Firebase向けGoogle Analytics(以下、「Firebase Analytics」)のイベントによるデータ集計の特徴について、以前「Firebase AnalyticsとGoogle Analyticsの計測項目の違い」でご紹介させていただきました。
では、実際のレポートの見え方はどうでしょうか。
Google Analytics(以下、「GA」)を普段から使われている方にとっては、レポート構成自体は類似点があることから、あまり違和感なくデータを確認できるのではないかと思います。
しかし、セグメント作成等、従来と異なる点は存在します。
Firebase Analyticsでは、セグメント機能として「オーディエンス」機能が存在します。管理画面上は [Audiences] 、ヘルプ上はユーザーリストと表記されており、GAでのユーザーリストと同じもの、と考えていただいて問題ないと思います。
今回は、実際のレポートをご紹介しつつ、オーディエンス機能の作成方法や特徴についてご紹介いたします。
Firebaseのレポート構成
早速、Firebaseのレポートを見てみましょう。
このレポートは、Firebaseプロジェクトにアクセスし、対象プロジェクト > 分析 [Dashboard] から確認することができます。
Firebase Analyticsのレポートは、GAのマイレポート機能で作成したレポートに似ている構成となっており、以下のデータを確認することが可能です。
- アクティブユーザー数
- リアルタイムユーザー数
- コンバージョンに指定したイベントの発生頻度
- ユーザーエンゲージメントの発生状況(screen_viewイベントのScreen Class値を基に算出)
- アプリでの収益額
- アプリの安定性(アプリ利用中にクラッシュに遭遇していないユーザーの割合)
- 最新バージョンリリース後の導入状況
- 新規ユーザーの獲得状況(参照元別CV)
- ユーザー維持率
- ユーザーの詳細データ(地域・デバイス・ユーザー属性・インタレストカテゴリ)
- プラットフォームの内訳(iOS・Androidのユーザーの割合)
Dashboardの他、似たような形式で以下レポートも存在します。
- Events(各イベント別レポート)
- Conversions(各コンバージョン別レポート)
- Retention(ユーザーの維持率レポート)
- Stream View(地域別のリアルタイムレポート)
- Debug View(開発向けイベントログ)
上記のレポートを用いて、サマリーデータを閲覧することができます。
レポートの短所として挙げられるのは、Firebaseはカスタムレポートを作ることができません。ただし、Firebaseプロジェクトの管理画面からGAとリンクすることで、レポート範囲を少し拡張することが可能です。
- ユーザー
- ユーザー属性
- 行動
- テクノロジー
- クロス プラットフォーム
- ウェブ
- アプリ
- コンバージョン
- すべてのイベント
リンクすることで定型レポートの幅は拡張しますが、より自由度の高いレポートを作成する際には、「Firebase AnalyticsとGoogle Analyticsの計測項目の違い」でもご紹介した、BigQueryとリンクしTableauやデータポータル等でレポートを作成していただく、等のプロセスが必要です。
Firebaseのオーディエンス機能について
前項でご紹介したFirebaseのレポートには、フィルタリングおよびセグメント機能を適用することが可能です。
レポート上部の [フィルタを追加] にアクセスすると、標準で備わっているフィルタ機能とカスタム設定のオーディエンスやユーザープロパティ(ユーザーの年齢、性別等でのセグメントデータ)をレポートに適用することができます。
ここで利用できる [オーディエンス] は、 [Audiences] メニューから設定します。
オーディエンスでは、GAのカスタムセグメントのような設定が可能です。
標準で以下2種類のオーディエンスが備わっています。
- All Users(全てのユーザー)
- Purchasers(購入者)
作成時は、GAの目標設定と同様、一から作成するカスタム設定と、非購入者やユーザー属性ですぐに作成できるテンプレートがあります。
カスタムで作成する際、条件指定できる具体例としては、
- OSのバージョン情報
- 年齢
- 性別
- イベントの発生回数
等があります。
これらのデータを用いて、指定したイベントや属性情報等を持つユーザーをセグメントする他、最大10ステップのシーケンス機能を用いて指定した行動順序を行ったユーザーをセグメントすることができます。
基本的な操作方法はGAのカスタムセグメントと同様ですが、独自で実装したカスタムイベントを条件にする場合、躓きやすいポイントがあります。
イベントタブを選択した時、表示するのは標準イベントのみでカスタムイベントが選択できません。カスタムイベントを指定する場合は、検索欄に直接入力することで、サジェストされます。
サジェストを選択後、イベントに紐づくパラメータも同様です。
この際、実際に存在しないイベントおよびパラメータでも条件指定ができてしまうので、指定する際には [Events] からコピー&ペーストを利用するのが安全です。
Firebaseでオーディエンスを作成するメリットと注意点
メリット
オーディエンス機能を利用するメリットは、レポートで利用できる他、以下の機能でも利用することができます。
- Google広告のキャンペーン
- Notificationsの配信対象ユーザー
- Remote Configのターゲット設定
例えば、ある特定のイベントに関するデータだけ閲覧したい場合は [Events] レポートで事足りますが、そのイベントデータを広告のターゲットとして利用したい場合等にはオーディエンスを作成する必要があります。
注意点
ただし、このオーディエンス機能を積極的に利用していく場合は、以下について注意してください。
- プロジェクトあたり最大100個まで
- 年齢や性別、インタレストデータを含む場合は、一部のターゲティング機能で利用不可
- オーディエンス作成後、ユーザーが追加されるまで24~48時間程度かかる場合がある
まとめ
いかがでしたでしょうか。
Firebase Analyticsデータを積極的に利用する際、オーディエンス機能は他機能・プロダクトへのハブの役割を担ってくれます。ぜひ活用し、KGI・KPI達成に繋げていただければと思います。
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