さる2025年2月26日、弊社主催・3社(1協会2社)合同によるウェビナー「未来を切り拓く!デジタルマーケティングの魅力とキャリアアップ」を開催しました。本ウェビナーは、法人向けの情報発信が多いプリンシプルが、デジタルマーケターとしてのキャリア形成を考える個人の方を対象に実施したものです。
ご視聴いただいた皆様、誠にありがとうございました。また、ご協力いただいた野上様、一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会(以下フリーランス協会)平田代表理事をはじめとした関係者の皆様、株式会社ガイアックスの管様にも、この場を借りて改めて御礼申し上げます。
アンケートでは好意的なフィードバックを多数いただいた一方で、内容を盛り込んだ分、やや駆け足になってしまった部分もあったように思います。そこで、当日の内容を補完する形で、改めてテキストにまとめます。動画よりも文章で読む派の方に届けば幸いです。
ウェビナーの式次第や各登壇者プロフィールはこちらをご覧ください。
前提と全体像
今回のウェビナーのコンセプトは、デジタルマーケティングの経験者、やや経験のある方、未経験者それぞれが「ワンステップ上がる」ためのヒントを持ち帰っていただくことです。フリーランスの方を想定していますが、マーケティングを身につけて自律的な働き方をしたいすべての方が対象です。
「ワンステップ上がる」には、現状把握・目指す姿の設定・上がる方法のセットが必要です。そのため、以下のアジェンダを設定して、各層の参加者がより明確な指針を持てるよう進行しました。
①【脱・作業屋】
どうすればワンランク上の“真のデジマ人材”になれるのか?
②【評価基準】
どこまで学べばいい? デジマスキルの適切な評価基準と目標設定
③【実践機会】
実務経験を効果的に積み、次のキャリアステップにつなげるには
デジタルマーケティング市場の成長性と人材不足
冒頭では、デジタルマーケティング市場の拡大予測と、デジタル人材の需給ギャップについて、データをもとに解説しました。現在、デジタルマーケティングの経験者は業界全体で「取り合い状態」となっており、需要が供給を大きく上回っているのが現状です。
また、各人の現状把握のため、自己診断「デジタルマーケティングスキル」マップを用意。デジタルマーケティングの領域を6つのカテゴリに分類して、「自身が何ができていて、何がともするとできていないのか」を各人で可視化できる道標として提示しました。
総数26スキル。「できている」のチェック数に応じて、デジタルマーケティングのビギナー、ミドル、ハイクラスという区分を定めました(本ウェビナーの枠内での定義です)。これは、各区分の視聴者が、どうすればワンステップ上がれるのかを整理するための準備です。
基調講演: 多様な働き方の広がり
基調講演ではフリーランス協会代表理事の平田様から、フリーランスの定義や働き方の多様化について、デジタルマーケター領域で活動する方の実情も絡めたお話を伺いました。
協会では「自分の名前で仕事をしたい人」のための環境づくりに尽力されています。デジタルマーケターが陥りがちな単なる作業屋になるリスクや、発注者・受託者いずれにとってもWIN-WINでない「自称マーケター」への危惧について触れていただきました。
ポイント
- 単価向上や事業拡大を目指し「名指しされる存在」になるためには、専門性をいかに身につけ「言語化」できるかがカギ(XX社に勤めてました〜は、言語化不足)。
- T型人材やH型人材など、キャリア構築には掛け算が重要。
- AIに代替されない3つの目(着眼点、目配り、審美眼)。
フリーランスならではのキャリア自律のメリットや課題が整理され、「プロフェッショナルとしての自律」がいっそう求められる時代に入っていることをお話いただきました。
デジタルマーケティング経験者が求められるスキル
株式会社ガイアックスで「リモートワーク」「ビジネス系職種」「正社員」求人に特化したHR事業『Remoful』を担う管様に、「ハイクラス」デジタルマーケターがワンステップアップするための講話をお願いしました。特に強調されたポイントは以下のとおりです。
ポイント
