
また、それぞれのチャネルで多くのデータが計測できるようになり、マーケティング活動によって膨大なデータが生み出されています。たとえば、メールマーケティングによるメールの配信ログや、ECサイトや実店舗の購買履歴データ、会員サイトの会員データ、コールセンターへの電話の履歴データ等のさまざまなデータがあります。
これらを一極集中して管理し、活用するための基盤がマーケティングデータ統合基盤です。
マーケティングデータ統合基盤構築の目的
マーケティングデータ統合基盤を作る目的には、以下の2つの観点があると考えます。
- ①攻め:高度な分析とインサイトの洞察などによる「売上拡大」
- ②守り:データの一元化による効率的な運用による「コスト削減」
①攻め:高度な分析とインサイトの洞察などによる「売上拡大」
さまざまなデータを統合し分析することで得られるインサイトをマーケティング施策に活かし、売上を拡大します。複数のデータを組み合わせて分析することで、得られるインサイトが幅広くなり、その結果売上拡大に繋げられる可能性があるのです。
たとえば、Googleアナリティクスのデータだけでなく、そこに天気のデータや地域ごとの人口データを組み合わせることで、さらに多くの洞察を得る事ができます。
また、分析するだけがすべてではなく、
- オフライン(実店舗等)でのコンバージョン(購入)を広告媒体に連携し、自動入札に活用する
- 自社のユーザー情報をオーディエンスとして広告媒体に連携し、ターゲティングに活用する
というように、広告媒体において直接的に利用することで、広告パフォーマンスの改善に活かすことができます。
②守り:データの一元化による効率的な運用による「コスト削減」
マーケティングデータ統合基盤を活用すると、毎月(毎週)作成しているレポートを自動化することが可能です。
これにより、
- 毎回のレポート作成コストを大幅に減らす
- レポート作成時の作業ミスをゼロにする
- レポート作成担当者の変更などによる引き継ぎをゼロにする
といったコスト削減効果があります。
また、各ツールからデータを取得しダッシュボードに表示する一連の処理において、すべてをシステム化することで、いつでもリアルタイムに最新のデータを見ることができます。
マーケティングデータ統合基盤構築のプロセス
一般的なデータ統合基盤のプロセスとして、以下の流れがあります。
目的・ゴールの明確化→統合基盤の構築→分析→アクション
この時やってしまいがちなのが、目的・ゴールを大きく設定してしまうことです。すると「統合基盤の構築」のステップを終わらせるためのコスト・期間が増大してしまい、「分析」「アクション」のステップに十分な時間・コストを費やすことができないというデメリットが発生します。
また、プロジェクトが長期化すると、その間に最初に設定した目的やゴールを見失ってしまうケースも多々あります。それによって、実際の分析をしようと思っても、思い通りに分析できないという壁にぶつかることがあります。
プリンシプルが推奨するプロセス
そこで、プリンシプルが推奨するプロセスは以下の図の通りです。
「目的・ゴール」を小さく設定し、小さなサイクルを素早く、何周も行います。プロセスの流れとしては、一般的なもの(目的・ゴールの明確化→統合基盤の構築→分析→アクション)と同様ですが、全体のサイクルを短期間で何度も行うことが可能となります。
このように小さなサイクルを素早く回すメリットは、以下の3つがあります。
- 1つ1つのサイクルが小さくなることで、アクションまでを短くすることができる
- 分析やアクションした結果をもとに、次のサイクルの計画を立てることができる
- 最初に少額な投資でスタートできるため、1回目のサイクルで早めに成果を出すことができれば、その後より大きな投資を行うことへの社内理解に繋げられる
では、最初の1サイクルは何から始めるべきでしょうか?
