こんにちは。プリンシプルの木田です。
今、Web解析周りでは、Googleアナリティクス4プロパティ(以下GA4)について多くの議論がなされております。コンサル側からは、プリンシプルの解析コンサルタントである村松の記事「Googleアナリティクス4徹底解説 マーケターが押さえるべき知識と対応」はじめ、毎週と言っていいほど、各社からブログ記事が発表されています。
事業者側のマーケターの関心も高いようで、先日Webマーケティング系のオンラインイベントでGA4をテーマにお話した際には数百人もの聴衆の申し込みがありました。
本稿もGA4についてのものですが、現時点での細かな仕様についての説明は出尽くした感がありますので、より本質に近く、また、利用者が最も戸惑っていると思われるユーザーベースのレポートについて、
- ユーザーベースのレポートとは何か?(本稿)
- ユーザーベースのレポートをどう活用すればよいのか?(こちらの記事で解説)
について解説していきます。
2つのブログ記事で「GA4のユーザーベースレポートにマーケターはどう対応するべきか?」を解説するという建て付けですので、本稿読了後にはぜひ、こちらの記事もご参照ください。
記事の内容
- 標準レポートの変化から見えること
- 復習:セッションベースの特徴
- ユーザーベースの特徴
- ユーザーベースのレポートに対応するコツ:一意に決まる項目を考える
標準レポートの変化から見えること
GA4では、Universal Analyticsでマーケターが頻度高く利用していた、以下のレポートが標準レポート(ユーザー側で作成しなくても、予め表示されるレポート)からなくなりました。
- 「ランディングページ」
- 「新規顧客とリピーター」
- 「リピートの回数や間隔」
代わってGA4では、
- 「ユーザー獲得」
- 「維持率」
などが標準レポートに入っています。なくなったレポート群は「セッションベース」、新規に登場したレポート群は「ユーザーベース」ですので、GA4では、確実に「セッションベース」主体から「ユーザーベース」主体に転換していると言えるでしょう。
したがって、GA4の利用者はユーザーレポートを「解釈」し、「作成」できることを求められると思います。つまり、ユーザーレポートに対応する必要がでてきます。
この転換には戸惑うユーザーが多いと思いますので、まずは、従来のセッションベースのレポートの特徴をおさらいし、次に、ユーザーベースのレポートの特徴と対応方法を見ていきましょう。
復習:セッションベースの特徴
まずは、従来のUniversal Analyticsで主流であった「セッションベース」のレポートとはどのようなものかをおさらいします。
セッションとは何か?
セッションベースのレポートとは「セッションで一意に決まるディメンションや指標」を使ったレポートのことです。まずは、セッションは何か?について説明します。
私は、初心者の方に説明する場合には
- 串に刺さったお団子みたいなもの
- お団子はページビューで、串に1つ刺さっている場合も、10個刺さっている場合もある
と説明しています。
図にすると以下のとおりです。(緑が串の部分、青丸がページビュー)
セッションベースは解釈が容易
上図のセッションで一意に決まるディメンションと指標は以下のとおりです。
「直帰率」や「ページ/セッション」、「コンバージョン数(率)」といった指標を利用して、「参照元」、「メディア」、「ランディングページ」などからパフォーマンスを評価でき、解釈しやすいです。
※他にも、[デバイスカテゴリ]、[言語]、[地域]、[セッションの数](=何回目の訪問であったか、を示す整数)、[セッションの間隔](=前のセッションからの経過日数。初回訪問時は0日)なども一意に決まります。
ユーザーベースの特徴
セッションベースの指標では可視化できない
解釈が容易な「セッション」に対し、「ユーザー」は、
- 複数のチャネルを利用してサイトを訪問
- 直帰したり、しなかったり
- コンバージョンしたり、しなかったり
と、セッションベースが持っていた「一意に決まるディメンションや指標」が一意に決まりません。
