はじめに
本記事を執筆している2020年4月29日現在、未だ新型コロナウイルスの収束目処は明確でなく、様々な活動自粛やゴールデンウィークも「STAY HOME週間」として、働き方やライフスタイルなどがここ数ヶ月で劇的な変化をもたらしているのを日々実感している方も多いのではないでしょうか。また、さらなる感染拡大防止に向けて2020年4月22日、新型コロナウイルス 感染症専門家会議から「人との接触を8割減らす、10のポイント」が示されました。
人との接触を8割減らす、10のポイント
- ビデオ通話でオンライン帰省
- スーパーは1人または少人数で空いている時間に
- ジョギングは少人数で公園はすいた時間、場所を選ぶ
- 待てる買い物は通販で
- 飲み会はオンラインで
- 診療は遠隔診療
- 筋トレやヨガは自宅で動画を活用
- 飲食は持ち帰り、宅配も
- 仕事は在宅勤務
- 会話はマスクをつけて
*出典:「人との接触を8割減らす、10のポイント」を公表しました
今回上記の中で「4. 待てる買い物は通販で」に着目してみます。
2018年時点での日本の物販系分野(サービス・デジタル系分野を除く)EC化率は6.22%で市場規模は9兆2,992億円、伸び率は8.12%です。(*) 1年4ヵ月経過した現在正確なデータはないものの、過去数年間のトレンドとしてEC化率および市場規模はさらに拡大傾向にあり、かつコロナウイルスにより強いられた一般消費者の生活の変化によりその成長スピードはさらに加速しているということは想像に難しくないのではないでしょうか。
また、物販系分野に属している事業者様にとって、この外的環境の大きな変化を機会と捉えるか、脅威と捉えるかにより、またアクションできるか否かによりこの先中長期的なビジネスの成長に大きく影響してくるのではないでしょうか。
我々プリンシプルがご支援可能な領域の一つとして、今回はEC販路へ参画するにあたり、自社ECに加えて大きな選択肢の一つであるAmazonで成長・売上アップするためにまず理解しておくべき3つのことをご紹介させていただきます。
*出典:電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました
1. Amazonを理解する
はじめに理解しておくべきこととして、Amazonの仕組みやサービスは日々進化し変わり続けているということです。筆者は2015年10月から2019年2月末までアマゾンジャパン合同会社にてリテールビジネス部門に在籍し、マーケティング担当からバイヤーまで様々な業務に携わりましたが、そのスピード感は目を見張るものがありました。そのため、仮に目先の仕組みやサービスを攻略したところで中長期的に有効な施策であるとは限らないという点がポイントになります。一方、中長期的に変わらないこととして、今回はAmazonの1)DNAと2) ビジネスモデルをご紹介します。
DNA
地球上で最もお客様を大切にする企業であること
*出典:DNA
ビジネスモデル(Flying Wheel)
*出典:Amazonについて
Amazonを理解する上でもっとも重要かつ根底にあるDNAとして徹底した「顧客中心主義」ということ理解する必要があります。これはよくある企業のスローガンとして掲げられたただの精神論にではなく、部門・役職間を越えて日々の業務レベルでも各社員の判断基準の大きな一つとして実践されているものです。Amazonとして提供している商品やサービスが最高水準で顧客の満足度を得られているかを日々確認し、日々改善をおこなっている会社、これがAmazonです。
「顧客中心主義」というシンプルかつ明快な企業のDNAと併せて、Amazonのビジネスモデルも非常にシンプルです。B.のビジネスモデルである通称Flying Wheelは創業者であるジェフ・ベゾスがAmazonを起業する際に、レストランのテーブルに備え付けてあった紙ナプキンにビジネスモデルをメモ書きしたものが今でもそのまま使用されている、といったAmazonの中では普遍的なものです。特にここで記載されている、Selection(品揃え)、Lower Prices(低価格)、Traffic(訪問顧客)は重要な要素として理解しておく必要があります。
2. Amazonでの売上構成要素を理解する
Amazonに限った話ではありませんが、広くECサイトで売上を構成する要素は以下の4つになります。1から4までの数字を掛け合わせた数字が売上額になるため、売上をあげるには1から4の数字を全て改善するか、どれかを改善することが必要となります。各指標に対して改善する施策が挙げられますが、今回は導入段階での取り組みやすさとまず対応すべき点という観点で、2, の閲覧数に関する施策について解説します。※他の要素に関してはまた別の機会にご説明させていただこうと思います。
- セレクション数:取り扱い商品の数
- 閲覧数:商品詳細ページの閲覧数
- 購入転換率:購入された商品の合計数量を商品詳細ページを閲覧数で割ったもの
- 平均売価:購入された商品の合計金額を合計数量で割ったもの
3. Amazonでの集客方法を理解する
Amazonに限らずWebサイトでの閲覧数を増加させる施策としてWeb広告があります。Amazonにも独自の広告メニューであるAmazon広告が用意されており、大きく分けてAmazon外のサイトに広告が掲載されるAmazon DSPとAmazon内に広告が掲載されるAmazonスポンサー広告の2種類のメニューがあります。導入としては自社で管理・運用が可能なAmazonスポンサー広告がおすすめです。
Amazonスポンサー広告
Amazonスポンサー広告は検索結果画面最上部に掲載される1. スポンサーブランド広告、同じく検索結果画面の上位に掲載される2. スポンサープロダクト広告、商品詳細ページのカートボタンの下に掲載される3. ディスプレイ広告の3つのメニューが用意されています。一概にどのメニューの効果が高い、低いはなく掲載する商品やカテゴリーによっても大きく傾向が分かれてくるため、まずは全てのメニューにて広く掲載した上で、それぞれの効果を元に配分および掲載メニューの絞り込みをおこなっていく運用方法がおすすめです。
尚、上記に記載した広告メニューを使用した場合に広告経由での効果(閲覧数やカート投入数など)は広告管理画面で確認をおこなうことができますが、広告以外を含めた全体の閲覧数および閲覧数に付随する指標である購入転換率については、原則レポートが公開されていないことがAmazonでの運用をおこなう上で難しい点です。そのため、実際に閲覧数や購入転換率が増加、改善されているか否かは結果指標として販売数のトレンドおよび実施施策を元に傾向を推測していく必要があり、一定のAmazonでの運用経験値が必要という点も押さえておくべきポイントと言えます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。冒頭にも記載させていただいた通り、新型コロナウイルス の影響により確実に消費者行動が変わり、それに伴いこれから各企業・事業者側も新たなビジネス領域を検討していくことが必要なタイミングであると思います。特に物販系においてはEC販路について自社ECのみならずAmazon / 楽天のような各プラットフォームへの参画も併せて検討されるのではないかと思います。今回の記事が少しでも検討時のお役に立てれば幸いです。また、プリンシプルでは導入から運用まで伴走型でのコンサルティングサポートをおこなっております。導入ご検討の際にはぜひお問い合わせいただければ幸いです。