2022年3月16日、Google公式からGA4への移行アナウンスが発表されました。以前より移行を進めている企業も見られますが、大多数の企業は準備を開始した段階だと思います。
GA4への移行時に注意しなければならないポイントはいくつかあります。今回は、筆者が非常に苦戦したIPアドレス除外の設定方法についてご紹介したいと思います。
GA4にはビューフィルタがない!
Universal Analytics(以下、「UA」)では、社内のIPアドレスからのアクセスを除外する場合、対象のビューのビューフィルタで除外設定を行うことができます。
一方でGA4では、ビューという概念はなくなりましたが、プロパティに対してIPアドレスの除外フィルタを作成することが可能となりました。
IPアドレス除外フィルタの作成方法
プロパティの管理メニューを開き、 [データストリーム] > 対象のデータストリームを選択 > [タグ付けの詳細設定] > [内部トラフィックの定義] より設定
UAのビューフィルタでは、IPアドレス除外以外にも、「特定のリクエストURIだけをビューに含める」等の設定も行うことができたので、1つのビューに多くのビューフィルタが紐づくケースがみられました。
GA4の内部トラフィックの定義は、名前から推測できる通り、IPアドレスの除外のみが設定できるため、下記の制限が設定されています。
- トラフィックルール:10個まで
- 1ルール内の条件:10個まで
除外条件の一致タイプは、以下から選択することができます。
- IPアドレスが次と等しい
- IPアドレスが次から始まる
- IPアドレスが次で終わる
- IPアドレスに含む
- IPアドレスが範囲内(CIDR表記)
一致タイプの中から、UAでは使用できていた正規表現がなくなっています。
中小企業で多くのIPアドレスを所有しているケースは少ないですが、「契約している代理店が所有する大量のIPアドレスを除外設定しなければならない」という場合、前方一致や後方一致ではカバーするのが非常に難しくなっております。そのため、UAでは正規表現を使って数十のIPアドレスを除外設定していた場合、CIDR表記での条件設定を行う必要があります。
CIDR表記でIPアドレス除外を設定するには
CIDRとは「Classless Inter-Domain Routing」の略で、IPアドレスの末尾にスラッシュ「/」とサブネットマスクを指定することで、IPアドレスを任意の範囲で区切ることができる記述方法です。
例えば、「10.0.0.0」~「10.255.255.255」に含まれるIPアドレスをGA4では全て除外したいと考えた場合、IPアドレスは16,777,216個あり、1つ1つのIPアドレスを指定して除外するのは現実的ではありません。
CIDR表記をする場合、以下の1行で解決します。
10.0.0.0/8
上記以外に、2つ例を挙げます。
例1. 「10.0.0.0」と「10.0.0.1」の2種のみを指定する場合
- CIDR表記:10.0.0.0/31
- IPアドレス数:2
例2. 「10.0.0.0」~「10.0.0.255」を指定する場合
- CIDR表記:10.0.0.0/24
- IPアドレス数:256
サブネットマスクは1〜32があり、1に近づくほど範囲が拡がります。挙げた3つの例だと、「/8」が最も広範囲に指定されていることが分かります。
多くの場合、IPアドレスは部分的に利用していると思うので、実際のところ、「/8」を指定することはあまりみられません。設定する際は以下のようなツールでCIDR表記の指定をチェックすると良いでしょう。
» ネットワーク計算ツール・CIDR計算ツール | Softel labs
以上のことから、CIDR表記をすることでIPアドレス除外設定の柔軟性は飛躍します。
もし除外対象のIPアドレスが数個しかないのであれば、前方一致や含む等の方が簡単に設定できると思います。しかし、CIDR表記にすることで、不用意に設定枠を消費しなくてよくなり、また設定内容が整理されるため、GA4では積極的に使って良い機能だとも思います。
ルールを作成したら有効化を忘れずに
UAのビューフィルタとは違って、GA4では [内部トラフィックの定義] の設定を完了させた後、 [データ設定] > [データフィルタ] から対象のフィルタを有効化する設定を行う必要があります。UAよりも親切な設計になったとも言えますが、「GA4では有効化の必要がある」ということを忘れないように注意してください。
そもそもIPアドレス除外をするべきか
ここまでIPアドレス除外の設定方法をご紹介してまいりましたが、「そもそも自分たちのWebサイトではIPアドレス除外をするべきかどうか」は別途検討する必要があります。
例えばBtoCのWebサイトの場合、Webサイト構築やタグまわり等の設定で頻繁にアクセスする社員もいれば、個人的に利用したくてアクセスする社員もいます。そもそも、ほとんどの社員がアクセスしないことも考えられます。また、新型コロナウイルス(Covid-19)の影響でリモートワークも増えているので、そもそもIPアドレス除外を行っても効果が得られない可能性もあります。
これらを考慮すると、GA4では「データが混在することも踏まえて計測する」というのも一つの手段だと思います。
まとめ
今回はIPアドレス除外に焦点を当てましたが、GA4にはUAとは仕様が異なる点が多くみられます。情報もあまり出回っておらず、独学では非常に困難なケースもみられると思うので、まずは専門家に相談してみるのも良いのではないでしょうか。