メルマガって、地味ーに大変ですよね。
私は、プリンシプルのインバウンドマーケティング強化の流れに乗り、半年間程ほど自社マーケティングに片足を突っ込みながら仕事をしておりました。
そこで感じたのが上記のぼやきです。
今までなにげなく受信してきたメルマガですが、自分が運営するとなると意外にも配信までの工程が多く、また1万人超えの登録者に向けて発信をするのはなかなかに神経を使う仕事でした。
この記事では、社内で実施したメルマガ改善のKPI策定からTableauダッシュボード構築までの流れをご紹介します。メルマガの担当者の皆様がメルマガを改善する際のご参考になれば幸いです。
記事の内容
- 半年前のプリンシプルメルマガの状況【場当たり的・属人化】
- 改善のために行った4つのこと
- 現在のプリンシプルメルマガ【KPIを可視化し常に改善】
半年前のプリンシプルメルマガの状況【場当たり的・属人化】
場当たり的
元々、プリンシプルのメルマガ発信は、かなり場当たり的に実施されていました。
定期的なコンテンツは、月に1度送るデジタルマーケティング最新情報です。社内の各領域のコンサルタントが力を入れて毎月作っています。熱心な読者も多く、1万人に送っても開封率は20%台後半、コンテンツのクリック率は40%台と高い水準で推移しています。
その他の配信は、セミナー開催の決定時、キャンペーン実施時など、計画性のないものでした。また、チーム内での振り返りもありませんでした。
属人化
また、属人化による悪循環が発生していました。
- メルマガの作成・送付から改善までが完全に属人化
- マーケ業務全般が同じ個人に属人化していたが故に、メルマガの送付やセミナーの開催が集中すると担当者が疲弊
- ダブルチェックが機能せず、デバイスによるレイアウトのズレなどのミスが多発
- そもそもKPIが定まっていないため、振り返りが困難
成果が見えづらく、評価にもつながりにくいメルマガの改善を、忙しい担当者が後回しにしてしまうのは当然です。こういった部分には個人の努力ではなく、組織的な改善が必要です。
改善のために行った4つのこと
この状況を解消するためにこの半年間で実施したことは、以下の4点です。
- メルマガの役割を定義する
- KPIを決める
- 開封率を高めるために、タイトルをABテスト
- チームでPDCAを回すための環境を整える(ダッシュボード化)
属人化していたメルマガ成果の集計・改善提案を誰でも実施できるよう、Tableauを活用してダッシュボードを作成しました。
改善策① メルマガの役割を定義する
まずはメルマガの役割について考えてみました。
結論から言うと、私はメルマガの役割を「顧客との接点を保ち、関係性を構築する為のツール」と定義しました。
プリンシプルの営業課題に基づく最も上流の目的は、「良質なMQLの数を増やすこと」です。メルマガ送付はその手段のひとつとして捉えました。
※当社では、アポイントの数をMQLの数と定義しています。
メルマガは上記の目的を果たす為に、以下のような役割を果たします。
- 顧客との定期的な接点を作る
- 顧客との関係性や信頼性を深める
- 顧客と当社の関係性を開封やクリックから計測する
メルマガで適切に顧客育成を行い、関心が高まっているタイミングで適切な接触を行えれば、セミナーの案内やテレアポへの反応率が高まると考えました。
改善策② メルマガのKPIの定義
メルマガのKPIは「開封率」「クリック率」「解約率」の3つに設定しました。
開封率
接点を作るにも関係性を構築するにも、まず開封されなければいけません。そのため開封率は当然重要なKPIです。
クリック率
顧客との関係性を深める為には、開封してもらうだけでは不十分です。メルマガに添付したPDFをダウンロードしてもらったり、案内したキャンペーンに応募してもらったり、セミナーに申し込んでもらう必要があります。
クリック発生はすなわち、顧客の興味関心に近いコンテンツを発信できたことを意味します。顧客との関係構築のためにも、クリック率は改善すべき指標です。
解約率
接点が途切れてしまうことを防ぐ為、解約率も大事な指標です。
顧客の意図と異なるメルマガを送り続けたり、あまりにしつこくコミュニケーションを取ると解約されてしまいます。こういった状況を回避するために、解約率もKPIに設定しました。
改善策③ 開封率を高めるために、タイトルをABテスト
開封率の比較の為にタイトルのABテストを複数回行いました。
以下は、ABテストした実際の開封率です。
総合的なタイトルのメルマガ(5月分)と比較して、ホワイトペーパーのコンテンツ名を表記したメルマガ(6月、7月分)は、どれも総じてクリック率が高い結果になりました。
このことから、当社のメルマガ読者に開封してもらうためには、「具体的な内容」を想起させるタイトルが有効ということがわかりました。
また、そのタイトルの中でも、
