新たな施策よりも顧客の期待に応えるWebサイト作りの徹底が重要になる
コロナの影響により、プリンシプルにもBtoB企業の方々から多くのお問い合わせを頂きました。従来は対面で顧客とやり取りされていた企業も、顧客接点がオンラインへ移行し、Webサイトの改善が急務となっています。
弊社はGoogle Analytics・Tableauなど、データドリブンなマーケティングに強いため、お問い合わせは「Webデータを広告に活かしたい」、「データをMAに活かして効率的にリード獲得したい」などのご相談が多い傾向があります。
しかしながらユーザ目線で見たとき、サイトに必要な情報への導線が不十分で、新たな施策を検討する前に見直すべき点が散見されました。この状況を放置すると、せっかく広告で連れてきたユーザもコンバージョンせずに離脱、MAを活用するためのメールアドレス獲得の可能性も少なくり、ROI悪化の懸念がありました。
今回のブログでは、以下2点をお伝えしていきますので、そのまま是非ご覧ください。
- BtoB企業のサイトに訪れる新規ユーザに焦点を当てた特性・行動の理解
- Webサイトの確認すべきポイント
ぜひ離脱せずに、そのままお読みください!
BtoB企業のWebサイトに訪れるユーザの種類は
「御社のサイトには、どのようなユーザが訪問されていますか?」
と質問されて、直ぐに答えられますでしょうか。
整理されていないと答えるのに窮してしまうと思います。業界や事業、サイトの狙いによって訪問するユーザは様々です。BtoB企業でも白物家電のようなBtoC商材も扱うようなメーカーであれば、トップページに「個人向け商品はこちら」と個人向けのナビゲーションを置いてあったり、上場企業であれば個人投資家や株主のためにIR情報を整備する必要があります。
ここで重要なのは、サイトを訪れる様々なステークホルダーのために分かりやすい導線を確保し、早く彼らが必要な情報にいかに早くアクセスさせてあげられるかが重要になります。
- 個人
- 法人ユーザ
- 新規ユーザ
- 見込み顧客ユーザ(サイトに既に1回以上訪問しているユーザ)
- 既存顧客ユーザ(過去にお取り引きがある顧客)
- 株主
- 採用候補者 など
BtoB企業のサイトに訪れる顧客となり得るユーザは何を考えているのか
ユーザは課題を解決したくてサイトを訪問する
それでは、商談に繋がるようなユーザは何を考えているのでしょうか。BtoCと明らかに異なるのは、彼らは明確な目的を持ってサイトを訪問しているということです。
プリンシプルを訪問されるユーザの皆様も、「リスティング広告の代理店変更を検討したい」「サイトの検索順位を上げたい」などの具体的な課題を抱えています。ユーザは、それぞれが持つ課題を解決するポテンシャル有無を、サイトを通じて見定めているのです。
BtoBユーザは合理的に判断する
「何となくこの企業良さそう」というぼんやりした理由で商談などが決まるのは、社長のようなトップダウンでの意思決定くらいかもしれません。ほとんどの現場では、なぜその企業と付き合うのかという合理的な判断と集団での意思決定が働きます。
そのため、その企業の良さがしっかり言語化されなければ、俎上にも載りません。
BtoBサイトを訪問する人は、上司に報告する材料を求めている
BtoBサイトを訪問するユーザは、必ずしも決裁権限や意思決定する立場の人ではないという前提の理解が必要です。
意思決定者が自ら情報収集しているのではなく、部下に指示を出してリサーチさせているとという想定が正しいかもしれません。指示を出された部下はクロス表を作り、縦軸に比較項目、縦軸に競合他社を並べていると想像できます。
発信者側ははその比較項目は何なのかをイメージし、比較項目に該当する情報をWeb上で発信していく姿勢が求められているのです。
BtoB企業のサイトに訪れる新規ユーザは、まずソリューションを理解したい
下記のイメージは弊社サイトのトップページランディング後、次にどのページへ訪問しているか、新規ユーザ数上位のページを降順に示したものです。
最も多いのが「企業概要」のページですが、これは弊社の規模やブランドの弱さを表しているかもしれません。
