このブログをご覧になっている方であればご存知の方も多いかと思いますが、Appleは現地時間の4月26日、iOS14.5をリリースしました。
このアップデートにより、特に広告主が受ける影響は下記のとおりです。
- 今後はユーザーによるIDFA(Identifier for Advertisers)の追跡許可が必須となった。
- IDFAとはAppleがユーザー端末に割り当てるデバイスIDのことであり、広告のトラッキングに活用されていた。
(参考)iOS14.5アップデート後、アプリを起動すると追跡許可を得るポップアップが表示されるように
初期設定ではIDFAは利用不可の設定となっています。すなわち、ユーザー自身が初期設定を変更しIDFAを許可しない限り、従来のようなIDFAを用いた広告トラッキングは難しくなると考えられます。実際、運用中の各種アカウントで影響を感じ始めている方も多いかと思います。
とはいえ、実際にどの程度のユーザーがiOS14.5を実装していて、具体的にどのようなターゲティング手法で影響が出ているのでしょうか?
当社では、あるアカウントで配信中のFacebook広告にて、iOS14.5リリース前後のデータ推移を検証しました。この記事ではその検証結果を速報でご紹介します。アップデートにより実際に何が起きているのか?今後の広告トラッキングへの対策はあるのか?そんな悩みをお持ちの方へ、ヒントとなれば幸いです。
ユーザー推移:6月以降、急激にアップデート済ユーザー数が上昇
以下は、当社でFacebook広告を運用中のあるアカウントで、iOSユーザーのバージョンの推移を可視化したものです。
6月に入り、明らかにiOS14.5以降のユーザー数(青線)が急上昇していることが見て取れます。当記事の執筆時点(7月末)では、iOSユーザーのうち83%がiOS14.5となっています。
ターゲティング別の推移:新規ユーザー向けターゲティングでは引き続きリーチが可能?
更に、2種類(新規オーディエンス向け・訪問済ユーザー向け)のターゲティング別に、iOSバージョンユーザー数の推移を確認しました。
これらを比較すると、iOS14.5ユーザーの比率(青線)はリターゲティングの方が低いことが分かります。これはバージョンをアップデート後、広告トラッキングを拒否した状態のユーザーが増えたことで、リターゲティングの対象オーディエンスが減少したためと考えられます。
一方で、新規向けのオーディエンスターゲティングのiOS14.5ユーザーがここまで多いのはなぜでしょうか?理由は、Facebookのファーストパーティデータを活用しターゲティングを行っているため、iOSのバージョンに関係なく、トラッキングができているものと考えられます。
まとめ:高まるファーストパーティデータの重要性
この記事では、iOS14.5リリース前後のデータ推移をご紹介しました。
Facebook広告におけるリターゲティングの設定には、「Facebook自身のファーストパーティデータを使用するもの」と、「サードパーティデータを使用するもの」があります。ファーストパーティデータを選択することで、より多くのiOS14.5ユーザーにリターゲティング配信が可能になると考えられます。そのため、今後はファーストパーティデータの重要性が高まっていきます。
当社では引き続き、効果的なターゲティング手法について検証中です。ご紹介した設定方法の具体的な内容、またポストクッキー時代のマーケティング施策にご興味がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。