あなたは今日この記事を読むまでに、動画コンテンツをどれだけ視聴したでしょうか。
スマートフォンが普及し、多くの人々が気軽に、日常的に動画を見られるようになりました。そして今後は5Gの登場に伴い、動画コンテンツはさらに普及していくことが予想されます。
電通などの調査(2018年 日本の広告費 インターネット広告媒体日 詳細分析)によると、2018年のインターネット広告媒体費の総額は1兆4,480億円で、そのうちの1,737億円(全体の12%)は動画広告が占めています。
今後の動画広告市場はさらに拡大していくと予想されています。サイバーエージェントが2019年12月時点で発表した資料によれば、2020年には3,289億円、2023年には5,065億円に達する見込みです。
今後の広告施策、そしてマーケティングの現場では、動画は必要不可欠な存在となります。しかし一方で、動画広告は静止画やテキストのみの広告とは作り方も運用も異なるため、難しい・ハードルが高いと感じる企業も少なくありません。
そこで今回の記事では、動画広告に初めて取り組みたい担当者の方が知っておきたいことをまとめます。来たる5G時代に向けて、動画広告を上手に活用するための第一歩を、一緒に踏み出していきましょう。
記事の内容
- 動画広告が持つ2つの特徴
- 動画の種類とそれぞれの特徴
動画広告が持つ2つの特徴
動画とは一般に「動く画像」を指し、映像と呼ばれることもあります。静止画との大きな違いは次の2点です。
- 動きや音声を表現できるため、「非言語情報」の訴求に長けている
- 「時間軸」を持っている
特徴① 非言語情報の訴求に長けている
動画は静止画やテキストで伝えられる情報のほかに、声や音、音楽など、耳から入る情報を伝えることができます。また、「動き」を表現できるため、静止画よりさらに情報量の多い視覚情報も扱うことができます。
これらの情報は、消費者の感情に訴えかけるエモーショナルな表現に適しています。静止画やテキストでは描くのが難しい非言語情報(表情の動き、感情の変化など)を伝えられるためです。
また、缶ビールを開けるときの「プシュッ」という音や、焼肉を焼く「ジュ~」という音などのいわゆるシズル感も、動画は得意としています。
特徴② 時間軸を持っている(メリットもデメリットもある)
「時間軸」を持っている動画は、起承転結のあるストーリーを伝えることが得意です。商品やサービスの持つ特徴を端的に説明するのではなく、物語の中でその魅力を伝えることで、ターゲットの感情により深く訴えかけることができます。
また、動き自体が価値となるようなサービスを訴求したい場合にも、動画で表現することで、より強く魅力を伝えることができます。たとえば、自動で動き回るペット型ロボットの技術力や、歩いた時の広がり方が魅力的なスカートのシルエットなどは、動画で訴求することでよりダイレクトにその魅力を表現できます。
時間軸での表現にはメリットが多くありますが、同時にデメリットも存在しています。
一番のデメリットは、「伝えたいことを伝えきるには、最後まで見てもらわないといけない」ということです。
静止画のバナーであれば一度にすべての情報がターゲットの視界に入りますが、動画の場合は、15秒の広告なら15秒のあいだ視聴し続けてもらう必要があります。動画の途中で離脱してしまうと、以降の訴求は伝えることができないのです。
このため、ストーリー性を必要とせず、動きや音で表現したい情報がない場合には、静止画のバナー広告や、短いテキスト広告の方が適していると言えます。
動画の種類とそれぞれの特徴
動画には、大きく分けて次の3つの種類があります。
- モーショングラフィックス
- キャラクターアニメーション
- 実写ドラマ
モーショングラフィックス
モーショングラフィックスは、静止画(写真、イラストなど)にデータ(テキスト、図形など)を組み合わせて制作される動画です。画面の中で素材を移動・拡大・発光などすることにより、視覚的な効果を生み出します。
後述の2種類の動画と比べると制作が容易で、制作コストを抑えることができます(自社で企画を組み、制作のみ外注であれば、5万円以下から制作することも可能)。
また、すでに他の媒体で使用している写真やロゴを流用できるため、短い期間で制作することができるのも魅力の一つです。
例えばApple社では、このモーショングラフィックスを効果的に活用しCMを制作しています。
キャラクターアニメーション
キャラクターアニメーションは、人物、動物、植物など、意思のあるキャラクターが主役となる動画です。キャラクターが動いたり、話したりすることで情報を伝えていきます。
描かれるキャラクターの絵柄や動き方、声のトーンなどによって、「かわいい」「穏やか」「誠実」など様々な印象を作り出すことができるのが魅力です。
一方で制作には多くの手間がかかるため、一般的にはモーショングラフィックスと比較するとコストは高くなります。
近年では、大成建設がアニメ界の巨匠・新海誠監督とタッグを組み制作したCMシリーズが話題となりました。
実写ドラマ
実写ドラマは、実際に存在している商品や人物をカメラで撮影し、編集した動画です。
実写ドラマを利用すると、商品が持っているビジュアルや、サービスの視覚・聴覚情報をがそのまま伝わります。そのため言語化しにくい情報も、分かりやすくリアルに伝えることができます。
制作時にはスマートフォンやタブレットで手軽に撮影するケースもありますが、より高品質な映像に仕上げる場合には、プロの制作会社に外注することになります。この場合は撮影スタッフ人数やロケ地、登場する出演者など、様々な条件によりコストが変動するため注意が必要です。
例えば17LIVEの実写ドラマを用いた動画広告は、若者を中心に人気があります。
まとめ
今回の記事では、動画広告が持つ特徴・効果と、3つの種類の動画が持つ特徴をまとめました。
- 動画広告は非言語情報の訴求に長けている
- 時間軸を持つため、ストーリーを使って感情に訴えかけることが得意
- 最後まで視聴しないと伝わらないというデメリットも
- 動画には3種類の表現方法があり、それぞれ得意な表現やコストに差がある
これらを踏まえ、次回の記事では「押さえておきたい媒体の種類と特徴」そして「初めての動画広告で注意したいこと」をお伝えしていきます。
動画広告を導入する場合は、闇雲に制作し公開するだけでは効果を最大化できません。データをもとに戦略を練り、表現方法や媒体の特徴を押さえた上で、最適な方法で制作・運用する必要があります。
プリンシプルでは、動画広告運用支援および、データに基づいたマーケティング提案をしています。ご興味のある方はお問い合せください。