米国マーケティングについて情報収集をしており、特にCTV広告について知りたいとお考えではないでしょうか。

CTVはコロナ禍において特に注目されているメディアおよび広告です。この記事では、海外でのWebマーケティングに携わるコンサルタントが、アメリカでいま成長しているCTV広告の背景や現状についてまとめます。

記事の内容

  • CTV(コネクテッドテレビ)とは
  • 米国におけるCTV利用者の傾向
  • CTV広告費も増加傾向
  • マーケターが把握すべきCTV広告の特徴

CTV(コネクテッドテレビ)とは

CTVはコネクテッドTVの略で、「FireTV、PlayStation、スマートTVなどのデバイスを通じて、テレビ画面でストリーミング視聴をすること」を指します。

CTVに似た概念として、OTTがあります。OTTとはOver The Topの略で、「インターネット経由でアプリやブラウザーを通してコンテンツをストリーミング視聴をすること」を指します。

CTVはOTTに含まれ、下図のように整理することができます。

これらOTT/CTVがいま、アメリカで非常に注目されています。

補足:TV視聴方法の傾向は日米間で異なる

日本では地上波の電波を受信してチャンネルを視聴することがほとんどかと思います。必ずしもすべての家庭がケーブルテレビと契約しているわけではありません。

一方で米国では事情が異なり、ケーブルTV(チャンネルプロバイダ)と契約してチャンネルを視聴することが一般的となっています。

米国におけるCTV利用者の傾向

アメリカではCTVの利用が増加しており、Netflix、Amazonプライム、Huluといったビデオオンデマンドサービスを利用している家庭は、アメリカの全世帯の4分の3以上(前年比+16%)というデータがあります。

そこには下記のような傾向が見られます。

  • コード・カッティング
  • 年齢の偏り
  • コロナ禍で利用者がさらに増加

コード・カッティング

近年アメリカでは、CTVとOTTの台頭により「コード・カッティング」と呼ばれる現象が発生しています。これはケーブルTVの契約(コード)をキャンセルすること(カッティング)を意味しています。

つまり、従来の視聴方法からCTVへ移行する消費者が増加しているというわけです。

年齢の偏り

また、テレビ視聴の傾向(視聴時間、視聴方法など)は、年齢によって大きく異なることが分かっています。

例えば、従来のテレビ放送の利用者は55歳以上に偏っています。


年齢層ごとのTVネットワーク視聴プラットフォームの構成

他にも、18~44歳の55%が毎日SVODサービスを利用しているのに対し、45歳以上では27%となっているなど、CTVは比較的若い層に人気があります。

コロナ禍でOTT/CTV利用者がさらに増加

コロナ禍でOTT/CTV利用者がさらに増加しています。

まず、感染拡大のタイミングでOTT/CTV視聴時間が大幅に増加しました。一日のCTV総合ストリーミング時間は、2.4億時間から3億時間へ、約1.25倍となっています。

また、OTTのストリーミング総世帯数は、4,400万世帯から5,000万世帯に増加 (約1.14倍)しました。今後もしばらくは、この増加傾向が続くことが予想されます。

参考:2020/21 COVID Impact on Advertising

CTV広告費も増加傾向

CTV利用者の増加に伴い、そこに投入される広告費も増加しています。

2019年の米国におけるCTV広告費は69.4億ドルと報告されており(テレビ広告費は700億ドル)、CTVの広告費は2023年末までに140億ドルに成長すると予想されています。

参考:2020/21 COVID Impact on Advertising

コロナ禍広告予算はデジタルにシフト

2020年、コロナ禍において、従来のメディア予算は大きく減少した中でも、デジタルへの広告費を増加させたマーケターが多くなっています。

データを見ると、平均的な2020年の総広告費はマイナス8%と予測され、デジタルのみが前年比+6%となっています。つまり、広告費全体で見ると、デジタルへとシフトしていると言えます。

広告予算がテレビからCTVへ流れ始めている

同様に、広告予算は従来のテレビ(Linear TV)からCTVへと流れ始めています。推定値(上図)では、2020年広告費の前年比率は、Linear TVで-24%、CTVでは+19%となっています。

他にも、デジタルビデオ +18%、デジタル表示器 +15%、ソーシャルメディア +25%、有料検索 +26%など、伝統的なメディアとデジタルメディアの広告費の間に顕著な差が見られます。これらは、伝統的なテレビからデジタルCTVへの予算シフトが継続していることを示しています。

参考:2020/21 COVID Impact on Advertising

マーケターが把握すべきCTV広告の特徴

最後に、CTV広告を運用するにあたり、マーケターが必ず抑えておくべきCTV広告の特徴に簡単に触れておきます。

OTT/CTVが優れている点

アメリカのマーケターがOTT/CTVへとシフトした理由は、下記グラフのとおりです。

上位4つは

  • 81% ターゲティングと効率の良さ
  • 55% ターゲット・リーチの増加
  • 27% クリエイティブを最適化する目的
  • 24% 費用対効果(CPM)

となっており、デジタル広告の「個人の嗜好・行動に合わせてターゲティングする」特性により、従来広告に比べて効率が上がることが伺えます。不特定多数にテレビCMを流すよりも、CTV視聴履歴などから的確なターゲットに広告を出したほうが効果が高いことは想像に難くありません。

CTV・OTT広告がカバー可能な顧客ステージ

OTT/CTV広告の主なターゲットは、商品の存在を知らない段階にある潜在顧客です。したがって、動画広告、SNS広告、ネイティブ広告などと似た使い方になります。

これらの基本的な特徴を抑えた上で、米国でのマーケティングにCTV広告の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ

この記事では、アメリカにおけるCTV普及の状況や、CTV広告費の現状などをご紹介しました。アメリカでのマーケティング活動の一助となれば幸いです。

プリンシプルはアメリカにもオフィスを持っており、より現地のトレンドに沿った、充実したコンサルティングが可能です。米国でのデジタルマーケティングや広告でお困りの方は、ぜひPrincipleにお問い合わせください。

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Kris Irizawa

Logitechなどのシリコンバレー・スタートアップ企業で9年間マーケティング解析を経験。プリンシプルアメリカの解析ディレクターとしてLA在住。

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