今、世界中で最も注目されているChatGPT。このChatGPTが話題になるずっと以前から、Web広告の世界ではAIが広く活用されてきました。今やその進化はめざましく、入札だけでなくクリエイティブにまでAIが活用される時代となりました。
この記事では、AI時代に最適化した広告運用を実施した結果、売上前年比145%、ROAS前年比470ポイントの成長を達成した事例をもとに、絶対におさえておきたい広告の計測環境をご紹介します。
AIでWeb広告運用はどう変わった?
AI活用でここまで変わったWeb広告運用
AIの活用によって、Web広告の運用は大きく様変わりしました。具体的な変化をいくつか挙げてみます。
変化1. ターゲティングの精度向上
AIを活用することで、ユーザーの行動履歴や属性情報を元に、より精度の高いターゲティングが可能になりました。AIが自動的にデータを解析しターゲット層を特定することで、広告配信の精度が向上しコンバージョン率の向上に繋がっています。
変化2. リアルタイムな最適化
AIは広告の効果をリアルタイムで分析することができます。そのため、広告の効果が悪い場合は即座に配信を停止することができ、より効果のある広告に予算を移すことができます。これにより、無駄な広告費の削減や、効果的な広告運用が可能になりました。
変化3. 広告の自動生成
AIを活用することで、広告の自動生成が可能になりました。例えば、商品名や価格、特徴などの情報を元に、AIが自動的に広告を生成することができます。これにより、広告の制作にかかる時間やコストを削減することができます。
変化4. データの可視化と分析
AIを活用することで、広告運用に関するデータの可視化や分析が容易になりました。AIが自動的にデータを解析し、分かりやすいグラフや表にまとめてくれるのです。広告運用の効果を簡単に可視化することができ、運用の改善につながっています。
以上のように、AIの活用によって、WEB広告運用には大きな変化が生じました。これにより、広告運用の効率や効果が向上し、企業のマーケティング活動において重要な役割を果たすようになっています。
Web広告におけるAI最前線:Google広告の例(P-MAX)
Google広告で最もAIが活用されているプロダクトといえば、2021年にリリースされた「P-MAX」です。P-MAXは、AIを活用して広告のパフォーマンスを最大化することを目指しています。簡単に説明すると、ポイントは3つです。
1. 広告文・クリエイティブ・LPの最適化
広告文、画像、動画、(ECサイトの場合)商品フィードを「アセット」と呼ばれる箱に入れておくと、AIが設定された目標に基づいて、広告文、クリエイティブを最適化してれます。また、どんなロジックでLPが決定するか詳細は不明ですが、最終ページURLには「パフォーマンスを最大化できる」LPを選択してくれます。
※LPは、Googleショッピング面を除き手動で設定することも可能です。
2. ターゲットの最適化
以前は、人間が様々なデータからユーザーを分析し、数々のテストを経てターゲットを手動で最適化する必要がありましたが、AIにより自動化されました。「シグナル」を設定すると、AIがそれを加味した上で学習し、より目標に適したターゲットに広告を配信してくれます。
3. 配信面の最適化
配信面もAIが最適化。複数の広告プラットフォーム(検索、動画、ディスプレイ、ディスカバリーなど)を横断的に活用し、自動的に最適な広告配信バランスを調整してくれます。
このようにP-MAXはAIを駆使し、Web広告運用のあらゆる面に対して、設定された目標の最大値を実現できるよう設計されたプロダクトです。人間は、ただアセットを用意するだけ。いわば、Google広告におけるAI活用の最前線、それがP-MAXです。
AIの賢さは「教育の質」がすべて!Web広告向けAI教育メソッド
日々、猛烈なスピードで進化するAIを活用したWeb広告運用ですが、忘れてはならないのが、AIの精度は学習データに依存する、ということです。AIは様々なデータを学習して最適化を行いますが、その学習データが間違っていたら当然、正しい答えは出せません。「教育の質」が重要なのは、AIも人間も同じなのです。
Web広告におけるAIの学習データのソース
Web広告におけるAIの学習データのソースは、大きく下記の3つに分けられます。
①ユーザー
②サイト
③データベース(ECサイトの場合、商品フィードから得られる情報)
これらの情報を正しくAIに学習させることにより、AIはメキメキと賢くなっていきます。つまり、AIを最大限に活用できるか否かは、Web広告の計測基盤の質が握っているのです。
プリンシプルがおすすめする3つのステップ
以下に、Googleが強く推奨するWeb広告における計測基盤構築をベースに、プリンシプルがおすすめする3つのステップをご紹介します。
ステップ | ステップ1:構築 | ステップ2:実施 | ステップ3:活用 |
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目的 | 顧客に対する理解を深め、価値のある顧客体験を提供するための土台づくり | 新たな時代に対応する広告効果測定戦略の実施 | AIによる広告運用の自動化 |
対策 |
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効果 | 計測データの範囲や精度が向上 | AIの学習精度が向上し、ターゲティングや入札精度が改善 | Google広告でAIによる予測オーディエンスが利用可能に(条件あり) |
実装メニュー | Google広告 拡張CV、Facebook広告 アドバンスマッチなど | 広告タグ精緻化、商品フィード最適化(ECサイトのみ)など | GA4推奨イベント |
このステップを着実に進めることで、優れた教育をAIに施すことが可能になります。結果、AIの賢さはアップし目標に最適化され、パフォーマンス最大化が期待できます。
AI時代に求められる、Web広告運用における人間の役割とは?
