リードタイム分析は、顧客獲得・育成施策の改善に不可欠なデータ分析手法です。本記事では、GA4とBigQueryを活用したリードタイム分析の方法を解説します。リードタイム分析をすることで顧客行動を詳細に把握でき、成果に繋がる施策を具体的に立案できるようになります。
GA4でのデータ分析に課題を感じている方、BigQueryの活用方法を知りたい方、リードタイム分析で成果を上げたい方は必見です!
リードタイム分析とは? なぜ重要なの?
リードタイムの定義
リードタイムとは、「顧客が最初に商品やサービスに接触してから、コンバージョン(CV)に至るまでの期間」のことです。この期間を分析することで、顧客の行動パターンや心理を理解し、マーケティング戦略を最適化することができます。
リードタイム分析の重要性
リードタイム分析は以下のような観点において重要です。
- 顧客獲得効率の向上:リードタイムを短縮することで、より多くの顧客を獲得できます
- マーケティングROIの改善:リードタイム分析に基づいた施策により、広告費などのコストを最適化できます
- 顧客満足度向上:顧客体験を向上させることで、顧客満足度を高めることができます
マーケティング課題解決におけるリードタイム分析の役割
リードタイム分析は、さまざまなマーケティング課題の解決に貢献します。
- CVR改善:リードタイムが長い場合、顧客のモチベーションが低下している可能性があります。リードタイムを短縮することで、CVR向上に繋がります。
- 顧客獲得コスト削減:リードタイム分析に基づき、効果的なチャネルに注力することで、顧客獲得コストを削減できます。
- 顧客体験の向上:リードタイム全体を最適化することで、顧客体験を向上させることができます。
GA4とBigQueryを活用したリードタイム分析の方法
GA4で必要なイベント設定
GA4の管理画面上ではリードタイムを直接算出する機能はありません。そのため、まずはGA4データをBigQueryにエクスポートする必要があります。
GA4プロパティとBigQueryの連携方法については、以下の記事をご覧ください。
【2024年最新】GA4とBigQueryの連携方法から活用方法までプロフェッショナルが完全解説 | 株式会社プリンシプル
CVまでのリードタイム分析をするにあたり、WebサイトのCVをGA4できちんと取得する必要があります。たとえば、ECサイトでの購入完了なら「purchase」、リード獲得サイトでの問合せ完了なら「generate_read」です。
Google公式が推奨しているイベント名での実装がオススメです。
参考:[GA4] 推奨イベント – アナリティクス ヘルプ
リードタイムの算出:BigQueryでのSQLクエリ例(初回接触~CVまでの期間算出)
GA4で計測したCVのデータをBigQueryにエクスポートできたら、ユーザーのサイト初回接触日時とCV日時の差分を計算することでリードタイムを算出します。
以下は「初回接触からCVまでの期間」を算出するクエリの例です。
※今回はGoogleが提供しているサンプルデータを用いています。
WITH first_visit_date AS ( --ユーザーの初回訪問日を抽出するテーブル
SELECT
DISTINCT
user_pseudo_id
,MIN(DATE_TRUNC(DATE(timestamp_micros(event_timestamp), 'Asia/Tokyo'), DAY)) AS first_visit_day
FROM
`bigquery-public-data.ga4_obfuscated_sample_ecommerce.events_*`
WHERE
event_name = 'first_visit'
GROUP BY
user_pseudo_id
),
cv_date AS ( --ユーザーのCV日を抽出するテーブル
SELECT
DISTINCT
user_pseudo_id
,MIN(DATE_TRUNC(DATE(timestamp_micros(event_timestamp), 'Asia/Tokyo'), DAY)) AS cv_day
FROM
`bigquery-public-data.ga4_obfuscated_sample_ecommerce.events_*`
WHERE
event_name = 'purchase'
GROUP BY
user_pseudo_id
),
prep AS ( --初回訪問日とCV日の差分を計算
SELECT
f.user_pseudo_id
,DATE_DIFF(c.cv_day,f.first_visit_day,DAY) AS lead_time_days
FROM
first_visit_date AS f
JOIN
cv_date AS c USING(user_pseudo_id)
)
SELECT --リードタイムごとのユーザー数を計算
lead_time_days
,count(user_pseudo_id) AS users
FROM
prep
GROUP BY
lead_time_days
皆さんのサイトで行う場合には、以下の修正が必要になります。
- 7,19行目:プロジェクト、データセット名を該当のものに修正する
- 21行目:分析対象のCVイベント名にする
リードタイムの可視化・分析:Looker Studioを利用した例
以下はBigQueryから抽出したデータをLooker Studioで可視化した例です。
- 使ったグラフ:縦棒グラフ
- ディメンション:lead_time_days
- 指標:users
- 並べ替え:lead_time_daysの昇順
リードタイムが0のユーザー、つまり初回訪問と同日にCVしたユーザー数がもっとも多いことが分かります。一方で3日、5日と数日経ってからCVするユーザーも一定数存在することがわかるかと思います。
このデータを使って、「ユーザーの初回接触チャネル別」等の切り口でさらに深堀りしても良いかもしれません。
リードタイム分析から得られるインサイトを活かした施策
最後にリードタイム分析の結果を活かした施策の一例をご紹介します。
コンテンツ改善
リードタイムが長い場合、コンテンツの分かりづらさや情報不足が原因として考えられます。顧客の疑問を解消するコンテンツを追加したり、導線を改善することで、リードタイムの短縮に繋がります。
広告配信最適化
特定のチャネルからのリードタイムが長い場合、広告ターゲティングやクリエイティブの見直しが必要です。適切な顧客に適切なタイミングで広告を表示することで、リードタイムの短縮に繋がります。
ナーチャリング施策
リードタイムが長い顧客に対しては、メールマガジンやLINEなどで継続的な情報提供を行うことで、顧客エンゲージメントを高めることができます。
まとめ
今回は、GA4とBigQueryを活用したリードタイム分析について解説しました。
リードタイム分析は、顧客理解を深め、マーケティング戦略を最適化する上で非常に有効な手段です。この記事でご紹介した方法を参考に、ぜひご自身のビジネスでもリードタイム分析に取り組んでみてください。データに基づいた意思決定で、より確実な成果を目指しましょう。