Looker Studioは、Googleが提供するBIツールであり、ダッシュボードの作成に最適なツールの1つです。しかしながら、時間をかけて作成したダッシュボードが実際に活用されているのか、そして利用者にとってどのような価値を提供しているのかといった点が不透明なまま運用が続けられることがあります。その結果、定着が難しいケースが少なくありません。

さらに、せっかく作ったダッシュボードも、使わなければ価値を発揮することができず、他にやるべきことに充てられる貴重な時間を奪ってしまいます。そのため、「不要なダッシュボードの作成を避けること」こそが最良の選択だと考えます。

そこで、本記事ではGoogleアナリティクス4(以下、GA4)を使用して、Looker Studioダッシュボードの利用状況を可視化する方法について紹介します。

GA4をダッシュボードに追加する3ステップ

事前に、利用状況を計測するためのGA4専用プロパティを作りましょう。

Looker StudioのダッシュボードをGA4で計測するには、測定IDをLooker Studioダッシュボードに設定するだけでOKです。

手順① 測定対象のダッシュボードで編集モードを起動

測定対象のダッシュボードで編集モードを起動

手順② 「ファイル」から「レポート設定」を開く

「ファイル」から「レポート設定」を開く

手順③ 「レポート設定」で、測定IDを入力する

「レポート設定」で、測定IDを入力する

ツール 測定ID 補足
GA4のみ G-xxx GA4プロパティを複数入力することはできない
UAのみ UA-xxx-x
両方 G-xxxx,UA-xxx-x 両方を追加する場合は、カンマで区切る

利用状況が把握できるレポート3選

ダッシュボードの利用状況を把握するために役立つGA4レポートを紹介します。

ページとスクリーン

  • アクセスされていないダッシュボードがわかる
  • ページ別に見ると、不要なページがわかる
  • ユーザー数を見ると、特定の人のみが利用しているのか、複数の人が利用しているのかわかる

たとえば、ページタイトルのディメンションにはダッシュボード名とページ名が自動的に収集されるので、ダッシュボード名でフィルタをかければ、ダッシュボード全体の閲覧回数やページ別のユーザー数などがわかります。

ユーザー属性の詳細

  • 市区町村 > どんな人が利用しているのか、リモートワーカーについて把握できる
  • 言語 > 利用者にあった言語が提供できているかわかる

たとえば、大規模な企業や国内外に複数の拠点を持つ会社であれば、複数のIPアドレスからのアクセスを検知し、どの拠点で利用されているかがわかります。

ユーザー環境の詳細

  • デバイスカテゴリ > 利用者の利用するデバイスにあったレポートが提供できているかわかる

たとえば、スマホで閲覧しているユーザーがいれば、縦長のレイアウトのページを追加する必要があるとわかります。

不要なダッシュボードにならないためのアプローチ

ダッシュボードの有用性を最大限に引き出すためには、以下のポイントを考慮する必要があります。

利用想定や利用者の感想をヒアリングする

「こんなダッシュボードが欲しい」と依頼を受けていざ作ってみたらイメージと異なる、ということはよくあることです。

  • 必要な指標が足りず、別のツールを使うことになった
  • 以前は必要なダッシュボードだったが、事情により見るべき指標が変わったため、使わなくなった
  • ウェブでは閲覧していないが、メール配信でスナップショットを見ている

など、利用されていないダッシュボードがなぜ利用されないのか、フォローアップすることで提供価値を見直すことに繋がります。

ツールにこだわりすぎない

ダッシュボードを作成する際、BIツールを必要としない場合もあります。たとえばGA4の標準レポートでは見づらいレポートを作りたい、という場合も、GA4の標準レポートをカスタマイズすることで実現できることもあります。

とくにGoogle系のプロダクトは、Googleスプレッドシートで公式アドオンが無償提供されていることもあるため、自動更新も可能でダッシュボードと同じことが実現できる場合もあります。

ツールに囚われすぎず、より少ない工数で価値を提供できないか模索してみましょう。

組織全体の工数を考慮する

ダッシュボード作成によって得られる価値は、関係者のデータ確認工数の削減です。これによって意思決定スピードを上げ、工数削減以上の価値を生み出すこともできるでしょう。

つまり作成する工数が膨大でも、それによって生み出される生産性の向上が十分に見合えば、工数をかけてダッシュボードを作成する価値があります。

一方、作成したダッシュボードによって実際に期待した価値が提供できているか、検証することも重要です。手塩にかけて作成したダッシュボードが組織に与えたプラスとマイナスの影響を把握することで、ダッシュボード作成の価値を感じられるでしょう。

まとめ

本記事ではGA4を使用して、Looker Studioダッシュボードの利用状況を可視化する方法について紹介しました。

ぜひ皆様も、ダッシュボードの実効活用を確かめるために、簡単な3ステップで利用状況を可視化してみてください。

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吉田弘毅

2023年よりプリンシプルへ参画。Webサイトのユーザー行動解析や運用型広告におけるデータ設計、実装を担当。

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