電話コンバージョンの計測は、その方法によっては精度が低くなってしまいます。精度の低いデータは役に立たないだけでなく、誤った戦略にも繋がります。
以前、弊社ブログ記事「電話コンバージョン(コールトラッキング)の質を計測し意思決定を補助するレポート」では「誤タップを検出する方法」を紹介しました。
ここでは改めて、電話コンバージョン計測の意義をおさらいするとともに、営業時間外や特定のユーザーからの架電など、無効な架電をフィルタリングする方法を紹介します。
電話問い合わせがKPIとなる事業とは
修理や見積りなどのヒアリングが必要となる事業のウェブサイトでは、ユーザーに電話をしてもらうことが重要な指標(KPI)となりえます。
なぜならば、このようなサイトに訪問する人は「とにかくすぐに対応してほしい」「詳しいことは口頭で話を進めたい」と考え、トップページに流入してすぐに問い合わせてくることが多いように見受けられるからです。
例1:パソコンの修理をしたいユーザー
「パソコンのトラブルは難しそう」
「パソコンが壊れていてスマホでアクセスしている」
→「修理までの段取りを口頭で指示してほしい」
例2:パンフレットを作ってほしいユーザー
「イベントに合ったパンフレットが急ぎで欲しい」
→「やりたいことをヒアリングして、見積りを出してほしい」
この電話問い合わせをKPIとすることで、以下を適切に実施できます。
- 電話応対する人員のリソース管理
- 電話番号リンク・その他コンテンツの配置
- 集客施策の成果の評価
コールトラッキングがあてにならない理由と課題
電話問い合わせを測定する「コールトラッキング」の手法としては、有料ツールを使う方法と、電話番号リンクをタップした回数をJavaScriptでカウントする方法があります。
JavaScriptによるカウントは自前(無料)で実装できるというメリットがありますが、その反面、精度が低くて妥当ではない架電まで大量にカウントされてしまいます。ゆえに例えば広告管理画面ではコンバージョンの成果がでているのに、ビジネス上は成果がでていないといった状況が起きます。
そして、この精度が低いという問題には2つの課題があります。
- 誤タップの検出
- 無効な架電のフィルタリング
「誤タップの検出」を実現する方法
弊社ブログ記事「電話コンバージョン(コールトラッキング)の質を計測し意思決定を補助するレポート」をご覧ください。
「無効な架電のフィルタリング」を実現する方法
以下では、コールトラッキングの精度を高める「無効な架電のフィルタリング」の考え方と実装の方法を解説します。
フィルタリングの条件設定
営業上、意味のある通話は以下の条件でしか成り立たないとします。
フィルタ条件
- 電話の受付時間内
- 通話ができるデバイスからの電話
- 国内からのアクセス
電話番号がタップされたという条件のみでコンバージョンを測定してしまうと、オペレーターにつながらない架電など無効なタップでもカウントしてしまいます。これらは成果としたくないところです。
フィルタリングの実装方法
電話タップがされたときに条件をチェックし、有効であればイベントの測定処理をするようにします。今回は、Googleタグマネージャーを用い、フィルタ条件「電話の受付時間内」でのみ電話コンバージョンが測定されるようにします。
手順は以下のとおりです。
- カスタムJavaScript変数を2つ追加
- 営業時間内のみ起動するトリガーを作成
手順1. 2つのカスタムJavaScript変数を追加
①曜日を出力する変数の作成
曜日を「0~6」で数値化するスクリプトを記述します。
実際の曜日 | 出力される数値 |
---|---|
日曜 | 0 |
月曜 | 1 |
… | … |
土曜 | 6 |
②時刻を出力する変数の作成
時刻を分の数で変換するスクリプトを記述します。
実際の時刻 | 出力される数値 |
---|---|
0:00 am | 0 |
9:45 am | 9 × 60 + 45 = 585 (分) |
手順2. 営業時間内のみ起動するトリガーを作成
「曜日」と「分数」を返す変数を作ったら、その変数をトリガー条件で設定します。
キャプチャでは条件として、
- 「曜日」が 「1~5」=「月曜~金曜」
- 「分数」が「540~1080」=「9時~18時」
の両方が真となる場合だけ起動するように指定しています。
これで営業時間外の架電イベントを無視して計測するためのトリガーができました。最後にこのトリガーをアナリティクスタグに紐づければ、有効な電話タップイベントのみコールトラッキングが起動します。
おわりに
この記事では、「無効な架電のフィルタリング」をすることで、自前でコールトラッキングを実装する場合でも精度を高められることを見てきました。本記事のサンプルの時間帯のほかにも、位置情報や「誤タップの検出」の処理結果などをトリガー条件に利用しても良いかもしれませんね。
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