YouTube Video Builderで動画広告の制作を高速化する方法」という記事で、動画広告について執筆しました。本記事では動画広告の運用の応用編として、インタラクティブ動画の広告活用の事例を紹介します。

本記事の内容

  • インタラクティブ動画とは
  • インタラクティブ動画技術 TIG(ティグ)
  • TIGの広告での活用事例

インタラクティブ動画とは

インタラクティブ動画とは、動画に対して視聴者が何らかのインタラクション(行動とそれに対するレスポンス)を行うことができる動画です。一方で従来動画は、視聴者は受動的に動画コンテンツを閲覧するだけでした。

近年、ユーザーから能動的なアクションを行うことができる機能を備えた動画が注目を集めています。

例えば以下のような機能を備えた動画をご覧になった方も多いのではないでしょうか。

  • アンケート
  • ミニゲーム
  • 選択肢によって動画のストーリーが変わる
  • 商品の詳細説明が出てくる
  • 商品ページへのリンク

上記のような視聴者に能動的なアクションを促す動画を、インタラクティブ動画といいます。

インタラクティブ動画が注目される理由

なぜ、インタラクティブ動画が注目を集めるのでしょうか?それは、動画の視聴者に直接的に行動を促すことができるからです。これにより従来の動画広告が抱えていた課題を解決できます。

以下は有名なマーケティングロジックAISASのプロセスです。

Attention(注意喚起) → Interest(興味喚起) → Search(検索) → Action(行動) → Share(共有)

リスティング広告やSEOのマーケティング効果が高いのは、上記フローのSearch部分に直接働きかけるので、Action直前の目的意識の高いユーザーにリーチできるためです。

一方で、動画は主にAttention,Interest獲得目的に活用されます。インパクトのある動画で、ワオ!これなんだろう?と視聴者の注意喚起を促す、あるいはエモーションに働きかけるような効果が期待できます。

ただ動画を観て動いた気持ちを、Search→Actionに繋げていくのは簡単ではありません。TV CMなどでおなじみの「続きはウェブで」というCTA(コールトゥアクション)も、Attention,InterestとSearh,Actionの溝を埋めるための仕掛けです。

ここで思い出してみてください。みなさんが最後に「続きはウェブで」で検索したキーワードは何でしょうか?

「続きはウェブで」は記憶しているけれど、キーワードは覚えていなかった、ということも多いのではないでしょうか。このように動画→検索/アクションを繋ぐことは実は難しいのです。

この課題の解決手段として、より記憶に残りやすく、場合によっては動画から直接アクションを促せるインタラクティブ動画が注目を集めています。

インタラクティブ動画技術 TIG(ティグ)

では、そんなインタラクティブ動画ですが、どのように制作すればよいのでしょうか?国内外にはインタラクティブ動画の制作ツール、あるいは技術提供を行っている企業が複数社あります。

本記事ではパロニム株式会社開発のTIG(ティグ)という技術を紹介します。

パロニム社は、東京都が主催する世界発信コンペティションで東京都ベンチャー技術優秀賞を受賞している注目のスタートアップ企業です。

TIGのコンセプトは「”さがす”から”さわる”へ」です。上述の動画の課題、Attention,InterestからSearch,Actionへの解決策として、パロニム社は「さわれる動画」を開発しました。

動画の中の気になる箇所をタップする(さわる)と、対象物がスクリーンショットをとるように保存されます。保存されたアイテムにはリンクが埋め込まれていて、検索せずとも気になるアイテムの情報ページへアクセスすることができます。

以下パロニム社のイメージ動画をご覧頂くと具体的なイメージが分かります。

≫パロニム株式会社

ググるからTIGるへ

上述のように動画で気になった情報を検索する際の最大のハードルが欲しい情報の「言語化」=「最適な検索キーワードの発見」です。

TIGの素晴らしい点は、このプロセスを省略して、動画から直接情報へアクセスできる技術だということです。「さがすからさわるへ」のコンセプトを「ググるからTIGるへ」と言い換えることもできます。

つまりTIGを導入することで、動画で喚起した「知りたい/欲しい」という気持ちを直接アクションに繋げることができます。

映像の世界観を汚さない

またTIGの設計思想として「映像の世界観を汚さない」というビジョンがあります。

実はインタラクティブ動画の中には、マーケティング目的で動画に様々な情報を追加していった結果、元の動画がもっていた世界観が崩れてしまっているケースもあります。パロニム社代表の小林社長のこだわりもあって、極力、画を汚さないという設計思想でTIGは開発されています。

TIGの広告での活用事例

最後にインタラクティブ動画TIGの広告での活用事例を紹介します。

TIG動画はユニークのURLが生成され、ブラウザで閲覧することができます。この仕様を利用して、Web広告のLPにTIG動画を使うことができます。

以下は某ECサイトでの事例です。

通常のLPよりも、TIG動画でインタラクティブに訴求した方が、効率的に訴求できるため、CVRが高く、CPAが半減という実績です。

また視聴完了率が51%となっています。広告目的の動画の場合、視聴完了率10%未満ということも珍しくないため、非常に高い完了率といえます。これによって動画でのブランディング・メッセージ促進効果も期待できます。

また、TIGの動画分析機能も非常に優れています。以下のようにヒートマップ分析が可能で、動画内のどの箇所がタップされているかを可視化できます。これによって、どのような動画が反応を得られやすいかの分析が可能になります。

まとめ

本記事ではインタラクティブ動画の広告活用の事例を紹介しました。インタラクティブ動画を活用することでより印象に残る動画体験が可能です。

インタラクティブ動画の広告事例は上記のような事例はあるものの、まだまだ先行者利益が期待できる領域です。TIGの活用も弊社広告運用との連携が可能ですので、ぜひお気軽にご相談頂ければと思います。

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早川雅人

デジタルマーケティングコンサルタントとして10年以上の経験。PPC広告において大規模案件運用の実績を持つ。GAIQ、Google広告資格、英検1級保持。

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