2020年の東京オリンピックに向けて、インバウンド市場は熱い注目を浴びています。外国人観光客の中で、爆買いで話題になった中国人観光客は必ずしも無視できない存在です。従って、Googleだけではなく、中国で圧倒的なシェアを誇る百度に強いサイト及びウェブマーケティングも必要になってきます。
そこで、今日は百度系のウェブデータ分析ツールをご紹介します。
百度とは?
百度(バイドゥ)というのは中国における最大の検索エンジンのことです。中国でGoogleはドメインごと完全に規制されていますので、全く使えません。その代わりに、中国語検索が中心となる百度は一番高いシェア(約8割)を占めています。
百度が提供するデータ分析ツール
Google社がGoogle analyticsなどの分析ツールを提供しているように、百度も無償の分析ツールを用意しており、Googleと同様に以下のようにウェブ分析・モバイル分析用のツールが存在します。
百度 | 機能 | |
百度统计- 网站统计 | Google Analytics | ウェブサイト分析 |
百度统计- 移动统计 | Firebase Analytics | モバイルアプリ分析 |
百度统计(ウェブサイト分析)の管理画面
では、百度统计シリーズの中で、一番使われている、ウェブサイト分析の管理画面を見てみましょう。
百度统计はGoogle Analyticsとほぼ同じデザインになり、ユーザー画面が左右に分けられています。左側にはいろいろな属性の項目が並んでいて、選ぶことができます。右側には各種データが並んでいます。
左メニューのそれぞれのレポート項目には以下のようなレポートが含まれています。
1. サイトサマリー
2. ユーザーエクスプローラー・レポートに近いレポート
3. 流入元分析
4. ページレポート、ランディングページレポートなど
5. コンバージョンレポート
6. 地域レポート、新規/リピーター、デバイスレポートなど
管理画面を見てみますと、Google Analyticsほど属性の数は多くありませんが、百度统计で基本的な流入元やユーザー分析、コンバージョン分析などGoogle Analyticsで行うような分析のうち基本的な分析は行うことができます。
百度统计を使ったメリットと問題点
実際に自社ECサイトに百度统计ウェブサイト分析ツールを導入し、使ってみたところ、いくつかのメリットをデメリットを感じました。
メリット
☑ 中国からの流入をより正確にトラッキングできる
まず、中国からの自然検索流入は、ほとんど百度経由になります。中国の通信制限に影響され、Google Analyticsだけではトラッキングできない部分もあると考えられます。
実際に、弊社のECサイトへの流入数値を使って両方のツールを比べてみました。その結果、同じ期間(2016.6月~2016.7月)内、中国からのセッション数値は、百度统计はGoogle Analytics の2倍ぐらいになりました。もちろん、トラッキングアルゴリズムの違いなども影響していますが、その他の国のデータと比較して、非常に大きい違いが存在します。
☑ より詳しい地域分析
また、中国の行政地域は複雑な構造になっています。Google Analyticsは「市区町村」及び「大都市圏」などのセグメントがありますが、百度统计ではより現実に沿った行政地域セグメントを使っています。さらに、香港や台湾からの流入も含め、全中国語圏地域を一括比較できます。
デメリット
☑ すべて中国語になる
百度统计は中国語圏向けの分析ツールとなっています。当たり前ですが、設定、レポート、マニュアル、関連情報など、すべてが中国語になります。日本語情報や記事はほとんどないことは最大の問題点になります。
☑ Google Analyticsほど細かい分析はできない
また、基本的な分析はできますが、拡張eコマース、マルチチャネル分析などの機能は特についていません。さらに、百度APIマニュアルに記載されている情報も少ないですので、基本以上のデータトラッキングはなかなか期待できません。
まとめ
中国からの流入を分析するのには、百度统计は断然優れています。しかしながら、Google Analyticsほどいろいろカスタマイズできないので、両方の併用をおすすめします。