コロナウイルスのパンデミックにより、多くのマーケターがデジタルマーケティング戦略の転換を迫られています。日本企業の多くでは、パンデミック時にDXを進化させることに注力しています。
中でも「SEO」と「コンテンツマーケティング」は、日本企業が米国市場に進出する際には無視できない、重要なマーケティング戦略であることは間違いありません。
そこでこの記事では、米国マーケターの動向やSEOトレンドをまとめ、さらに米国コンテンツマーケティングで重要となる3つのSEO施策をご紹介します。
記事の内容
- 米国マーケターの動向
- 米国のSEOトレンド
- 米国コンテンツマーケティングにおける3つのSEO施策
米国マーケターの動向
コロナウイルスの流行もあり、アメリカのマーケターの動向は目まぐるしく変化しています。アフターコロナのマーケティング活動に向け、まずは現地のマーケターの動向について触れていきます。
ここでは以下の3つのトピックを紹介します。
- マーケティングテクノロジーやDXへの投資が加速
- Webの利便性と安全性に注目
- 「新規顧客の獲得」と「ROI改善」にフォーカス
マーケティングテクノロジーやDXへの投資が加速
BtoC企業のマーケティングテクノロジーへの投資が加速しています。
実際、ある調査では半数近く(49%)で増加しており、そのうちの18%は予算を25%以上も増加させています。
Webの利便性と安全性に注目
主にパンデミックの影響で、アメリカのマーケターはWebの「利便性」と「安全性」に注意を気を使っています。
- 利便性の例:アプリで食べ物のテークアウトを事前に予約する。
- 安全性の例:お金の接触を減らすためにキャッスレスを推進。オフラインイベントを止めて、ウェビナーを実施する。
「新規顧客の獲得」と「ROI改善」にフォーカス
最新のCMOサーベイの調査とIteable社の調査によると、パンデミックの中、「新規顧客の獲得」にフォーカスするリーダの割合が増えています。
同時に、ROIの改善も優先度が高くなっています。
SEOはROIが高く、また新規顧客獲得する上で大事なチャネルでもあります。つまり新規顧客を増やしROIを改善するには、この記事のテーマでもあるSEO(コンテンツマーケ)が重要な施策となります。
補足:2021年末までにBtoCブランドのほとんどがアプリを持つ
「2021年末までに、BtoCブランドの90%近くが独自のアプリを持つ」というデータがあります。今後、アプリは今まで以上にパーソナライゼーションのハブとして活用され、顧客体験のあらゆる側面をコントロールするようになると考えられます。
このトレンドが実現すれば、モバイルへのSEO対策はウェブサイトだけでは不十分で、ASOも大事な施策になるでしょう。
SEOトレンド
Semrushのブログ「12 SEO Trends to Know for 2021」で挙げられたSEOトレンドトップ3は以下のようになっています。
- Artificial Intelligence Will Play a Larger Role in SEO
(AIがSEOで重要な役割を果たすようになる) - Voice Search Will Impact Search Queries
(音声検索が検索クエリに影響を与える) - Mobile-Friendliness Will Impact Search Rankings
(モバイルフレンドリー(Core Web Vitalで評価)が検索順位に影響を与える)
共通するポイントは「AI + Mobile first + Core Web Vitals」です。これらを踏まえて、SEOのトレンドを解説します。
トレンド 1: キーワード検索からセマンティック検索へシフト
ユーザーはデバイスを「身近で対話可能なパートナー」のように扱うようになり、音声検索が普及しました。いまや検索は、会話するように利用されています。
これを支える技術がGoogle Search & AI(BERT)です。BERTはBidirectional Encoder Representations from Transformersの略で、Googleが発表した自然言語処理の手法です。
- 70以上の言語に対応
- Google英語のほぼすべてのクエリに対応
- ユーザーが本当に探しているものをよりよく理解する
GoogleのBERTアップデートにより、Google検索エンジンのボットがより「会話的」になり、Googleのアルゴリズムが検索者の意図を解釈できるようになりました。簡単に言えば、Googleは人間の脳のように物事を理解できるようになったということです。
今後のSEO対策ではセマンティック検索への対応が迫られています。
トレンド 2: Core Web Vitals
2019年、Googleはモバイルファーストインデックスを展開しました。これは、検索エンジンがウェブサイトの「モバイル表示」を主に評価するということです。2025年には約73%がモバイルデバイスのみでインターネットにアクセスすることを考えると、理にかなっているでしょう。
