はじめに
Google広告の最適化スコアをご存じですか?最適化スコアとは、アカウントの設定状況がどれだけ最適に設定されているかの参考数値です。検索やディスプレイに加えて、動画やショッピング、アプリなど多様なプロモーション手法が選択可能なGoogle広告。多様な選択肢がある、ということは裏を返せば、考えるべき項目、設定すべき内容が多いということ。現在のアカウントの設定状況がベストなのか?運用者なら一度ならず頭を悩ませてしまうのではないでしょうか?そんな運用者の悩みに答えてくれるのが、最適化スコアです。本記事では、最適化スコアを運用の効果改善につなげるためのコツを3つに纏めてご説明します。
目次
- 最適化スコアとは
- 主な最適化案
- ポイント①改善効果の高い施策から検討
- ポイント②実施施策の効果を検証
- ポイント③100点を目指すことに固執しない
- 改善事例
最適化スコアとは
まず最適化スコアがどのように決まるのか、Googleの公式説明をみてみましょう。
“最適化スコアは、統計情報、設定、アカウントとキャンペーンのステータス、利用可能な最適化案の効果、最近の最適化履歴に基づいてリアルタイムで計算されます。”
ポイントは、リアルタイムで計算されるアカウント毎の個別の指標ということです。原則として、最適化スコアが高いほど望ましいです。逆に最適化スコアが低いほど、改善による伸びしろも大きいといえます。注意すべきは、あくまでGoogle広告の仕様に沿って計算される値のため、実際のプロモーションの目標値に対して計算される値ではないということです。つまり、最適化スコアは高いけれど、実際のプロモーションの目標に達していない状況も、最適化スコアは低いけれどプロモーションの目標は達成しているという状況もありえます。後者の場合、伸びしろがあるため広告予算増加をぜひ検討すべき状況です。
最適化スコアは、左メニューの「最適化案」から確認可能です。
主な最適化案
上のキャプチャの通り、最適化スコアとセットで、Googleから最適化案が提示されます。この最適化案を行っていくことで、最適化スコアを高めていく、ひいては運用効果を改善していくことができます。
具体的にどのような最適化案があるのか、以下に主な最適化案を記載いたします。
1. 新キーワードの追加
検索広告の要となるキーワードの追加案を実際のユーザーの検索動向をもとに提案してくれます。しかもどの広告グループに対して追加するのがよいかも以下図のように合わせて提示されます。念のため訴求している商品/サービスにマッチしているかを確認します。チェックボックスにチェックを入れてこの画面から即追加まで完了可能です。
新規キーワードの発掘は運用上欠かすことができないものですが、運用歴が長いアカウントほどすでに主要なキーワードは登録済みのことが多いと思います。Google側からキーワードが自動的に提案されるので非常にありがたい機能といえます。
2. 予算の引き上げ
広告予算はどの程度が妥当なのか?これも運用者を常に悩ませる懸念事項ではないでしょうか。予算調整の検討の一材料になるのが、この予算の引き上げ案です。以下図のように、広告予算の増加でどれだけコンバージョン数が増えるのかシミュレーションと合わせて表示されます。コンバージョン単価の想定と合わせて表示されるので、許容可能な範囲であれば、ぜひ引き上げを検討したいところです。画面上の「適用」ボタンを押すだけで反映されます。
3. レスポンシブ検索/ディスプレイ広告の追加
レスポンシブ検索広告/ディスプレイ広告は、広告見出し、広告文、素材となる画像を複数設定することで、各パーツの組み合わせをGoogleの機械学習によって最適化する仕組みです。レスポンシブディスプレイ広告に関しては、以下弊社ブログ記事もご参照頂ければ幸いです。
レスポンシブディスプレイ広告で動画アセット追加してみた
Googleの機械学習のアルゴリズムは日々進化しているため、検索広告/ディスプレイ広告ともにマニュアルでの最適化を大きく上回る実績が出ています。特にディスプレイ広告に関しては、規定サイズの素材を全て用意する手間も省けるため、作業対効果の点からも推奨される施策といえます。