AIの話題で、必ずと言っていいほど語られるのは「人間の仕事がなくなってしまうのでは?」という問い。確かにAIがWeb広告に活用されることで、多くのタスクが自動化され効率が向上しますが、人間は完全に不要になるわけではありません。
ではここで、当事者であるChatGPTに、AI時代における人間の役割と、人間が必要な理由を聞いてみましょう。
1. 戦略立案と目標設定:
広告キャンペーンの成功には、明確な目標と戦略が不可欠です。AIは広告の最適化や配信に役立ちますが、企業の目標や戦略を理解し、それに基づいて広告キャンペーンを設計する能力は、人間が持っている専門知識や経験に依存しています。
2. クリエイティブ制作:
AIは広告クリエイティブの最適化や選択を助けることができますが、オリジナルのコンセプトやデザイン、キャッチーなコピーを作成する能力は、人間の創造力とセンスが重要です。また、ブランドのトーンやイメージを維持するためには、人間の判断が必要です。
3. 感情や文化的背景の理解:
AIはデータを元に効果的な広告を配信しますが、感情や文化的背景を十分に理解することは難しいです。広告がターゲットオーディエンスに適切なメッセージを伝え、感情的なつながりを築くためには、人間の洞察力と理解力が必要です。
4. 倫理的な判断:
広告配信においては、倫理的な判断やプライバシーの問題が重要な役割を果たします。AIは効率的な広告配信を目指す一方で、倫理的な配慮を十分に行うことは難しい場合があります。人間は、これらの問題に対処し、適切な判断を行う役割を担います。
5. AIの監視と調整:
AIは非常に効率的ですが、完全に正確であるとは限りません。人間はAIの動作を監視し、誤った判断や予期しない結果が発生した場合に、修正や調整を行う役割を担います。
結論として、AIがWeb広告において活用されることで、人間の役割は変化し、一部のタスクが自動化されることはありますが、人間は完全に不要になることはありません。むしろ、人間とAIが協力して、広告業界全体の効果と効率を向上させることが期待されます。(引用ここまで)
正しい戦略立案は正しい分析から。AI時代の分析基盤「GA4」徹底活用法
AI時代における人間の役割の一つである戦略立案で重要な役割を担っているのが、何を隠そう2020年にローンチした「GA4」です。現在のWebサイトやカスタマージャーニー、プライバシー保護に合わせて進化したGA4ですが、実はこのGA4にもAIは活用されています。
GA4で収集できるイベントは、最も基本的な「自動収集イベント」から、ビジネスに合わせて独自に収集する「カスタムイベント」まで、4種類に分けられます(下記図表参照)。サイト改善やユーザーインサイトの分析には、最低でも「拡張計測イベント」の正確な実装をおすすめします。
さらにECサイトには、CVに至るまでの詳細な行動や購入意欲上昇の分析のため、「推奨イベント」の実装を強くおすすめします(動的な実装が必須となるためハードルは上がりますが)。
また、この推奨イベントの実装は精緻な分析という目的以外にも、GA4におけるAI活用の目玉機能である「予測オーディエンス」の利用条件となります。
AIに正しい教育が必要なように、正しい戦略立案には正しい分析が不可欠です。正確なデータは、AIにとっても人間にとっても、あらゆる施策のスタート地点となります。すでにUAからGA4へ移行を完了したサイトでも、ぜひ一度、様々な方向からデータの整合性を確認してみてはいかがでしょう?
※予測オーディエンスの詳細は「GA4をGoogle広告で活用するアイデア – 予測オーディエンス編」をご一読ください。
GA4のデータを活用した施策例
さてここで、推奨される計測環境が整ったらどんな施策ができるか、いくつか考えてみましょう。
活用例:
- UI/UXの改善 … 購入手続きの離脱ポイントを探り、フォーム改善や支払い方法の追加を行う。
- 商品価格やサービスの改善 … カートに入れたけど購入しない商品は、購入意思はあるけれど価格や送料が購入のネックになっている可能性がある。商品価格やサービスを改善するヒントに。
- 露出強化商品の選定 … お気に入り商品へよく追加される商品は注目度が高い。在庫追加やレコメンドで露出アップ。
- キャンペーン内容や見せ方改善 … クーポンの利用率を調査し、OFF率や値引き額表記など、どのようなクーポンが利用されやすいか検討する。
- お気に入り未購入ユーザーへの販促 … お気に入りに追加したが一定期間経過しても購入していないユーザーに対し販促。また、類似カテゴリ商品をレコメンド。
- 高LTVユーザーへの販促 … 高LTVユーザーはファン化している可能性が高いため、ユーザー限定の先行販売でCX向上。
このように、精緻なデータは、サイトのUI/UX、商品、サービスなど、あなたのビジネスが成長するための改善施策へヒントを与えてくれます。
まとめ:AI時代のビジネスは、正しいデータが勝敗の鍵
ご紹介したように、AI時代において優れた計測環境の構築は、ビジネスのあらゆる場面で重要な鍵を握っています。
なんとなくそれっぽいデータは、役に立つようで役に立っていません。すでにデータを収集して戦略決定に役立てていても、精緻かつ正確なデータが計測できていなければ、その判断は間違った根拠に基づいているため、施策を実行するほどゴールが遠ざかるというジレンマに陥る可能性があります。
この記事をきっかけに、ぜひとも、貴社のデータ計測環境を見直ししてみてはいかがでしょう?可能な限り早期にAI時代の波に乗ることは、まだ、実行していないライバルに差をつけるチャンスです。自社では実装ハードルが高いと懸念される場合は、プリンシプルまでごぜひ相談ください。