米国におけるEコマース全体の売上高はパンデミックの影響で伸びており、多くの企業がオンラインでのビジネス拡大に投資しています。今後、Eコマースの革新と新しいマーケティングのトレンドが生まれることが期待されています。
こういった状況でShopifyは、Eコマースストアの活性化に重要な役割を果たしました。Shopifyのようなプラットフォームによってブランドは簡単にDTC(Direct to Consumer)で商品を売れるようになり、新たな知見が得られるようにもなりました。
この記事では、こうしたShopifyやDTCを中心とした事象から、今後注目するべきマーケティングトレンドをご紹介します。
記事の内容
- 米国EC市場が好調
- Amazon、eBayに次ぐオンライン小売業者Shopify
- 3つの最新マーケティングトレンド
併せて下記動画もぜひご覧ください。
米国EC市場が好調
米国Eコマース市場は年々拡大の一途を辿っています。
2020年の米国のオンライン小売における売上高(現物商品)は4,316.5億ドルに達しており、2024年には5,634億ドルに迫ると予測されています。
また小売に占めるECの割合も増えており、2020年第3四半期にはEC売上シェアは約14%に達しました。
Amazon、eBayに次ぐオンライン小売業者Shopify
Shopifyはカナダで2004年に創業した、ECサイト開発・運営を助けるプラットフォームです。いまでは175か国170万ショップ以上に導入されるまで成長を遂げており、米国ではAmazon、eBayに次ぐ第3位のオンライン小売業者となりました。
- Shopify Plusを利用する事業者(マーチャント)は世界で1万以上
- 2020年の流通総額(GMV)は約12兆円
- 世界で4億5700万人近くが商品を購入(2019年比52%増)
- 事業者(マーチャント)によるShopifyでの総売上高は約30兆円
参考:Huge Shopify Statistics in 2021: Facts, Market Share & More
日本市場にも進出
Shopifyは日本市場にも進出しています。日本国内の新規加盟店には、例えば「BAKE The Online」「益子WEB陶器市」「オリオンビール」「タイガー魔法瓶」「タンスのゲン本店」などがあります。
2020年の日本市場における流通総額(GMV)は、2019年比323%増を達成し、その成長率は他国に比べても高いと言われています。また新規出店数の伸び率は前年比228%増で、こちらも他のマーケットの中でも上位に位置しています。
参考:「Shopify」 、2020年の国内流通総額は323%増 新規出店数は228%増に | TECH+
3つの最新マーケティングトレンド
トレンド1:Shopify Capital・新ローン事業
Shopifyはここ5年間で金融サービス「Shopify Capital」を成長させており、現在では20億ドル(約2,160億円)の資金をビジネスオーナーに提供していると発表しました。
この金融サービスの特徴は、「Shopifyでビジネスをしているビジネスオーナーの売上データやウェブサイトのトラフィックデータから、機械学習により融資判断(資金提供すれば更に売上を伸ばすことが可能か)をする」というものです。
Shopifyが予測に利用するデータ
- 当該ストアの(オンライン/オフライン)売上データ
- 当該ストア(オンライン)のパフォーマンス
- 7,000万のデータポイントからみた、当該ストア商品の売れ行きトレンド(他のサイトを含む)
このサービスを可能にしているのが融資判断の高い精度です。現状の機械学習モデルでは、ビジネスオーナーの最低売上金額を90%もの精度で予測できると言われています。
トレンド2:ゼロパーティーデータ
ゼロパーティデータ(ZPD)とは、消費者が積極的かつ意図的に共有している自身のデータのことです。例えば、プリファレンス、購入意図、個人的なコンテクスト、ブランドにどのように認識してもらいたいかなどのデータが含まれます。
ブラウザがサードパーティのCookieを廃止し、AppleがIDFA(広告用ID)の共有をユーザーが拒否できるようにしたことから、このZPDに注目が集まっています。
ZPDを獲得する施策には、投票、クイズ、ウィジェット、メルマガ登録などがあります。
しかしZPDの本質は、顧客との信頼関係にあります。なぜなら、顧客から信用されてはじめて意味のあるデータを獲得できるためです。そのためB2Cマーケターたちは「顧客との信頼性」「共感してもらえるか」にも気を配っています。
トレンド3:データ基盤への投資が増加
ウェブマーケティングまわりのデータ基盤と管理への投資が伸びています。
マーケターの最優先課題トップ3(2021年)では、新規顧客獲得数の増加(65%)の次にデータ管理の改善(44%)が位置しています。
▼AI、ゼロパーティデータへの投資も
8割以上のマーケターは、2021年のマーケティング戦略の一環として、人工知能(AI)を取り入れる可能性があると答えました。84%が現在、社内でAI機能を開発しているか、開発を計画しています。
また78%のマーケターは2021年、メッセージング体験をよりパーソナライズするために、ゼロパーティデータを利用することを計画しています。
※US&UKでの500名のB2Cマーケター調査
まとめ
- パンデミック下でもEコマースは成長を続けており、 多くの企業がShopifyでDTCサイトを立ち上げている。
- Shopifyの新ローン事業「Shopify Capital」では小売業者のデータ(行動、顧客、売上、商品など)を融資判断に活用。AIや機械学習でプラットフォームがどんどん賢くなっているため、企業に求められるCX改善のラインも上がってくると思われる。
- ゼロパーティーデータへの注目が加速。サードパーティーデータクッキーなどの廃止により、今後ユーザ情報を得るためには顧客との信頼関係がキーになる。
- ウェブマーケティング回りのデータ基盤と管理への投資が伸びている。ShopifyなどでEC事業を立ち上げた後、さらに発展させる上ではデータ活用が最重要。
この記事では、ShopifyやDTC(Direct-to-Consumer)を中心とした事象から、今後注目するべきマーケティングトレンドをご紹介しました。アメリカでのマーケティング活動の一助となれば幸いです。
プリンシプルはアメリカにもオフィスを持っており、より現地のトレンドに沿った、充実したコンサルティングが可能です。米国でのデジタルマーケティングや広告でお困りの方は、ぜひPrincipleにお問い合わせください。