その答えとして、簡単に構築可能なデータから始めるのが良いと考えます。たとえばGoogle関連のプラットフォームのいくつかは、BigQueryに簡単に統合することが可能です。GA4、検索アナリティクス(サーチコンソール)、YouTubeアナリティクス、Merchant
Center、Google Playは、プログラムコードを一切書くことなくBigQueryに統合できます。
構築実績がある統合データの例
弊社で構築実績がある統合データ例として以下の3種類があります。
■マーケティングでよく使われるサービス
- Googleビジネスプロフィール䛾店舗一覧や口コミ、レポートデータ
- GoogleやYahoo、Facebookを始めとしたWeb広告䛾レポートデータ(外部䛾インテグレーションサービスを利用)
- Salesforce上のデータ
■サードパーティーのパブリックデータ
- 各地の天気データ(サードパーティーの天気データAPIを利用)
- 統計局のデータ(市区町村や年代別の人口データなど)
■自社データ
- 自サイトのサイトマップXMLや、自サイトのクロール・スクレイピングしたデータ
- 広告フィードのデータ(ECサイトの商品データや求人サイトの求人フィードなど)
統合したデータの活用事例
本セッション内では、実際に統合したデータをその後どのように活用すれば良いかという活用事例を4つ紹介しました。
- 事例① ECサイトにおける在庫欠品による機会損失の算出
- 事例② データフィード広告への自社データ活用
- 事例③ Indexing APIによる検索エンジンインデックスまで䛾リードタイム改善
- 事例④ 天気とパフォーマンスの相関分析と広告運用への反映
本記事ではそのうちの2つ(事例①と事例④)をご紹介いたします。すべての事例について詳細を知りたい方は、以下より本ウェビナーの講演資料と講演動画をご覧ください。
事例① ECサイトにおける在庫欠品による機会損失の算出
Google Merchant Centerで得られる商品フィードのデータと、GA4のデータを組み合わせることで実現できます。
GA4では、商品別のBuy-to-Detail率(ある商品の詳細ページが閲覧された回数の内、購入される回数の割合)と、在庫がない時の詳細ページの閲覧数を得ることができます。これらを、Google Merchant Centerの日別・商品別の在庫状況のデータと組み合わせて、商品の在庫欠品がいくらの機会損失を産んでいるかを計算することが可能となります。
このようにして得られた情報をもとに、機会損失を防ぐため、在庫発注量をコントロールしたり、在庫がない商品詳細ページに対してレコメンドエンジンを使用したりという改善を行うことができます。
事例④ 天気とパフォーマンスの相関分析と広告運用への反映
外部の天気データAPIから日別・地域別の天気情報を取り込み、さらにGA4に蓄積される計測データをBigQueryにエクスポートします。この2つのデータをBigQuery上で統合することで、天気や気温によるCVRの違いをBIツール上で分析することが可能となります。
分析の結果、天気によりCVRが大きく変わることが分かれば、天気に合わせて広告の出稿地域ごとに入札や広告クリエイティブを動的に変更することで、より高い広告効果を得ることを実現できる可能性があります。とくに、宅配系(飲食のデリバリーサービス等)の業種にはオススメの手法です。
本セッションで紹介した事例では、データソースの種類としては少ないものばかりです。しかし、データソースが少なくても、アイディア次第で活用用途は無限に広がります。
まとめ
この記事では、2023年7月7日に開催したウェビナーイベント「The Principle Days 2023」でお届けしたセッションの中から、『「今すぐ」できる!マーケティングデータ統合基盤の構築とその活用』の内容をまとめました。
要点は以下の4点です。
- マーケティングデータを統合する目的は、主に「分析による売上拡大」と「自動化による運用の効率化」の2つが存在する
- データ統合のプロジェクトを進める時、いきなり多くのデータを統合しようとすると、プロジェクトが進まないケースが多い
- まずはすぐに統合できるデータをもとに、統合から分析、アクションの一連のプロセスを実行すると、先に進めやすい
- 統合するデータが少なくても、アイディア次第で活用用途を無限に広げることができる
本記事ではご紹介しきれなかった内容もありますので、ご興味のある方は下記リンクよりウェビナーの講演資料・動画をご覧ください。
〈本ウェビナーはこんな方にオススメ〉
- データドリブンにマーケティングを推進したい方
- GA4 BigQueryをどう活用したらよいか分からない方
- マーケティングのデータ基盤の構築を推進している方