※もっとプリンシプルのブランドが強ければ、会社概要を気にされなくなる日も来るかもしれませんね。。
赤線を引いた部分がプリンシプルの「サービス」ページになります。
弊社ではGoogle Analyticsのコンサルティングをする上で、企業のGAアカウントを拝見する機会が多いのですが、BtoB企業サイトを訪問する新規ユーザの多くは、トップページ後にサービス・ソリューション紹介ページに遷移することがデータから把握できています。
そのため、新規ユーザがサイトを訪問し、サービス・ソリューションの良さやメリット、どこが他社との差別化ポイントかを理解する事が、新規ユーザに対するWebサイトの最低限の目標になると言えるのではないでしょうか。
自社のサイトを見直す際に、新規ユーザに向けて先ず見直すべきポイントは
新規ユーザ向けに見直すべき5つのポイント
先に述べた新規ユーザにサービス・ソリューションを理解してもらう事を目標とした際に、まず5つの観点でサイトの改善を図っていく必要があります。
- トップページ
- グローバルナビゲーション
- サービス・ソリューションページ
- ホワイトペーパー
- フォーム(お問い合わせ等)
この5つに関して、どのように改善を考えていくべきか述べていきます。
①トップページ
まず、競合他社がどのようなサイト作りをしているか確認するのは、サイト改善の出発点において重要です。その際、自社が市場においてどのようなポジションにいるのか、客観的かつ冷静に認識しておく必要があります。
なぜなら、サイト設計は自社やポジションによって変わるものであり、サイト設計のベストプラクティスは自社の状況次第でいくらでも変わる可能性があるからです。
自社と自社が属する業界1位の企業を比較し、トップページやサイト構成が似ていたら注意が必要かもしれません。業界1位の企業では、トップページのファーストビューにて新商品の紹介や抽象的なコピーを置いている場合がありますが、それは業界1位だから受け容れられる情報と理解するのが正しいです。
業界で3・4位以下の企業が同様の事を実施していても顧客にとって有益な情報ではない可能性が高いです。新商品を訴求する前に顧客に対してどのようなバリューを提供できるのかを示すのが、1・2位の企業と戦う際には重要になります。
業界上位でなくても下位でマーケティングが上手い企業は、顧客に対するバリューを上手に言語化し、コピーとしてファーストビューに置いています。業界の中でも中堅にいると思われるオフィス移転系サービスを営む某企業では、ファーストビューのコピーに「簡単に最安で最速のかっこいいオフィスづくり」と置いてます。
このコピーにより、新規ユーザの頭の中にその企業の市場におけるポジショニングを即座に把握でき、顧客側も最速で最安で頼むなら同社と想起させることに成功できていると推察できます。
②グローバルナビゲーション(グロナビ)
先に述べたように、多くの新規ユーザはサービス・ソリューションを先ず理解したいと考える傾向が強いです。そのため、新規ユーザがトップページに遷移した際、まずサービス・ソリューションページに誘導することを目標にして良いと思います。
ユーザをサービス・ソリューションページに誘導するためには、グロナビの設計が肝要になります。グロナビの構成・作りが上手いBtoB企業は、グロナビでマウスオーバーするとドロップダウンが現れ、サービス一覧を見せるようにしています。
ドロップダウンにより、通常はトップページからサービス詳細ページへ3ステップほど掛かる導線を、2ステップに削減しています。複数サービスを持つ企業の場合、サービスの全容をユーザに把握させられる意味でもグロナビでサービス一覧を表示させる意義があると思います。
- 通常:トップページ→サービス一覧ページ→サービス詳細紹介ページ
- プリンシプルが考えるベストプラクティス:トップページ(グロナビ時点でサービスを選択させる)→サービス詳細紹介ページ
サービス・ソリューションページ紹介の切り口
グロナビの構成が上手いBtoB企業は、課題別、業種別、サービスカテゴリー別、シーン別などのサービス紹介の切り口をいくつも用意しています。
