Webのコンサルティング業務を行う中で、「他社様がどのようにGA4を活用しているのか」、また「他社様の数値と比較して自社はどうか」という質問をよくいただきます。
そこで今回、弊社に閲覧権限のあるGA4のプロパティのうちBtoCサイトから無作為に30社選び、それぞれを比較分析調査しました。
※本記事で紹介する平均値等は、上記30社のデータに基づくものです。世間一般の平均値を代表しているわけではないため、参考情報としてご覧ください。また、各数値はブログ執筆時点の直近1~3ヶ月程度のデータを元にしており、時期により変動する可能性があります。
さらに、業界、サイトの状況、取り扱う商品・サービスなどによっても数値は大きく変わるため、あくまでも傾向の一例としてご活用いただけますと幸いです。
BtoCサイト30社 7つの指標の平均値
1. 新規ユーザーの割合:83.0%
ユーザー獲得レポートで「ユーザー全体のうち新規ユーザーの割合」を確認したところ、83.0%が新規ユーザーとして集計されていました。サイトによって割合は異なりますが、実際には既存ユーザーであっても新規ユーザーとしてカウントされているケースが多い可能性があります。
2. デバイスカテゴリ スマホの割合:74.6%
ユーザー環境の詳細レポートで「デバイスカテゴリのスマホの割合」を確認したところ、74.6%(≒4人に3人)がスマホユーザーという結果になりました。
3. ユーザーデータ Unknownの割合:85.6%
ユーザー属性の詳細レポートでは、年齢や性別データの大部分がUnknownとなっていることが多く、平均すると85.6%がUnknownデータとなっていました。(100% Unknownのプロパティを除いた平均値です。)
本調査で確認した中で、一番割合が小さいプロパティ(GA4デモアカウント)でも71.4%であり、データの大部分がUnknownであることが分かります。
4. 流入チャネル Directの割合:19.1%
トラフィック獲得レポートにおいて、「セッションのデフォルトチャネルグループがDirectであったセッション」は19.1%でした。
リピートユーザーが多いサイトはDirectの割合が高くなる傾向がありますが、想定以上に多い場合は、各外部施策のUTMパラメータが適切に設定されているか再確認することをおすすめします。
5. 購入経路レポート(アパレル業界のみ)の各数値
30社の中からアパレル業界のみに絞り、購入経路レポートで「セッション開始から購入完了までのユーザーの遷移状況」を確認しました。
- セッション開始→商品を表示:48.9%
- 商品を表示→カートに追加:9.0%
- カートに追加→決済手続きの開始:46.2%
- 決済手続きの開始→購入:54.6%
最大のボトルネックは「商品を表示→カートに追加」であり、商品詳細ページの内容や導線の見直しが有効と考えられます。また、「決済手続きの開始→購入」の段階でも半数近くのユーザーが離脱しているため、購入フォームやフローの改善を検討することも効果的な場合が多いでしょう。
6. 標準レポートのカスタマイズ状況
標準レポートをカスタマイズしているプロパティは30社中8社でした。
デフォルトのまま利用している企業が多い一方で、自社に合わせて大幅にカスタマイズしている企業も見られました。
ーシンプルなカスタマイズ例
- 指標の順番を入れ替える
- レポートに指標を追加する
- レポートの名称を変更する
ー施策に合わせたカスタマイズ例
- 複数ブランドを保有するサイトで、ブランドごとのユーザー数・収益額・表示回数などを簡単に把握できるレポート
- Email経由で購入された商品を一覧化し、どのメールがどれだけ売上に貢献しているかを確認できるレポート
- 実店舗に掲載されたQRコード経由の会員登録数を確認できるレポート
よく見るレポートや追加指標をカスタマイズすることで、より効率的にデータを確認できます。ただし、設定を変更するとアカウント全体に影響が及ぶため、慎重に行う必要があります。
7. 平均取得イベント種数:33.1個
多くの企業が追加でイベントを設定しており、中には80種類以上のイベントを設定している企業もありました。
自社サイトの状況に合わせて追加のイベントを設定することで、より細かい分析が可能になります。必要に応じて設定を見直すことをおすすめします。
まとめ
今回は30社のGA4データを分析し、各指標の平均や傾向を紹介しました。
改めて見比べてみると、各社の活用度合いやデータの特徴には大きな差が見られました。例えば、標準レポートのまま利用しているプロパティもあれば、独自にカスタマイズしたり追加で多くのイベントを取得したりしてより深い分析を行っているプロパティもありました。
適切な設定と分析の工夫によって、GA4はサイト運営の強力な武器になり得ます。本記事で紹介したデータを参考にしながら、自社に合った活用方法を模索し、より効果的なデジタル戦略を構築していきましょう。