Googleが推奨するアカウントの構造は、キャンペーンや広告グループを細かく分割せず、極力まとめるようにすることです。これは「Hagakure」から「Mugen」に至るまで一貫しています。
しかしながら、予算を持つ部署が異なるといったやむを得ない理由で、複数のキャンペーンを運用するようなケースがあることも事実です。
Google広告において、複数のキャンペーンや広告グループ、キーワードの組み合わせを運用する機能として「ポートフォリオ入札戦略」が用意されています。
この記事では、実際に運用したポートフォリオを例に、その運用結果を紹介します。
※詳細な設定方法は、他サイト様が既に紹介しているため割愛します。
補足:Google広告の従来機能「共有予算」について
Google広告にポートフォリオ戦略が実装される以前より、「共有予算」を使用することで複数キャンペーンの予算管理を実施することができました。
現在(※2020年8月)でも「共有予算」機能は残っており、予算はキャンペーンを跨いで管理したいが、自動入札は固有のものを適用したい場合に使用することができます。
ポートフォリオ入札戦略なら自動入札の設定も共有可能
Google広告のポートフォリオ入札戦略はキャンペーンを跨いだ予算共有だけでなく、自動入札の設定も共有化できます。
通常のキャンペーンと同様に、自動入札設定を適用すると最適化のための学習が走りますが、「ポートフォリオ入札戦略」機能ページにて、学習に要した期間を把握することができます。
【事例紹介】3つのキャンペーンにポートフォリオ入札戦略を適用
運用条件
今回は、以下の条件でポートフォリオ戦略を適用しました。
- 期間:2週間+2週間
- キャンペーン:検索広告、3キャンペーン
- 入札戦略タイプ:クリック数の最大化
まず2週間運用して学習させ、調整を加えた後にさらに2週間運用します。
果たして、本当に集客を最適化できるのでしょうか。
運用結果
最初の2週間の運用結果は次の通りとおりです。
キャンペーンA・Bのクリック単価は¥15、キャンペーンCのクリック単価は¥17であり、クリック単価の低いAとBに費用が多く割かれていることが分かります。
その後、予算の抑制と広告文の調整を行い、2週間で次のような結果となりました。
調整前後で比較すると以下のようなことが分かります。
- すべてのキャンペーンでクリック単価が大きく下がった
- クリック率の高いキャンペーンBへの費用割合が高くなった
元々、キャンペーンBはクリック率が高かったものの表示回数に限りがあったため、広告費を多く投下していた時期にはキャンペーンAに多く配分されていたと考えられます。
予算を抑制したにも関わらず、キャンペーンCは大幅に表示回数が増加しています。広告グループやキーワードに変更を加えていないため、広告文の見出しにインセンティブ訴求を加えたことが影響しているのでしょうか。
クリック率こそ伸びなかったものの、結果的には効率良く集客を実施することができました。
まとめ
この記事では、Google広告の機能「ポートフォリオ入札戦略」を使った広告運用の事例を紹介しました。今回の事例により、ポートフォリオ入札戦略を使用した結果、キャンペーンを跨いで入札が最適化されることが分かりました。
具体的にどのような入札が行われているかはブラックボックスであるため、調整のさじ加減は媒体側に委ねるしかありません。しかし、アウトプットとして現れた数字を積み重ねて、機械学習の癖をナレッジとして溜めていくことが重要となります。