この1年、海外の企業はカスタマーエクスペリエンス(以下CX)の向上に注力しています。 しかしCXを向上させるためにはどのような施策を打てばいいのか、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

この記事ではプリンシプルが過去に取り組んだ事例を元に、ウェブサイトのCXを向上させるための5つのアプローチを紹介します。施策を考える際のヒントになれば幸いです。

マーケターも顧客もCXに注目している

まず、CXが注目されているというデータをご紹介します。

成果を出しているCEOの60%は、CX向上を今後3年間のTOPプライオリティに設定していることが分かりました。

また、「強い顧客体験」がお客様の優先事項として浮上しています。

さらに、CX関連の施策にマーケティング予算の12~17%が投入されているというデータもあるなど、CXがマーケターと顧客の両者から注目されているという状況です。

CXを向上させるための5つのアプローチ

CXを向上するためには従来のセッションベースのデータ解析では不十分です。なぜなら、ユーザーの行動全体が顧客体験であり、CX向上のためにはより広い範囲を別の切り口で分析する必要があるからです。

ここでは例として以下の5つのアプローチを紹介します。

  • アプローチ1. CV以外の軸でもコンテンツを評価する(What:価値の高いコンテンツは何か)
  • アプローチ2. セグメント別にユーザーを比較する(How:どのように行動しているか)
  • アプローチ3. セグメント×イベントで分析する(Why:なぜCVしたか)
  • アプローチ4. 個々人の行動に焦点を当てる(Who:誰がCVしているか)
  • アプローチ5. データ基盤に投資

アプローチ1. CV以外の軸でもコンテンツを評価する(What:価値の高いコンテンツは何か)

CV以外の軸でもコンテンツを評価するべきです。これにより、CX向上に役立つコンテンツの発見につながります。

例:「人気記事」「サービスページへ飛びやすい記事」「CVが発生した記事」では傾向が異なる
(弊社ブログ記事の解析例)

意外とできていない場合が多いのですが、解析ツールにCV以外のデータも認識させましょう。CVしたユーザーをエンゲージしたコンテンツやファーストタッチしたコンテンツの確認も有用です。

ユーザーをエンゲージしているコンテンツに集中的に投資することで、ターゲットにしているユーザを増やす事ができ、もちろんCVアップにもつながります。

アプローチ2. セグメント別にユーザーを比較する(How:どのように行動しているか)

CVした訪問者がどのような行動をしているのかを分析すべきです。サイト訪問者が誰なのか、なぜサイトに来たのかわからない状態ではCX向上は困難なためです。このアプローチにより「想定しているフロー以外にもCVしやすいパターンがある」といった知見が得られます。

例:条件に当てはまらない(注目していない)セグメントでは採用系のコンテンツからCV
(弊社コーポレートサイトの解析例)

この分析をするには、「買い物客 vs 買わない客」など、違うユーザーセグメントで比較します。ECサイトなどに適用すると、顧客の行動のボトルネック検証にも活用できるでしょう。

アプローチ3. セグメント×イベントで分析する(Why:なぜCVしたか)

どのような要因(Factors、セグメント)・要素(Elements、イベント)がターゲットユーザを魅了するかを分析すべきです。

そのためには、セグメントとイベントの2つをかけ合わせて分析します。ユーザーがどのような行動をして、ウェブサイトへの再訪問やコンバージョンにつながっているのかを見てみるわけです。

例:最初に訪問したコンテンツ×再訪問した際のCVR
(弊社コーポレートサイトの解析例)

上の例では「セミナーなどの活動がより良いリテンションとCVRに寄与している」ということが分かりました。エンゲージメントが高いと、結果として購入、リピート訪問、リピート購入、いいね!などが増えます。

どのような要素・要因がターゲットユーザを魅了するかを分析し戦略プランにフィードバックするとCXの向上につながります。もし真剣にやるのであれば、定性的データを調査してもよいでしょう。

アプローチ4. 個々人の行動に焦点を当てる(Who:誰がCVしているか)

ユーザー個々人も分析しましょう。サイトのプラバシーポリシーへの配慮も必要ですが、「誰」がどう行動しているのかを分析することでユーザーの理解が深まります。

※通常個人情報保護の観点でGoogle Analyticsなどのツールでは、メールアドレスや名前によるトラッキングはポリシー違反です。

例:ユーザー・メールアドレス別でローイベント&リテンション分析
(弊社コーポレートサイトの解析例)

例えばECサイトなら、登録ユーザー単位の行動を確認することもできます。また、ユーザーをセグメントにまとめて傾向を見るのも有効でしょう。ユーザーの行動を参考にテレアポなども改善できるかもしれません。

どのお客さんがどのコンテンツを閲覧しているのかというデータは、CDPやウェブ解析のツールをカスタマイズすることで知ることができます。そのためにもしっかりとした解析基盤を構築しましょう。

アプローチ5. データ基盤に投資

ここまでのアプローチとは性格が異なりますが、データ基盤への投資もCV向上に役立ちます。というよりも、ここまでに紹介したアプローチはデータ基盤なしでは実現できません。

またCXを改善する上で、お客さんの声などの「定性的データ」も非常に重要です。定量的データ・定性的データの両方を活用してCXを向上させるプランを練りましょう。

例:VOC(Voice of Customer)データを解析ツール以外で取得する方法

  • 購入後のアンケート調査
  • 営業でのヒアリング
  • サイト内クイズやシュミレーションツール
  • サイト内サーベイ
  • チャットツールなどで得た会話・回答 ※下記イメージ参照

まとめ

この記事では、ウェブサイトのCXを向上させるための5つのアプローチをご紹介しました。アメリカでのマーケティング活動の一助となれば幸いです。

  • 実績を出しているCEOの半数以上が「CXの向上」を今後3年間のTOPプライオリティと認識している。
  • CXを向上させるための5つのアプローチ
    • CV以外の軸でもコンテンツを評価する(What:価値の高いコンテンツは何か)
    • セグメント別にユーザーを比較する(How:どのように行動しているか)
    • セグメント×イベントで分析する(Why:なぜCVしたか)
    • 個々人の行動に焦点を当てる(Who:誰がCVしているか)
    • データ基盤に投資

プリンシプルはアメリカにもオフィスを持っており、より現地のトレンドに沿った、充実したコンサルティングが可能です。CXの向上についても多数の事例を扱っていますので、米国でのデジタルマーケティングや広告でお困りの方はぜひPrincipleにお問い合わせください。

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Kris Irizawa

Logitechなどのシリコンバレー・スタートアップ企業で9年間マーケティング解析を経験。プリンシプルアメリカの解析ディレクターとしてLA在住。

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