いきなりですが質問です。

Facebook/Instagram広告(以下FB広告)で、パフォーマンスを決定する3つの要素といえば、何を思い浮かべますか?

私の経験上、その3つは以下だと考えます。

  • キャンペーン構成
  • クリエイティブ
  • ターゲット

このうちのクリエイティブについては、先日、実施例を挙げてブログを書いていますのでそちらをご覧いただくとして、今回は「ターゲット」についてお話したいと思います。

関連記事:【くらべてみた】Facebook広告「モノが売れる」クリエイティブは?

「やっていはいけない」をやめてみたら売上比584%に

これはあるFB広告アカウントの「やってはいけない」設定をやめた結果です。

冒頭の3つのポイント、キャンペーン構成、クリエイティブ、ターゲットの改善を並行して行いました。ターゲットの改善では、このブログの中で述べる「やってはいけない」を全て実行した結果です。

このブログでは「やってはいけない」ターゲット設定について、詳しく説明します。

FB広告のパフォーマンスが改善しない、と頭を抱える読者様は、このブログを読んだら後、すぐにあなたのFB広告アカウントをチェックすることをおすすめします。

本当は怖い!間違ったターゲティング3選

まずは、私が過去に幾度となく出会った「間違えターゲティング」あるあるを、3つだけ挙げたいと思います。

ターゲティングはパフォーマンス改善に大きく寄与します。それだけに、きっちりと設定を行うことが求められます。

逆に、設定に甘さが残ると、クリティカルな悪化原因にもなりかねません。そういった意味でも、ターゲティングは「取り扱い注意」な要素と言えます。

間違い1. オーディエンスを過度に細分化

ターゲティングは、広告セットごとに設定を行います。この広告セットが、非常に細かく分類されたターゲティングに基づいているケースが見受けられます。

ありがちなのが、

  • リターゲティングにおけるリーセンシー(接触の間隔)に沿って、1日、7日、15日、などに細分化
  • 年齢を5歳刻みで細分化

など。…リターゲティングはやっぱり、細かく分けて入札を調整すべき。わかります。すごくわかります、その気持ち。以前の私もそうでした。

しかし、2020年の今、入札ロジックは以前と様変わりしています。大きな違い、それは、

入札戦略の多くは機械学習によってコントロールされている

ということです。結論から言うと、過度な細分化は機械学習と相性が悪いです。

大事なのは、機械学習を賢く育てるターゲティング。

機械学習による入札戦略の大きな特徴は、機械学習がパフォーマンスの実績データを学習し、目標に合わせた入札を自動的に行ってくれる点にあります。

ところが機械学習による入札には、1つ、絶対に念頭に置かなければいけないポイントがあります。それは、

十分なデータを学習させないと正しい動きができない

という点です。

機械学習は広告セット単位で学習を行います。広告セット=ターゲットが過度に細分化されていると、それぞれに対して十分な学習データが蓄積されにくくなり、結果として最適化がうまく働かなくなります。

人間に置き換えて考えてみましょう。成績アップをしたいならたくさん勉強しますよね。機械学習も同じです。賢くなるにはたくさんの勉強が必要なのです。

目標はコンバージョン50件!

Facebookのガイドラインでは「広告セットごとに1週間で50件のコンバージョン」の獲得を推奨しています。これ以下だと学習データが不十分で、パフォーマンスが安定しません。

「広告セットごとに1週間で50件のコンバージョン」を目指して、似たようなオーディエンスがターゲットになっている広告セットを一つにまとめるようにしましょう。

でも、オーディエンスを分類しないと分析できないし…

オーディエンスごとのパフォーマンスを比較する目的で広告セット=ターゲットを細分化しているというケースもあります。FB広告にはレポート機能があり、そこからある程度のインサイトは得られます。また、UTMパラメータを広告セットや広告単位で詳細に設定することで、Google Analyticsで分析することも可能です。

間違い2. ターゲット間でオーディエンスが重複

ご存知でない方が多くいらっしゃいますが、実は見直しておきたい重要なポイント。それは、広告セット=ターゲット間のオーディエンスの重複です。

オーディエンスの重複は、絶対にあってはならないわけではありません。「やってはいけない」オーディエンスの重複は、広告セット同士がオークションの競合関係になる場合です。広告同士が競合するとそれを避けるため、パフォーマンスの低い広告セットが自動的に削除されます。これにより配信数が低下することがあります。

