こんにちは。プリンシプルのマーケティングコンサルタント、早川です。
突然ですが、皆さんはレポート作成は得意ですか?

この記事は、デジタルマーケティング担当者を想定読者として書いています。デジタルマーケティングに携わる方にとって、レポート作成は日常的な業務の一部ではないでしょうか。

本記事では、デジタルマーケティング戦略のPDCAにおけるレポートの役割を整理した上で、PDCAを効果的に回すために必須となる「ファクト」「考察」「アクションプラン」について、具体的に解説します。

1. デジタルマーケティング戦略におけるレポートの役割

まず、そもそもレポートがなぜ必要なのか、その役割を整理しましょう。

レポートとは言葉通り「報告」です。報告には必ず受け取り手が存在し、その受け取り手は報告内容をもとに何らかの意思決定を行います。多くの場合、その意思決定とは「次のアクションプランの承認」です。また、予算や人的リソースの確保が必要な場合は、その承認も併せて行われます。

しかし、皆さんや支援会社が作成するレポートは、このような目的を十分に果たせているでしょうか?次のような問題点が見受けられることがあります。

  • データが羅列されているだけで、意思決定のための示唆がない(So What?になっている)。
  • 報告者の主観とファクトが混ざっていて、レポートの信頼性が低い。
  • 提案されるアクションの根拠が弱く、レポートだけでは判断できない。

このような問題を避けるためには、「ファクト」「考察」「アクションプラン」を明確に分けてレポートを作成することが重要です。

2. ファクトとは

「ファクト」とは文字通り「事実」です。デジタルマーケティングにおけるファクトデータは、例えば以下のような定量化された指標です。

  • Webサイトのセッション数
  • Web広告のクリック数・CV数
  • 検索エンジンでのクリック数

デジタルマーケティングは取得できるデータが非常に多いため、重要なデータが大量のデータに埋もれてしまう可能性があります。例えば広告運用においては、担当者が膨大なデータに触れることは必要ではありますが、レポートには意思決定に直結するデータだけを厳選して記載すべきです。

具体的な例を挙げます。以下のような広告配信の実績データがあった際、「ファクト」としてレポートすべき内容はどうなるでしょうか?

目標 実績 ギャップ
表示回数 10,000,000 7,000,000 70%
クリック率 0.01% 0.01% 71%
クリック数 1,000 500 50%
CVR 10.00% 14.00% 140%
CV 100 70 70%
広告費 1,000,000 950,000 95%
CPA 10,000 13,571 136%
CPC 1,000 1,900 190%

 

【NGな報告例】

「表示回数は7,000,000回、クリック数は500件、CVは70件獲得。悪くない好調な推移だった。」

上記はデータの羅列にすぎず、主観的なコメント(悪くない好調な推移)が付されているため、意思決定には役立ちません。

【適切な報告例】

「CVは70件で達成率は70%。CVRは目標比140%だが、クリック数が目標比50%と大きく下回った。」

このように書けば、次のアクションを考えるための議論につながります。

※CV=クリック数×CVRと分解できるので、達成率70%の要因としてCVRとクリック数のどちらの指標に課題があるのかが、上のように記載することで明確になります。

3. 考察とは

レポートに欠かせない二つ目の要素は「考察」あるいは「解釈」です。

前項で整理した「ファクト」にはどういう背景があり、どういう意味をもつのか「考察」を行うことで、次の「アクションプラン」にロジカルに繫げていくことができます。この「考察」ステップを飛ばしてしまう、あるいは「考察」の精度が低いと、「アクションプラン」の妥当性を判断することが難しくなります。

前項で整理したファクトを以下に再掲します。このファクトについて考察してみましょう。

ファクト:

「CVは70件で達成率は70%。CVRは目標比140%だが、クリック数が目標比50%と大きく下回った。」

【NGな考察例】

「目標CV達成に向けてPDCAを加速し、CV120件獲得を目指す。」

これは単なる意気込みであり、考察にはなっていません。

【適切な考察例】

「CVRが高く、精度の高い集客ができている一方、クリック数が低いため、ターゲットの絞り込みが強すぎる可能性がある。」

こうすることでデータの意味が明確になり、次のアクションプランの検討につながります。

4. アクションプランとは

「ファクト」を整理し、「考察」を行った上で、「アクションプラン」を立案します。レポートの目的は読み手が意思決定を行うためと書きましたが、その中でも最も意思決定に関わる重要な要素となるのが、この「アクションプラン」です。