上記3点以外にも広告表示オプションの追加や、新しい広告パターンの追加、重複するキーワードの削除などの施策が、アカウントの設定状況に合わせて表示されます。
ポイント①改善効果の高い施策から検討
さて、上記のように多様な施策が表示されるため、一体どの施策から実施したらよいでしょうか?実は各施策にはポイントが設定されていて、施策実施による改善効果の度合いが可視化されています。以下図の右上の「+9%」とか「+1.8%」がポイントです。このポイントが高い方が、最適化スコアの改善率も高くなります。例えば、以下図の場合は、レスポンシブディスプレイ広告の追加が+9%で、新しい広告パターンの作成が+1.8%のため、レスポンシブディスプレイ広告追加の方が改善効果が高いということになります。このポイントは各アカウントの状況に応じて設定されるため、自分のアカウントにとって効果の高い施策の優先順位をつけることが可能です。
尚、最適化案の実行に限らずですが、実施施策の効果がどれだけ得られたかは定期的にレビューしましょう。施策実施の1日後(大きく挙動が変わっていないか)、7日後、14日後あたりがレビューの目安となります。
ポイント②定期的に確認する
ポイントの2つ目は最適化案のリストを定期的に確認することです。冒頭の最適化スコアの定義にあるように、最適化スコアは”最近の最適化履歴に基づいてリアルタイムで計算されます”。これに合わせて最適化案も都度流動的に変わっていきます。極端な話、ある日に最適化案を全て実施して、100点になったとして、その後は放置してよいというわけではありません。ユーザーの検索動向や、競合の出稿状況によって打つべき施策も変化してきます。それらの流動的な要素に応じて、今何をすべきか、そのヒントとして最適化スコアを活用するために、定期的に確認することをお勧めします。何点以上だったら安心という目安は難しいですが、少なくとも60点以下は最適化案からいづれかの施策の実行を検討すべきだと考えます。
ちなみに上記のキャプチャにある通り、弊社のアカウントは基本的に80~90点以上になっています。
ポイント③100点を目指すことに固執しない
3つめのポイントは、一方で最適化案の改善自体を目的としないことです。もちろん大前提として、最適化案の向上と運用効果の改善は比例します。そのため最適化案の改善を目指すのは方針としては間違っていません。ただ、各アカウントによってKPIは異なりますので、KPI達成に繋がるかどうかの視点は欠かせません。
例えば上記施策例2であげた「予算の引き上げ」の場合、一定のコンバージョン単価以内であれば予算を引き上げてコンバージョンを狙いにいくことが正解となる場合も不正解となる場合もあります。一定期間での広告予算の上限やコンバージョン単価の上限など、アカウント固有の制約条件があるためです。運用者として目指すべきは、アカウントのKPIの達成です。(KPIが妥当かという話は常に検討すべきですが、本論からずれるので割愛します)
KPI達成へ向けて、どの施策をどんな優先順位で行うのか、その参考として最適化スコア及び最適化案は非常にパワフルな機能です。ぜひ最適化スコアに振り回されずに、有効活用してみてください!
実例:レスポンシブ検索広告追加の実績
最後に、弊社で運用を行っているアカウントでの最適化案を実施した際の実績をご紹介します。最適化案に沿って、レスポンシブ検索広告を追加した際のレビューです。以下は追加後約1週間後の実績です。レスポンシブ検索広告と、それ以外の広告の平均値を比較して、レスポンシブ検索広告がどれだけ実績を上げているかを検証しています。※実数値そのもはグレーアウトさせて頂いています
レスポンシブ検索広告の最適化の効果もあって、CTR・クリック数が大きく増加しています。そして何よりCVが倍増しています。さらにROASの値も改善しており、通常のテキスト広告よりも高いパフォーマンスが出ていることが確認できます。
もちろん、アカウントや市場のその時々の影響によって結果は変わってくるかと思いますが、打つべき施策を検討する上で非常に有効な機能といえます。