Facebook/Instagram広告ってブランドの認知拡大のためのもので、モノを売るのには向かないでしょ?

いえいえ、それも今や昔。最近は、Facebook/Instagram広告も直接モノが売れる広告媒体になっていますよ、というお話。

最近よく見かける、リッチな表現のクリエイティブ

これまでのFacebook/Instagram広告(以下FB/IG広告)は画像や動画のみのクリエイティブが主流でしたが、その景色もすっかり様変わりしました。広告クリエイティブでは、まるでランディングページや商品一覧ページのような表現が可能になり、ますます広告の訴求力が高まっています。

商品の魅力が広告上で詳しく見られたり、いろいろな商品を並べられたりすると、ついクリックしちゃいますよね。私もそのクチです。最近は、FB/IG広告経由で買い物することも随分増えました。

自分のFB/IG広告でも、あんなふうにやってみたいなー、でも手間は?効果は?そんなお悩みを抱えているWeb広告ご担当者様に代わり、2つの広告クリエイティブを試して、パフォーマンスを比較してみましたので、ぜひご一読ください。

あの広告クリエイティブの名称は?

FB/IG広告のクリエイティブは、大きく分けて3種類あります。

  • 1件の画像または動画:従来型。1枚の画像 or 動画 + テキスト
  • カルーセル:スクロール可能な2件以上の画像 or 動画 + テキスト
  • コレクション:スマホのフルスクリーンで表示可能なアイテム一覧

さらにこれに加え、ユーザーが広告でアクションを実行したときに開く、スマホに最適なフルスクリーンのLPを作成できる「インスタントエクスペリエンス」(サンプルは下記動画参照)など、広告クリエイティブは近年目覚ましい進化を遂げています。

そこで、比べてみました、コレクション vs. カルーセル。

最近頻繁に目にするの商品一覧付きの「コレクション」。まるでECサイトの商品一覧ページのような見た目ですので、「お、この商品良いな」と思うと、つい最後までスクロールしてしまいます。さらには「もっといいのないかな」と、サイトリンクをタップしてしまう魅惑のクリエイティブです。

そしてもう一つ忘れてはならないもの、それは「カルーセル」です。

FB/IG広告では比較的老舗のクリエイティブで、商品画像がカードのように並んでおり、それを横へスクロールすると、次々とカードが表示される、という形式のものです。

ではこれら「コレクション」「カルーセル」、一体どちらがECサイトにとってパフォーマンスを最大化できる配信フォーマットなのでしょう?実際配信して競ってみました!

比較条件

まず、2つのクリエイティブの要件です。表示する内容や入札戦略によって差が生じないよう、同一条件としています。

  • コレクション、カルーセル共に、掲載商品は同じものを8点。
  • カルーセルの1枚目とコレクションのカバー動画は同じ動画を使用。
  • コレクション、カルーセルの商品画像は白バック。
  • 課金はインプレッション課金。
  • ユーザー軸での結果を比較するため、計測するクリックは「ユニークアウトバウンド」(FacebookやInstagram外へのリンククリック。つまり、掲載商品のサイト内商品詳細ページなどのクリック)を利用。

公正を期すため、これら2つのクリエイティブを同じ広告セット(※)で作成しました。
※ターゲティングを同じくする広告の集まり。Google広告やYahoo広告で言うところの広告グループ

運命の瞬間…結果発表!

これらを一定の広告費で運用した結果がこちら!
※データは広告管理画面ベース

  コレクション カルーセル
全リーチに占める割合 73% 27%
全インプレッションに占める割合 71% 29%
フリークエンシー 1.68 1.83
ユニークアウトバウンドCTR 1.46% 1.27%
アウトバウンドCPC ¥39 ¥69
全購入数に占める割合 62% 38%
CVR 7.2% 13.4%
CPA ¥515 ¥357
購入ROAS 1622% 1523%
  • CTR(クリック率)、CPC(クリック単価)は、コレクションに軍配が上がりました。
  • 一方、CVR(購入率)はカルーセルが遥かに上。結果的にCPA(購入獲得単価)はカルーセルが勝利。
  • しかし、ROAS(費用対効果=購入金額÷広告費)は、コレクションが勝利。
  • Facebook広告は、目標に対して(ECサイトですのでROASがKPIです)より良い広告が配信されやすくなるため、リーチはコレクションに偏りました。

ここからわかること。

この結果から、ユーザーはそれぞれこんなふうに考えているのでは?ということと、各広告にマッチした商材が下記のように推測されます。

いかがでしょうか?ブランディングが主流だったFB/IG広告も、今やすっかりモノを売るための広告媒体となりつつあります。

ただ、ここで注意いただきたいのは、期待するパフォーマンスをしっかり出すには、広告の機械学習による最適化が絶対に必要、ということ。そのためには、ユーザーの振る舞いを正しく機械学習に届けることが何よりも重要です。

ここで言う「ユーザーの振る舞い」とは、

  • 広告経由でどの商品を閲覧したか?
  • どの商品をカートに入れたか?
  • どの商品を購入したか?

など。これらの計測を行うには、動的な値=購入金額や購入商品などの購入情報を含んだFacebookピクセルタグの実装が必須です。動的な情報を含めるには、システム側の対応や高度なタグマネジメントが必要になります。

正直、この動的なピクセルタグを正確に設置するのはかなりハードルが高いです。しかしだからこそ、広告媒体が要求するタグマネジメントを施すことで、1枚も2枚も上手(うわて)の広告配信、パフォーマンスの実現が可能になるのです。

おまけ:どちらの広告フォーマットがマッチしているかわからない場合は?

「自分のサイトの商材が、カルーセル、コレクションどちらにマッチしているのかわからない。」「どんな商品がユーザーに受けるのかわからない」。

そんなときは、ダイナミックフォーマットの利用がおすすめです。

ダイナミックフォーマットとは?

  • 画像、動画、説明文など複数のクリエイティブから個々のユーザーの「反応しやすい」フォーマットとクリエイティブを組み合わせを自動で複数フォーマットの広告を作成する機能。
  • できるだけ様々な画像や動画、広告テキストを用意し、掲載する商品も多数用意することで、より最適化が進みます。

さらには、数枚の静止画像からスライドショウを作成できる機能もあり、多額な制作費をかけずとも、工夫次第で広告の訴求力はグングン伸ばすことが可能です

 ←ダイナミックフォーマットの設定

また、ユーザーによって好みの商品は異なります。それにこたえるため、商品フィード(※)を用意しFacebookへ登録することで、個々のユーザーの好みに合わせた商品を自動的に組み合わせます。
※ 掲載したい商品情報をFacebook指定のフォーマットでデータ化したファイル

でも、タグや商品フィードって難しいんでしょ?

はい、正直、結構難しいです。タグ設置には、JaveScriptの専門的な知識、商品フィードには、広告媒体に適した最適化の知識が必要になります。

現在、商品フィードは、既存商品データを取りまとめることから進化し、最適化を行うことでパフォーマンスが大きく変化します。フィードについての詳細は、弊社のデータ解析エンジニアが詳細な記事を執筆していますので、ぜひご一読ください!実は長年商品フィードを触れている私も、改めて知識を整理できた良記事です(手前味噌)。

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鈴木夕加里

広告コンサルタント。長年ECサイト運営で培った「徹底したエンドユーザー視点」が強み。

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