このことは、例えば「あるユーザーがサイトを訪問した際に利用したチャネルは何だろう?」と考えてみるとすぐに分かります。初回訪問は「Organic Search」、二回目訪問は「Direct」、三回目訪問は「Social」ということがあり得ます。(この状態をユーザーのチャネルは一意には決まらない。と言います。)
ですので、セッションベースのディメンションや指標を使ったレポートでは「ユーザー」の振る舞いを可視化するのは無理です。
セッションベースでユーザーの行動を可視化できない例
以下はデモアカウント(Universal Analytics)の「チャネルレポート」です。
合計ユーザー数は51,957人と表示されていますが、赤枠を合計すると52,208人となり一致しません。これは、複数のチャネルを利用したユーザーがいるためです。
このレポートからでは利用したチャネルの重複が分かるわけでもなく、利用したチャネルの順番が分かる訳でもありません。1つのチャネルを利用しただけのユーザーが何人いて、複数のチャネルを利用したユーザーが何人いたのか、も示してくれません。
ユーザーベースのレポートに対応するコツ:一意に決まる項目を考える
ユーザーベースのレポート群に対応するコツは、ユーザー単位で一意に決まるディメンションや指標は何か?を考えることです。
例えば、以下のディメンションや指標は、ユーザー単位で一意に決まります。
ユーザー単位で決まるディメンション
ディメンションについては、「年齢」や「性別」といった明らかにユーザー固有の属性に関するディメンションの他には、「初回の●●」や「特定の振る舞いの有無」、「最も直近の●●」など、ユーザー単位で一意に決まるようにまとめられているのが分かります。
ユーザー単位で決まる指標
指標については、すべて「LTV●●」となっています。意味合いは「そのユーザーがサイトに対してもたらした、累積の●●」という意味です。
例えば、「LTVセッション」であれば、「これまで何回のセッションをもたらしたか?」ですし、「LTVサイト滞在時間」は、「これまでの通算のサイト滞在時間は何秒か?」を示します。
また、上図では示していませんが、「LTVサイト滞在時間」を、「LTVセッション」で割れば、「ユーザー単位での平均セッション時間」が取得できます。この値もユーザー単位で一意に決まる指標と言えます。
ユーザーベースのレポートの例:ユーザーに一意に決まる項目を利用
上記で提示した「ユーザー単位で一意に決まるディメンションや指標」を利用すると、例えば、以下のようなレポートが取得できます。
ユーザー単位で一意に決まるディメンション・指標を利用したレポート例
いかがでしょうか?Googleアナリティクスのレポートは、ディメンションと指標の組み合わせでできています。ユーザー単位で一意に決まるディメンションや指標に慣れさえすれば、上記のような「ユーザーベース」のレポートへの対応(解釈と作成)はそれほど難しいものではない。と言えるのではないでしょうか?
まとめ
本稿では、GA4の「ユーザーベース」のレポートに対応するための知識として、以下のことを解説しました。
- GA4では主体のレポートが「セッションベース」から「ユーザーベース」に転換した
- したがってGA4のユーザーは「ユーザーベース」のレポートへの対応(レポートの解釈や作成)を求められる
- 使い慣れた「セッションベース」のレポートは、セッションで一意に決まるディメンションや指標を利用したレポートであった
- 「ユーザーベース」のレポートは「ユーザー単位で一意に決まる」ディメンションや指標を利用したレポート考えると対応しやすい
では、マーケターは、「ユーザーベース」のレポートをどのように活用したら良いのでしょうか?そして、どのように、また、どのようなリターンを得ることができるのでしょうか?それらの点についてはこちらの記事で解説しています。ぜひご覧ください。
プリンシプルでは、GA4の導入支援をサービスとして提供しています。相談はもちろん無料で承っています。相談してみたいという方は、こちらのフォームからお気軽にお問い合わせください。(問い合わせ種別に「Googleアナリティクス関連」を選択してください。)
それでは次のブログ記事でお会いしましょう。