マーケティングが上手い企業では課題別の切り口を必ず用意しているという点です。これは、BtoBユーザが課題を抱えた状態で自社サイトに訪問するという事を理解し、サイト制作していると推察できます。
③サービス・ソリューションページ
サービス・ソリューションページは、シンプルな構成になっている事が重要です。多くの企業では、サービスへの愛ゆえか長々とサービスの特徴を記載されますが、「ほとんど読まれない」という前提に立って構成を検討すべきです。
「課題→解決策としてサービス紹介→ベネフィット→ベネフィットを支える根拠→事例」という流れが良いと様々な企業のサイトを見た経験から感じています。
もし予算に余裕があるようであれば、サービス・ソリューションページのヒートマップ分析を実施して読了率を確認すれば、ページのどの部分で離脱が発生しているかを定量的に把握できます。
本来はサービス詳細紹介ページの最後にCTAを用意し、お問い合わせやホワイトペーパーに繋げることを目指したいので、ヒートマップ分析を用いて途中で離脱している箇所を把握するのは重要になります。
④ホワイトペーパー(WP)
WPはユーザのサイト内の導線に合わせた配置、検討フェーズに合わせて作るのが良いです。
新規ユーザが訪問しやすいページ等の最後に「〇〇に向けたアクションリスト」等のCTAを配置し、どのユーザにも共通して有用な資料を準備しておけば、そのままダウンロードに繋げられ、顧客とのタッチポイントを獲得できるかもしれません。
ユーザの検討フェーズが具体化してくると、ユーザはより詳細な情報を収集するために動くはずです。その際に、事例紹介や過去の顧客インタビューをWPとして用意しておくと顧客のダウンロードを促すことができるはずです。
⑤フォーム(お問い合わせ等)
フォームの作り方が上手い企業は、入力項目の量にメリハリがあります。
新規ユーザが辿り着くようなWPのDLフォームで、7~8つも入力項目があると少し億劫になったご経験はないでしょうか?
初期の検討フェーズでは、ユーザは労力を掛けず情報収集したいと考えています。そのため、初期検討フェーズのユーザ導線において、WPダウンロードの際に求める入力項目は、氏名・会社名・メールアドレス・電話番号くらいに留めておくのが良いと思います。
メールアドレスを獲得できれば、その時点で商談に繋がらなくても、やがて本格的に検討するタイミングで再度サイトを訪れ、MAでのナーチャリングが可能になり、セミナーの案内も可能になります。
反対に「お問い合わせ」ページのフォームに関しては、詳細に入力項目を設けて良いと思います。実際の商談の場で、予算感などをヒアリングするよりも事前にヒアリングしておいた方が、具体的な話から商談がスタートできます。
BtoB企業サイトの改善もプリンシプルにお任せください
プリンシプルでは、BtoB企業向けのWebサイト全体の戦略設計から、GoogleAnalytics等による解析基盤の構築、MAのシナリオ設計など、総合的にBtoBマーケティングをご支援しておりますので、お気軽にお問い合わせください。
BtoBマーケティングサイト改善チェックリスト
- 企業が提供する価値 (プロダクト・サービスを総体化したもの)を表すコピーがファーストビュー等に配置されていますか
- ユーザが次ページに行きやすいようなナビゲーション (サービス別、課題別、シーン別、業種別など)になっていますか
- 訪問者をセグメンテーション (大・中小企業、個人、パートナー)し、ナビゲーションしていますか
- CTAがグローバルナビゲーション、ファーストビューに配置されていますか
- 各コンテンツの最後にCTAが配置されていますか
- トップページのセカンドビュー以降は、ユーザメリットの無い情報 (ニュースなど)がページを占めていませんか
- サービス・プロダクトの特徴や貴社を選定するメリットが、ユーザに理解される形で掲載されていますか
- コンバージョン (問い合わせ、電話、見積もり依頼など)への導線が分かりやすく、ステップが短く設定されていますか