googleが4/23に一部アカウントでベータ版機能公開を行った、「検索アナリティクス」という機能について紹介します。
これまで、WMTで確認できる自然検索キーワードは、「検索クエリ」というレポートにまとめられていました。
検索クエリレポートではgoogle検索において対象のドメイン(またはサブドメイン・サブディレクトリ)がどのようなキーワードで表示され、クリックされたかを知ることができます。
SEOを手掛ける上で、どのようなキーワードで表示されクリックされたかを把握することはとても重要ですし、そのデータを「googleでの実績値」に基づいて把握することができるのはWMTだけですから、活用は不可欠といえます。
このレポートでは具体的には、
- ・検索クエリ別
- ・表示ページ(URL)別
の単位で、「表示回数」「クリック数」「CTR」「平均掲載順位」を見ることができます。
なお、このレポートでは「検索の種類」についてもフィルタで絞り込むことができるのですが、この「検索の種類」が曲者です。
- ・検索の種類(ウェブ/モバイル/画像/動画/すべて)
- ・地域
についてもフィルタをかけることができるのですが、
「ウェブ=PCでの検索結果」
「モバイル=スマホでの検索結果」
という定義のため、検索キーワードの分析を行う際に注意が必要です。
(「すべて」を表示することもできますが、この場合今度は「画像」「動画」の検索も混ざってきてしまうため、却って数値が正確に把握できなくなってしまいます。)
また、これまでの検索クエリレポートでは、「複数の検索結果が表示されている場合、それぞれが表示回数としてカウントされてしまう」という課題もありました。
このカウントの仕方だと、例えば検索結果で1位~3位で表示されているような場合、表示回数が3倍カウントされるため、1位のみ表示されている場合よりもCTRが極端に低く算出されてしまい正確にデータの把握ができません。
新レポート「検索アナリティクス」では新たに何ができる?
1)デバイス別データがきちんと取得できるように。
新機能「検索アナリティクス」では、「検索クエリ」で発生していたデバイス別集計の問題が解決され、「デバイス」と「検索タイプ」の概念が分けられ、それぞれフィルタを設定して表示することができるようになりました。
これにより、「デバイス:フィルタなし」を選択していれば、常にPC/SP/タブレットのデータを全て含んだレポートが確認できます。
2)「クエリ」×「ページ」の掛合せでのデータ取得が可能に。
これまでの検索クエリレポートでは、「クエリレポート」と「ページレポート」とは基本的には別物で、「あるページがどのようなキーワードで表示されているか」「あるキーワードで表示されているページはのどページか」といったデータは、一部分でのドリルダウンが可能なだけで、全体としての把握は不可能でした。
今回の検索アナリティクスにおいては、「ページ」「クエリ」それぞれにおいてフィルタをかけることで、上記のようなより深いインサイトを得ることが可能になっています。
3)表示回数の重複カウントの回避
これまで、1回の検索結果で複数ランクインしている場合にのべ表示回数として複数カウントされていたのが、「検索ごとに1回」として表示回数がカウントされるようになりました。これにより、検索結果に複数のURLがランクインしている場合に表示回数が実際の検索回数よりも多くカウントされてしまっていた問題が解決し、正確なCTRが表示されるようになっています。
4)画像検索におけるクリック定義の改善
これまでの「検索クエリ」レポートにおいては、画像検索において「画像がクリック」された回数がレポートとして表示されていました。ただgoogle画像検索で1回画像をクリックしただけでは、その画像が拡大表示されるだけです。そのためこの「クリック数」の数値は「サイトの訪問数」とは全くつながらない定義の数値となり、これまでGA等の解析ツール側のデータとの不整合を起こす大きな要因の1つとなっていましたが、今回の「検索アナリティクス」ではこの問題が解決されました。
5)グラフが2軸表記に
「検索クエリ」レポートでは「表示回数」と「クリック数」が同じ単位の軸として表示されていたため、「クリック数」の増減が目視では検知できない直線として表記されがちで、直感的に推移を把握しにくいという問題がありましたが、「検索アナリティクス」ではそれぞれの2軸で描画されるようになったため、表示回数の推移とクリック数の推移がより直感的に把握できるようになりました。
機能として、かなり改善された検索アナリティクスレポートですが、データ取得対象期間が90日間であるという点は変わっていません。
過去からの推移をモニタリングする上で、90日というのは明らかに不足しているため、何らかの手段を用い自力でデータを蓄積していくことが必要となる点はこれまでと変わりません。
当社が管理する多くのWMTアカウントのうち、今回のベータ版検索アナリティクスのレポートが使えるようになっていたのは、1%程度でした。
全アカウントで使えるようになるのはいつになるのでしょうね。