アメリカではコロナ禍の2020年と2021年は「ソーシャル・ディスタンス」がキーポイントであり、年明け早々から専門家会議やその他のビジネスイベントの延期や中止が相次ぎました。最終的には対面でのビジネスが一切行われなくなってしまいました。
リードの創出、見込み客との出会い、新規顧客の獲得など、リアルな場でのエンゲージメントの選択肢がなくなったことで、BtoBの顧客の意思決定ジャーニーは加速的にデジタル化されています。コロナウイルス以前にあった顧客との物理的なエンゲージメントのすべてに対して、デジタルの代替手段が用意されるようになりました。
この変化は、ただオンラインで代替する現象だけに留まりません。新しい年の予算を立てる段階で、マーケティングの位置づけやマーケティングリーダーへの期待の変化は、地殻変動のように広範なものであることが明らかになってきています。
そんなパンデミックの中、BtoBにおいても当然、デジタルマーケティングは重要なものになりました。特にアメリカなどの英語圏のBtoBマーケターは、LinkedInをリード獲得の有効な手段と考えています。LinkedInは、オーガニックとペイドの両方のBtoBマーケティング活動において、最も注目されているSNSプラットフォームです。
この記事では、日本のBtoB海外マーケター向けに、リード獲得の環境の変化や、LinkedIn広告を使ったリード獲得戦略などをご紹介します。
記事の内容
- リモート時代のBtoBリード獲得の変化
- マーケターの責任が重大化。LinkedInでコンバージョンにフォーカス
- ABMの重要性について
リモート時代のBtoBリード獲得の変化
リモートセリングへの移行は、パンデミック下でのロックダウン・自粛要請・隔離などで人々が家に留まらざるを得ない状況の中で、必要に迫られて生まれたものでしょう。
BtoBのセラーは驚くべき速さで対応しています。マッキンゼーの調査でわかるとおり、2020年4月の段階で約90%がビデオ会議や電話で仕事をしています。当然のことながら、この傾向は他の分野よりも顕著で、テクノロジー、メディア、通信分野ではほぼ100%となっています。
現代のBtoBバイヤーは、より懐疑的で、より多くの情報を持ち、ソーシャルメディアに多くの時間を費やしており、ブランドに透明性と信頼性を求めています。そのため2021年のBtoBバイヤーの信頼を獲得するためには、次のようなことが必要です。
- 従業員によるソーシャルメディアへのアクセスを増やし、彼らが人間的なレベルで自然(オーガニック)に自己表現できるようにする。
- 顧客の声をマーケティング活動の中心に据える。
- ブランドの価値を明確に表現する。
こういった環境において、BtoBのリード獲得やマーケティング施策で重要なチャネルがLinkedInです。
補足データ
- B2Bマーケティング担当者の70%以上が広告にLinkedInを利用している。
- 2019年には、マーケターの42%がLinkedInの広告予算を増やした。
- B2Bウェブサイトのソーシャルトラフィックの50%はLinkedInから来ている。
The B2B digital inflection point: How sales have changed during COVID-19より
マーケターの責任が重大化。LinkedInでコンバージョンにフォーカス
2020年から2021年へパンデミックが続く中、主なテーマは、ビジネス成果の説明責任を中心としたものでした。
潜在顧客とのコミュニケーションチャネルのほとんどの鍵をデジタルマーケティングが握っていることもあり、2021年のマーケティングリーダーは、結果に対して説明責任を果たすことが求められています。例として、リード獲得の他にも追うべき範囲が商談化、受注、売上や収益まで広がったのではないでしょうか。
アメリカや英語圏でBtoBマーケターがまずフォーカスするリード獲得施策にはLinkedIn広告が効果的です。LinkedIn広告は多くのBtoBマーケターが普通に活用している媒体です。
リード獲得戦略をサポートする広告にはConversionを目的としたキャンペーン目的の設定がキーになります。
LinkedIn広告を出稿する際には7つのキャンペーン目的から選択
Awareness(認知)
- Brand awareness(ブランド認知)
Consideration(検討)
- Website visits(ウェブサイト訪問)
- Engagement(エンゲージメント)
- Video views(動画の再生)
Conversions(購買)
- Lead generation(リードジェネレーション)
- Website conversions(ウェブサイトでのコンバージョン)
- Job applicants(採用応募)
太字の2つ「リードジェネレーション」「ウェブサイトでのコンバージョン」がリード獲得戦略のキーになります。
下記の表に記載のとおり、キャンペーンの目的設定別に広告が最適化されるベースとなるKPIが異なります。例えば、「Conversion」を目的としたキャンペーンは広告のインプレッションやリード獲得、広告のクリック、サイトコンバージョン、LPのリンククリックなどがあります。
ABMの重要性について
BtoBの購買決定は個人ではなく、意思決定者のグループ内で行われるというのは常識です。しかしながらBtoBマーケティング活動のプランニングではこれまで、個人へのアプローチ、獲得、育成、コンバージョンに焦点が当てられていました。
マーケティングとセールスが協力する新たなプロセスのひとつとして、リードからオポチュニティへのフォーカス移行があります。これは、個人へのフォーカスから購買グループへのフォーカスに移行することを意味しています。
この移行の結果、BtoB企業は2021年、ABM(Account Based Marketing)に注力することになり、下記のような活動が活発化しています。
- ABM戦略のテストと展開
- マーケティングと営業とのパートナーシップ改善
- 適切なステークホルダーのターゲット化
- ターゲットオーディエンス内のさまざまなステークホルダーにコンテンツが確実に響くようにする
下の図を見てもABMとコンテンツマーケティングの重要性がわかります。
ABM戦略でもLinkedIn広告は重要な媒体です。ターゲティングでのオーディエンス設定でABMでターゲットとなるアカウントやユーザーの属性を定義して、広告を出稿することが効果的です。
まとめ
- パンデミックで人と直接会えない状況のリモート時代において、リード獲得にはデジタル広告、特にBtoBにはLinkedIn広告が欠かせない。
- マーケターの責任の重大化に伴い、コンバージョンの量と質にフォーカス。そこでLinkedIn広告のキャンペーン目的でコンバージョンを目的とした広告がキーとなる。
- ABM戦略の重要性が再認識され、LinkedIn広告でのABM戦略に欠かせないターゲティング属性が注目されている。
この記事では、日本のBtoB海外マーケター向けに、LinkedIn広告のリード獲得戦略をご紹介しました。アメリカでのマーケティング活動の一助となれば幸いです。
プリンシプルはアメリカにもオフィスを持っており、より現地のトレンドに沿った、充実したコンサルティングが可能です。米国でのデジタルマーケティングや広告でお困りの方は、ぜひPrincipleにお問い合わせください。