はじめに
アメリカにおいてLinkedInはユーザー数こそFacebookに及ばないものの、プロフィールに職業やスキルを記入するという慣習があることから、とてもユニークなターゲティング設定ができる媒体となっています。
この記事では、HubSpotやSpredfast、VistaVu Solutions、ユタ州大学の4つの事例を紹介します。各企業でどのような活用をしているのか、具体的なイメージをつかむ一助となれば幸いです。
HubSpotの事例
HubSpotはインバウンドマーケティング(ブログやホワイトペーパーなどをWebで公開し検索結果に上位表示させたり、SNSによる拡散を狙うことで、見込み顧客の興味を引きつけるマーケティング手法)に特化したソフトウェアを扱う会社です。
日本でもここ数年で耳にすることが増えてきたのではないでしょうか。
HubSpotは、中小企業のマーケティング担当者をターゲットにしたLinkedIn広告を打ち出しており、他のプラットフォームと比較して400%以上多いリードをもたらすと主張しています。
LinkedInを使うメリットとして、ターゲット層へのリーチ拡大は勿論のこと、そのリードの質の高さ、そして配信コンテンツへのフィードバック(Facebookでいうところのイイネを表すLikeや広告へのコメント)をすぐに得られることで、キャンペーン調整を迅速に行える点をHubSpotは評価しています。
HubSpotのCMO、Kipp Bodnar氏の言葉を引用すると
「LinkedIn’s Sponsored Content is the perfect marriage between its professional audience and our content-based approach to advertising.」
意味としては、LinkedInのスポンサードコンテンツはHubSpotが顧客対象とするような専門知識を有するユーザーと広告コンテンツとをperfectに結びつけることができる、といったところでしょうか。(あくまで筆者による意訳です。厳密な意味は各々で解釈いただけると幸いです。)
Spredfastの事例
Spredfastは2008年にテキサス州で創業した後、ロンドン、アルゼンチン、シドニー、ハンブルグ、ウクライナと世界各地にオフィスを構えているソフトウェア企業です。コミュニティ管理やソーシャルメディアマーケティングに長けているソフト…と文面で表すと分かりにくくなるため、彼らが提供するサービスの一つをスクリーンショットと共に紹介します。
日本でもLine,Twitter,Facebook…といったSNSの企業アカウントを設けることは当たり前になっていますが、中には一人の担当者がまとめて管理して疲弊している…といったケースもあるのではないでしょうか。Spreadfastはそのようなユーザーをターゲットとしています。複数のSNSを横断して管理することができ、つながりのあるユーザーに対して、適切なタイミングで効果的な投稿をすることを可能にすることができる、と謳っています。
SpredfastもLinkedIn広告のスポンサードコンテンツを活用し、リード創出において500%成長を達成したという事例を紹介しています。
https://business.linkedin.com/marketing-solutions/resources/tech/spredfast-cs
SpredfastはLinkedInにおける正確なターゲティングを評価しています。Spredfastは企業のSNS担当者をターゲットとしているものの、ターゲットの業界・業種が絞られているわけではないため、どのようにターゲティングしていくかを工夫する必要がありました。アメリカのユーザーはLinkedInアカウントのプロフィールに役職やスキルなどを詳細に記入しているため、今回のようなケースでは、精度の高いターゲティングを実現することができます。
結果として、
- 500%以上のリード増加
- 適切な問い合わせが7倍
- クリック率が平均の4倍
- 1レスポンスあたりの平均コストが83%削減
といった成果を上げることができた、とSpredfastはLinkedIn広告を評価しています。
Spreadfastのシニアマーケティングマネージャー、Heather Hildebrand氏は
「We’ve engaged valuable prospects who otherwise could have remained out of reach.」
(意訳)本来であればリーチできない価値のある見込み顧客を獲得することができた
とコメントしています。
VistaVu Solutionsの事例
VistaVu Solutionsは石油・ガス、建設、鉱業などの産業に関わる会社に向けたビジネス管理ソフトを提供している会社です。例えば、採掘現場における人や物の動きをリアルタイムで監視し、作業遅延などのトラブルを防ぐための意思決定を迅速に行うことができる、といった点をPRしています。
LinkedInのディスプレイ広告、スポンサード InMail
https://business.linkedin.com/marketing-solutions/case-studies/vistavu
※View case study(PDF)より
スポンサードInMailというのは、LinkedIn上のメッセージとしてユーザーにアプローチできる広告形式で、ターゲットに応じて文面を作り込むことができます。メッセージを送った分だけ課金される、という料金体系となっています。
VistaVu Solutionsは、油田サービス業界にアプローチすべく上記のような広告をLinkedInで打ち出した結果、
- 他媒体のディスプレイ広告のキャンペーンよりも4-5倍多いリードの確保
- 他のディスプレイ広告よりもコンバージョンが2.4倍アップ
- InMail上のコンバージョン率は23.8%
- 1リードあたり75%のコスト削減
- 他マーケティングキャンペーンの1/5のコスト
という成果を残しました。
VistaVu Solutionsのマーケティングマネージャー、Nicole Baron氏は
「LinkedIn’s ability to hyper-target this specific segment and find key people in the industry was a huge draw for us.」
(意訳)ユーザー層を細かく分け、業界の主要人物をターゲットにする機能は魅力だった
とコメントしています。
ユタ州立大学の事例
ユタ州立大学はユタ州ローガン市に本部を置く大学で、学生数はおよそ2万8,000人(2018年6月時点)にのぼります。
https://www.usu.edu/about/at-a-glance/
LinkedInのディスプレイ広告とスポンサードInMail
https://business.linkedin.com/marketing-solutions/case-studies/utah-state
※View case study(PDF)より
ユタ州大学のターゲットは当然のことながら「大学への入学希望者」となりますが、競争が激しい市場である上に進学の意思を持つ人にアプローチしなくてはいけないため、厳密なターゲティング設定を行う必要がありました。
上画像の広告を使い、ユタ州とアイダホ州の学士号保持者や一般企業のIT,人事関係者にアプローチしました。5年未満の実務経験者を対象として広告配信した結果、
- スポンサードInMail開封率27.5%
- コンバージョン(資料請求)率71%
- 投資額に対して20倍のリターン
という成果を上げることに成功しています。
ユタ州立大学のブランド管理,戦略的マーケティングの共同ディレクター、Eric Schulz氏は
「The ability to target our marketing efforts on LinkedIn by region, expertise, and career level made it possible to reach and engage with the precise audience we needed.」
(意訳)LinkedInの地域、専門知識、キャリアレベルに応じたターゲティングによって、ユタ州立大学が必要とするオーディエンスへ正確にアプローチ、関与することができた。
とコメントしています。
まとめ
HubSpotとSpredfastはLinkedInスポンサードコンテンツを、VistaVu Solutionsとユタ州立大学はLinkedInディスプレイ広告とスポンサードInMailを活用することで、それぞれ大きな成果を上げることに成功しています。勿論、成果を上げるためには、どのようなユーザーにアプローチしたいのか、という綿密な設計とユーザーの心をつかむクリエイティブの作成が必要不可欠となります。
プリンシプルでは、LinkedInの広告運用に加え、北米に特化したデザイン会社との提携により、ターゲットユーザーをリサーチした上でのランディングページ、クリエイティブ制作をサービスとして提供しています。ご興味を持たれた方はinfo@principle-c.comからお気軽にお問い合わせください。