ユニバーサル・アナリティクス(UA)では、標準レポートに表示されるまでの期間は、公式ヘルプには「最大48時間」と記載されています。実際には、数分のタイムラグで標準レポートに表示されることがほとんどでした(サイト規模によっては、もっと時間がかかるケースもありました)。一方でGA4では、当日分の標準レポートの反映までに、少なくともUA以上のタイムラグがあることが分かっています。
本記事では、GA4のAnalytics Data APIを用いて、GA4のレポートにどのくらいのタイムラグで反映されるのか、調べたものをまとめます。
補足:GA4のレポートの種類
GA4のレポートには、大きく分けると、「標準レポート」と「探索レポート」の2つが存在します。「探索レポート」は、データ保持期限の影響を受けるため、無償版プロパティでは最大14ヶ月のデータのみが閲覧可能となっています。一方で「標準レポート」は、事前集計済みのレポートを利用しており、データ保持期限の影響を受けません。
また、探索レポートは、当日を含む期間のレポート出力はUI上行うことができない一方で、標準レポートでは当日を含む期間のレポート出力も指定可能となっているなどの違いがあります。
以降は、当日のデータがいつ生成されるのか?が主題となるので、UI上指定できない探索レポートではなく、標準レポートで考えていきます。
調査の概要
「Analytics Data API」を利用
標準レポートにいつ計測データが反映されるか?をきちんと調査しようとすると、膨大な手間がかかってしまいます。そこで今回は、標準レポートとほぼ同等のデータを得ることができる「Analytics Data API」を利用して調査しています。Analytics Data APIは、プログラムを使ってGA4からレポートデータを取得する方法で、外部のBIツールがGA4のレポートデータにアクセスする際にも使われるものです。
タイムラグの検証方法
今回の調査では、Analytics Data APIを使って、「イベント名」「年月日+時間」「イベント数」の3つのデータを1時間おきに取得し、BigQueryに蓄積しました。
これにより、例えば「2022年12月27日 15:00のサイト訪問データが初めてAnalytics Data APIで取得できたのは何日の何時なのか」という問いに答えることができます。この時刻の差を使うことで、レポート反映までのタイムラグを求めることが可能です。
今回の記事では、有償版・無償版を含む計3つのGA4プロパティに対し、約3ヶ月(2022年12月13日〜2023年3月12日)の調査を行った結果をもとに執筆しています。
調査結果
今回の調査結果をLooker Studioで可視化すると以下のようになります。
横軸:レポートが生成されるまでのタイムラグ
縦軸:そのタイムラグでレポート生成できた件数
このグラフから筆者が読み取ったのは以下の3点です。
- レポート生成までに24時間以上かかるケースも僅かながら存在する(今回の調査で10件のみ)が、24時間以内に終わるものがほとんどである。
- 有償版プロパティでは、1時間以内にレポート生成されるケースが多く、無償版プロパティでは2〜4時間でレポート生成されるケースが多い。
- 全体で見ると、半日(12時間)経過した時点でレポートが生成されている確率は80%ほど。
この結果はAnalytics Data APIによる調査ですが、標準レポートでもほぼ同じ傾向となっていました。
当初私が予想していたよりも、レポートへの反映タイミングは早い印象があります。ただし、その一方で、半日経過しても反映されていないことが20%近くあることを考えると、当日中のデータを標準レポートで確認することは現実的ではないと思った方が良いでしょう。
また、夜間のアクセスが多いサイトでは、翌朝にレポートを見ても反映されていないデータが存在する可能性があることを念頭に入れておく必要がありそうです。
まとめ
今までのユニバーサル・アナリティクスであれば、多くのケースで数分で反映されていたものが、GA4では数時間のタイムラグが発生することが分かりました。
もっと早いタイミングでデータを確認するためには、
- リアルタイムレポートで見れる範囲であれば、リアルタイムレポートで確認する。
- BigQueryの当日テーブルを利用する。
のどちらかを行う必要があり、レポートの仕様を理解したうえで、やりたいことに合った適切な手段を採用していくようにしましょう。