尚、念のため補足すると、全てのレポートに明確な「アクションプラン」が伴うわけではなく、現状の是認のためのレポートもあります。ただその場合もなぜ現状是認で問題ないのか、「ファクト」と「考察」をもとに現状是認という「アクション」を行うための示唆が提示できていることが重要です。

さて、ここでも上記の「ファクト」「考察」から「アクションプラン」を検討してみましょう。あらためて、以下の通り整理します。

ファクト:

「CVは70件で達成率は70%。CVRは目標比140%だが、クリック数が目標比50%と大きく下回った。」

考察:

「CVRが高く、精度の高い集客ができている一方、クリック数が低いため、ターゲットの絞り込みが強すぎる可能性がある。」

さてこの考察からみなさんは、どういった「アクションプラン」を検討しますか?

ターゲットを絞り込み過ぎている可能性があるので、ターゲットを拡大する、という案がまず頭に浮かぶのではないでしょうか?一見論理は通っているようにもみえますが、実はこれだと拙速なプランニングとなります。

なぜなら、クリック数と目標のギャップは確かに大きいのですが、これは広告キャンペーン全体のレポートのため、広告媒体やメニュー、あるいはより具体的なキーワードなどの粒度に分解してみる必要があります。「アクションプラン」の立案に必要充分な粒度での「ファクト」と「考察」の掘り下げが重要となります。

今回の例でこの掘り下げ詳細までしてしまうと本論から脱線してしまうので、あくまで例として、以下整理イメージを提示します。

ファクト:

「CVは70件で達成率70%の実績となった。CVRは目標比140%な一方、クリック数が目標比50%とギャップが大きい。特に”キーワードXXX”のCPCが2,000円と高く、想定通りのクリック数を稼げていない状況。」

考察:

「”キーワードxxx”は直近ニュースでも話題になり検索回数が増加している一方で、ホットなワードとなり競合も入札を強めているため、クリック単価が高騰していると考えられる。」

アクションプラン:

  • ① ”キーワードxxx”のクリック単価改善に向けて、広告品質のスコア向上を目指して、広告原稿の見直しを行う。
  • ② ”キーワードxxx”以外に相対的に安価なクリック単価でCV獲得が見込めるキーワードを、検索語句の傾向から探して登録する

以上のように整理することで、ファクト→考察→アクションプランが一本のストーリーで繋がるイメージを持っていただけたかと思います。この粒度まで整理できると、レポートの読み手もアクションプランの進行可否について、意思決定を行いやすくなります。

おわりに | 正しいレポートをもらってますか?

本記事では、デジタルマーケティング戦略のPDCAにおけるレポートの役割を整理し、PDCAを効果的に回すために必須となる「ファクト」「考察」「アクションプラン」について解説しました。

以下、要点を整理します。

  • レポートは読み手が意思決定を行うためのもの
  • レポートには「ファクト」「考察」「アクションプラン」が必要
  • 「アクションプラン」の立案には、「ファクト」「考察」の適切な深堀りが必要

もちろん前提として、「ファクト」データの正確な収集が必要で、実務上そのハードルも決して低くはないという現実もあります。その上で、「考察」「アクションプラン」の策定にはデジタルマーケティングの専門性が欠かせません。

いかがでしたでしょうか?レポートの「読み手」のみなさまは、適切なレポートを受け取っていらっしゃいますでしょうか?デジタルマーケティング戦略のPDCAを適切に回し成果を創出するための意思決定には、適切なレポートが必要です。

もし現状のレポートやPDCAの状況に課題感がございましたら、弊社の経験豊富なコンサルタントがお力になれると思います。どうぞお気軽にお問い合わせください。

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早川雅人

デジタルマーケティングコンサルタントとして10年以上の経験。PPC広告において大規模案件運用の実績を持つ。GAIQ、Google広告資格、英検1級保持。

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