GA4探索レポートには複数のテンプレートが用意されています。しかし、GA4導入当初はいろいろ触ってみたけれど、だんだんと自由形式や決まったものしか使わなくなっている……そんな方も少なくないのではないでしょうか。

確かに日常使いするものばかりではないかもしれませんが、「コホート分析」レポートはぜひ定期的に利用していただきたいテンプレートの1つです。

「なんとなく立派そうなレポートは表示される。けれど、見ると”そうだよな……”と納得して、そこからアクションには繋げにくい」とお思いの方に、コホート分析で何がわかるのか、どんな使い方をすればいいのか、切り口や視点の置き方の例を4つご紹介します。

ケース1:作成したLPがリピーターを獲得しているか知りたい

コホート分析レポートで「リピート訪問者獲得の状況」を見ることができます。

日夜LPを新規作成し、自然検索流入を増やしているサイトは多くあります。その中で「こういうジャンルの記事は集客につながりやすい」というノウハウも蓄積されているでしょう。では、そのLPで貴社サイトに初訪問したユーザーは、その後も継続して訪問してくれているのでしょうか。

方法:初回訪問時のランディングページを指定したセグメントを作成する

初回訪問時のランディングページを指定したセグメントを作成し、調べてみましょう。

下記はセグメント作成例です。

ページパスは特定のページURLのほか、「/blog/」などディレクトリ単位で前方一致とすることもできます。また、複数チャネルから集客している場合は、ディメンションに「ユーザーの最初のメディア」などを追加すると、ランディングページ×メディア別で分析できます。

試しにGoogle Merch ShopのGA4デモアカウントで作成してみました。(以降の画面キャプチャはすべて同アカウントによるものです)

2月に多くのユーザーを集めたランディングページですが、自然検索流入もリファラル流入も、その後も継続的に訪問してくれるユーザーとはならなかったようです……無念。

ケース2:期間限定セールで獲得した新規ユーザーのその後を追いたい

コホート分析レポートで「初回購入ユーザーのその後の購買状況」を見ることができます。

期末やクリスマス商戦期など、期間限定でセールを実施する企業は多いと思います。初回購入時は低単価の購入でも、自社商品を知ってもらいリピート購入してくれていれば将来的には大きなプラスになるかもしれませんね。こういった中長期の検証はLTVをみるほか、コホート分析でも行えます。

方法:条件は「トランザクション」、値は「購入による収益」を設定する

条件設定をデフォルトの状態から3点変更します。

  • コホートへの登録条件:すべてのトランザクション
  • リピートの条件:すべてのトランザクション
  • 値:購入による収益

期間は2023年12月1日から開始としています。

表の一行目、「12月1日~」の行をご覧ください。ここをみると、2023年12月のクリスマスシーズン月にはじめて購入したユーザーが、翌月以降も購入しているか否かがわかります。上の図をみると、3か月後(2024年3月)まではリピート購入したユーザーがいたようです。しかし4か月目以降は現状なし。

「計算」の設定を「累計」に変更すると、0月目+1月目+2月目……と、2023年12月初回購入ユーザーが、その後合計いくら購入しているかが確認できます。

さらに一番下の設定項目「指標のタイプ」を「コホートユーザーあたり」に変更すると、LTVが月を追うごとに伸びているかがわかります。

初回購入月である12月時点では、1ユーザーあたり平均$132だった収益ですが、リピート購入があったことで1ユーザーあたり$140まで伸びました。

ケース3:休眠顧客の掘り起こしができたか確認したい

冬のセール時期に初回訪問してくれたユーザーは次のセール時期、夏に再訪してくれているだろうか。会員登録からしばらく経ったユーザーにDMを配信したが、久しぶりのサイト再訪につながっただろうか。

そんな「休眠顧客の掘り起こし検証」もコホート分析で可能です。

方法:レポート期間の終わりを掘り起こし施策の実施後とする

単純なやり方としては、レポートの設定期間の始まりを初回訪問時期とし、終わりを掘り起こし施策の実施後とすることです。

▼例:初回訪問から1か月(4週間)経過したユーザーにDMやLINEなどでお得な情報を配信する

施策が成功していれば、このレポートで言うと4週目のアクティブユーザー数が、前週より増加しています。(ただしDM等施策以外の要素での流入も含まれるため、その点ご留意ください)

ケース4:初回訪問から何日後にコンバージョンが発生しているか知りたい

コホート分析レポートで「初回訪問からコンバージョンまでの期間」を確認することができます。

検討期間が長い商材を取り合っている場合、何度かサイト訪問を繰り返したのちにコンバージョンするユーザーも少なくありません。では初回訪問から何日後が多いのか、何日後まで発生するものなのか調べてみましょう。

方法:値をキーイベントやトランザクションにする

「初回訪問からコンバージョンまでの期間」を見るためには、以下のように設定します。

  • コホートの登録条件:初回接触(デフォルトのまま)
  • リピートの条件:すべてのトランザクション(その他キーイベントや特定イベントなどに変更も可)
  • コホートの粒度:毎日
  • 値:アクティブユーザー
  • 指標のタイプ:コホートユーザーあたり

一番上の行に、「新規獲得したユーザーのうち、何日目に何%のユーザーがトランザクションを発生させたか」の合計が表示されます。

このサイトの場合、初回訪問当日のコンバージョン(キーイベント)発生が大多数。でも翌日(1日目)から7日目も、初回訪問日の1/3程度の数ですがしっかりコンバージョンが発生していました。

まとめ

この記事では、コホート分析で何がわかるのか、どんな使い方をすればいいのか、切り口や視点の置き方の例を4つご紹介しました。

このようにコホート分析レポートは、単純にユーザーの維持率(再訪問)を見るだけでなく、施策の効果や、LTV増加の推移を検証することができます。時間の経過によりどの程度変化が起きるのか、セグメント・コホート登録条件・値のアレンジ次第でさまざまな分析を試してみてください。

みなさまのサイトでどんな分析が必要かつ可能なのか、相談したい方はぜひお問い合わせください。

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西田明子

立命館大学卒。データ解析コンサルタント。事業会社にて広告・SEO・分析・UI改善と幅広く経験。

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