そして2021年5月にGoogleのランキング因子の一つに加わるのが「Core Web Vitals」です。
Core Web Vitalsに対応したダッシュボードはGoogle DataPortal (DataStudio)で作成可能です。作成方法の詳細やカスタムダッシュボードにご興味ある方はプリンシプルまでご連絡ください。
米国コンテンツマーケティングにおける3つのSEO施策
ここまで述べたことを踏まえ、コンテンツマーケティングをアメリカで展開する際には以下の3つに注意が必要です。
- キーワード調査をしっかりする
- トランスレーションではなく、ローカライゼーション
- テキスト以外でもSEOを推進
施策1:キーワード調査をしっかりする
基本的なことではありますが、キーワード調査が重要です。なぜなら、単純な翻訳による質の低いコンテンツでは、Googleだけではなく現地の方たちにも評価されないためです。
▼キーワード調査のポイント
- 自動翻訳に頼らず、現地の方が使う言葉やキーワードで徹底して調査する
- 「検索ボリューム + 関連性 + ユーザのインテント + 競合」で総合的に評価
キーワード調査によって、例えば以下のような気付きが得られます。
▼キーワード調査の例:「Get leads using facebook ads」VS. 「Generate leads using facebook ads」
- 「Get」の検索結果の方はHow-To系のページが多く含まれている。
- 「Generate」の結果はHow-To系だけではないリスト系、ステップ系の記事も多く含まれる結果
- 緑枠:上位3つの検索結果は同じでも、4番目の結果がどうやってFBからリードをダウンロードするかのページ。右の検索結果にはダウンロード系のページがランクされていない。
- 赤枠:「Get」と検索ワードに使用したにも関わらず、検索結果には4つの「Generate」を含んだタイトルがランクしている。「Generate」のサーチには「Get」を含んだ結果が2つだけ。
施策2:トランスレーションではなく、ローカライゼーション
単なる翻訳よりもローカライゼーションが重要です。
その理由のひとつが、この記事でも触れた、検索エンジンがセマンティック検索化していることです。セマンティック検索に対応すべく、今後は現地の方が使う言葉やニュアンスを重要視すべきでしょう。
もう1つの理由は、英語コンテンツは競争が激しいということです。ネット上の英語コンテンツは日本語コンテンツの約10倍あると言われており、ただの翻訳では競合に敵いません。
上位表示されるにはローカルフレンドリーで質の高いコンテンツであることが前提になります。
施策3:テキスト以外でもSEOを推進
ブログなどのテキストコンテンツだけでなく、動画も活用すべきです(ブログ記事に動画を埋め込むなど)。これはGoogle検索の仕様上、テキストコンテンツと動画の併用が効率的なためです。
例③ 過去3ヶ月間で約46,000件のアクセスが動画の埋め込みによってもたらされている
参考:12 Quick SEO Tips to Increase Organic Traffic
▼キーワード調査のヒント
キーワード調査においても、動画を活用することができます。SEOツールで検索エンジンをYouTubeに切り替えて調査をすると、アメリカでの月間推定検索数が多いキーワードがわかる事もあります。ぜひお試し下さい。
まとめ
- 新規顧客獲得の優先度が大幅に上昇している。
- SEOはROIが高く、海外・アメリカでも大事な流入チャネル。
- 米国SEO対策①:キーワード調査をしっかりする
- 単純な翻訳による質の低いコンテンツでは、Googleだけではなく現地の方たちにも評価されない。自動翻訳に頼らないキーワード戦略と調査が重要。
- 調査で注目すべきポイントは「検索ボリューム + 関連性 + ユーザのインテント + 競合」
- 米国SEO対策②:トランスレーションではなくローカライゼーション
- 英語圏はインターネット利用者が多く、検索ボリュームがある反面、競争も多いため、量よりも質を狙う。
- セマンティック検索化に伴い、アメリカ現地の人が使う言葉やニュアンスを重要視すべき。
- 米国SEO対策③:テキスト以外でもSEOを推進
- YouTubeを利用する事でSEOの相乗効果を狙う
- 例)ビデオの埋め込み、ブログ記事をビデオ化
この記事では、米国マーケターの動向やSEOトレンドをまとめ、さらに米国コンテンツマーケティングで重要となる3つのSEO施策をご紹介しました。アメリカでのマーケティング活動の一助となれば幸いです。
プリンシプルはアメリカにもオフィスを持っており、より現地のトレンドに沿った、充実したコンサルティングが可能です。米国でのデジタルマーケティングや広告でお困りの方は、ぜひPrincipleにお問い合わせください。