これを避けるため、日頃からオーディエンス間での重複率を確認する癖をつけておきましょう。

オーディエンスの重複率を確認するタイミングは大きく分けて2つあります。

  • 配信前
  • 配信中

オーディエンスの重複率を配信前に確認する方法

例えば、興味関心に基づく2つのターゲットを作成したとします。

A. デジタルマーケティング
B. オンライン広告

配信前にこの2つのオーディエンス重複を確認するには、ビジネスツール > オーディエンス の「オーディエンスの重複を表示」を使用します。

まず、オーディエンス一覧の中から重複を確認したい複数のオーディエンスのチェックボックスをオンにして、「オーディエンスの重複を表示」をクリック。

すると、この2つのオーディエンスの重複率が表示されます。

配信前にこの確認を行うことで、過度な重複を避けることが可能です。重複率が高い場合、双方で重複させたくないオーディエンスを除外するなどの対策が必要です。

オーディエンスの重複率を配信中に確認する方法

次は、実際に配信を行った広告セット間でのオーディエンスの重複を確認する方法です。

まず、広告マネージャから広告セットのタブへ移動します。

次に、確認したい広告セットの「確認」アイコンをクリックします。

すると、配信期間中に他の広告セットとオーディエンスの重複がグラフで示されます。

幸い、この広告セットでは期間中の重複はありませんでした。

なんだかパフォーマンスが改善しないな…と気になったら、オーディエンスの重複を確認してみてはいかがでしょう?

間違い3. 詳細ターゲット設定の拡大がオフ

詳細ターゲット設定の拡大オプションは、Facebookが自動でターゲット最適化をしてくれる機能です。詳細ターゲット設定で指定したオーディエンス以外のターゲットにリーチを拡大することでパフォーマンスアップができる、とFacebookが判断した場合、ターゲットは含まれていないオーディエンスに対して配信を拡大してくれます。

このオプションを有効にすると、このオプションを使ったほうがパフォーマンスがアップするとFacebookが判断した場合、設定済みのキャンペーン予算の一部が元のオーディエンスと新しいオーディエンスに振り分けられます。それらを比較し、より少ないコストでより多くの成果を上げているオーディエンスに予算が充当されます。

これは絶対にオンにしなければならないというわけではありません。しかし、機会損失を防ぎ、パフォーマンスを最大化する上では、ぜひ活用したい機能です。

「詳細ターゲット設定の拡大」の設定方法

「詳細ターゲット設定の拡大」を設定するためにはまず、広告マネージャから広告セットのタブへ移動します。

そして、広告セット設定画面「ターゲット」の「カスタムオーディエンス」の設定へ移動します。、カスタムオーディエンス設定内にある「詳細ターゲットの拡大」のチェックボックスをオンにします。

以上が、最低限「やってはいけない」ターゲット設定でした。

FB広告は日進月歩で機能が充実しています。それゆえ、設定項目がどんどん増え、ロジックも複雑になっています。この他にも「やってはいけない」設定はたくさんあるのですが、それはまた別の機会に。

最後に

ターゲティングに、これさえやればOKな正解はありません。

しかしこれだけは言えます。

それは、まず、自社サイトのユーザーを深く理解することです。

そもそもターゲティングとは、星の数ほどいるFacebookユーザーの中から、自社のサービスに興味を持ち、コンバージョンに至るであろうユーザーを探し出す作業。いわば、砂の中から黄金を探すような作業です。闇雲にターゲットを選んでいては、黄金発見には到達しません。

まずは自社サイトのユーザーの特性を深く、かつ正しく把握し、それをターゲティングに反映することで、パフォーマンスの最大化が実現します。ロジカルかつ緻密に根気よくPDCAを回すことで、きっと黄金が見つかるでしょう。

 

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鈴木夕加里

広告コンサルタント。長年ECサイト運営で培った「徹底したエンドユーザー視点」が強み。

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