- 「Tableauスキルロードマップ・効率的な学習方法を一挙紹介!」
- 「CRM×Googleアナリティクス統合分析によるアフターコロナのペルソナ点検のすすめ」
など、具体的なツール名の入ったタイトルがクリックされやすい傾向がわかりました。当社がTableauとGAの会社として認知されているパターンが多いため、メルマガの読者もそのような情報を求めている方が多いのかもしれません。
一方、開封した後のクリック率を比較すると話が変わってきます。
具体的には、最もクリック率が高いのは、5月25日に送付した【2020年 最新のデジタルマーケティングのノウハウ】で、開封率の高かった2つのコンテンツは逆にクリック率が低くなりました。
理由としては、「Tableauスキルロードマップ」のメルマガはTableauに関心のある人しか開封しなかったことが考えられます。
本メルマガでは、1通の中でTableauのみではなく、広告・GA解析等、複数のサービスに関わるホワイトペーパーを紹介しております。「最新デジタルマーケティングのノウハウ」をタイトルにした方では、開封した人が何かしら関心のあるコンテンツを見つけられた為、クリック率が高かったのではないかと思います。
これらのABテストの結果、若干開封率が下がっても、タイトルは汎用的なものにした方がトータルのクリック数は増えるということが考えられます。
個人の試行錯誤はチームに共有
こういった実験を個人の中で行い、週に1度のチームMTGでスプレッドシートに集計し、チームに報告を行いました。
試行錯誤&共有を3ヶ月程繰り返したところである程度型が出来ました。
改善策④ チームでPDCAを回す為の環境を整える(ダッシュボード化)
メルマガだけでなく他の施策(ホワイトペーパーなど)でも改善のベースができたので、ここでダッシュボード化を行うことにしました。
カテゴリ分け
ダッシュボード化の際に最も困難だったのはカテゴリ分けです。当社では、セミナー案内・ホワイトペーパー案内・キャンペーン案内・デジタルマーケティング最新情報の発信…と様々な用途でメルマガを発信しています。
コンテンツによってユーザーの反応は異なる為、カテゴリ毎に分析する必要があります。
しかし、当社がメルマガ送付に使用しているvboutというツールはカテゴリという列を持っておらず、キャンペーン名からカテゴリを新たに作成する必要がありました。しかし、キャンペーン名に規則性がなく、カテゴリを作成するのは困難でした。
キャンペーンネームからカテゴリを拾ってくる方法
Tableauの機能を活用すれば、キャンペーンネームからカテゴリを生成することができます。
手順① キャンペーンネームから計算フィールドを作成
手順② REGEXP_MATCH 関数の計算式を入力
最終的には今あるキャンペーンをREGEXP_MATCH関数と正規表現を使って各カテゴリに振り分けていく方法を取り、以下のようにカテゴリ分けを行うことが出来ました。
※弊社では、Tableauユーザーが躓いた時に相談できるTableuaコーチングサービスを運営しています。Tableauについてお困り事がありましたらお問合せページよりぜひご相談下さい。
作成したダッシュボードを利用しながらPDCAを組織的に回し、最近では定期メルマガの開封率が初めて30%を超えました。
メルマガ単位の開封率だけでなく、メルマガ開封などの行動をスコアリングし、個別化されたコンテンツを送るようなOne to Oneマーケティングの運用も始まっています。
現在のプリンシプルメルマガ【KPIを可視化し常に改善】
現在は上述のとおり、Tableauを用いたダッシュボードを利用しながらさらにメルマガの効果を改善しています。
実際には、
- 効果的なタイトル探索ダッシュボード(開封率の可視化)
- Clickされやすいコンテンツ探索ダッシュボード(クリック率比較)
- 解約されやすいコンテンツ探索ダッシュボード(解約率比較)
と3つのダッシュボードを用意しました。
開封率とクリック率を高く、解約率を低くするために、各メルマガのタイトルやコンテンツを改善していくというのが基本の運用路線です。
上記3点のダッシュボードで成果を確認しながら
- 「開封率が高いのはどんなタイトルか?」
- 「クリック率が高いのはどんなコンテンツか?」
- 「逆に解約されるのはどんなタイミングか?どんなコンテンツか?」
などを探っています。
まとめ
この記事では、メルマガのKPIの定義から、Tableauで成果の可視化を行うまでの実際の流れと、そのアウトプットに関してまとめました。
まだメルマガ改善に手を付けていない状態の場合、いきなり「ダッシュボードを作ろう!」「MAと連携してスコアリングを行おう!」とすると、つまずく可能性が高いです。
メルマガには限りませんが、まずはKPIをしっかりと定義し、PDCAを短いスパンで回すと効率よく改善することができます。ご参考になりますと幸いです。