- ジェネラリストとスペシャリストの枠組みは今後も変わらないであろう。
- 一方、AIの進化やプライバシー規制の強化により、現代のマーケターを取り巻く環境は変わっている。単純作業はAIに置き換えられ、データ取得は規制の方向にあるため、安易なデータ偏重は危険。
- これからのマーケターには、以下の4つのスキルが必要
- データリテラシー(データを活用し、未来を予測する力)
- AI・オートメーションの活用力(ツールを使いこなす力)
- クリエイティブ思考とストーリーテリング(人の心を動かす力)
- プライバシーと倫理の理解(信頼を築くマーケティング)
デジタルマーケティング領域で求められる基礎スキル
続くプリンシプルパートでは、「ビギナー」~「ミドル」クラスの方向けに、デジタルマーケティング領域へのエントリー方法と、単価・価値の向上につながるキャリアアップのステップについて話しました。
ポイント
冒頭の「デジタルマーケティングスキルマップ」の6カテゴリを再び参照し、「データ分析スキル」の重要性に焦点を当てながら、実例を交えて以下の内容をお話しました。
―ミドルクラス向け
- 各スキルのつまみ食いでなく、カテゴリの掛け算を意識することが重要(例:トラフィック獲得×ウェブサイト運営、コンテンツマーケティング×CRM・MAなど)。
- カテゴリの横断に役立つのはデータ分析スキル。データ分析スキル自体の需要が大きく、デファクトとなるGA4やLooker Studioは無料でエントリーしやすい。
―ビギナークラス向け
- お金を払って学べばすぐ案件を獲得できるわけではない(高額情報商材に注意)。特にフリーランスは即戦力性、実務経験が問われる。自身の得意領域で案件を獲得し、歓迎要件業務でマーケター経験を積むのが良い。
- これからのエントリーでも、現在の仕事に+1することで経験を積める。データ分析スキルがエントリーのカギになる。
ディスカッション
登壇者全員によるディスカッションを行い、以下のようなポイントを共有しました。
AIが普及する中でマーケターはどう差別化を図るか?
- 「創造的なアイデア」と「ビジネス視点」を掛け合わせることが不可欠。
- 分析だけで「結果、こうでした」ではSo What(だから何?)となり付加価値はない。
- データから本質的なインサイトを引き出せる人材が、これからのマーケターに求められる。
実務経験を積むためには?
- 今回提示した「歓迎要件で経験を積む」アプローチがある。他には、手が足りないため広い領域で経験を積めるベンチャーに一定期間コミットする、グループを組んでフォローし合いながら経験を積む、などがある。
まとめ
本ウェビナーでは、ビギナー・ミドル・ハイレベルのデジタルマーケターがワンステップアップするためのポイントを、それぞれの立場に応じて整理しました。
デジタルマーケティングは成長市場であり、多種多様な働き方が可能な一方、実務経験やスキルの言語化が不可欠です。
ビギナー、ミドルには「まずデータ分析をテコに基礎スキルを身につけ、小さな成功体験を重ねる」ことをお話ししました。ハイレベルには「戦略レベルで事業に貢献できるか」「AIや規制の変化に対応できるか」といったポイントが、さらなる飛躍のカギになるという点をお話いただきました。
主催である弊社では、「データとアクションをつなぎ、より良い世界を実現」というミッションのもと、質の高い、もしくは(今は未経験でも)志の高いデジタルマーケターが増えることを目指して今回のウェビナーを企画しました。
デジタルマーケティングは、「良いものを作って、届ける」の「届ける」の部分を、比較的安価でエントリーしやすく実現でき、かつ世界まで対象にできる手段だと考えています。一方、マーケター側が「自称」にならず「自律的」にキャッチアップをし続けることが、自身や発注者のWIN-WINのために必要です。
今回のウェビナーが、そうした志を持つ方々にとって少しでも実りある機会となっていれば幸いです。
ご協力ありがとうございました。
フリーランス協会様
https://www.freelance-jp.org/
株式会社ガイアックス様「Remoful」
https://remoful.com/