Looker Studioは日々進化しており、2024年にもデータの可視化をより強力にするアップデートが数多く追加されました。しかし、頻繁なアップデートにより「最新機能を把握しきれていない」「どの機能が業務に役立つのか分からない」という方も多いのではないでしょうか?

本記事では、2024年に追加されたLooker Studioのビジュアライズ関連のアップデートを整理し、ビジネスでの活用ポイントを解説します。公式ヘルプでは見つけにくかったり、理解が難しかったりする情報を、素早くかつ正確にキャッチアップし、データ可視化の効率化にお役立てください。

それでは、早速1月から順に、以下の2点に焦点を当ててご紹介していきます。

  • プロダクトの新機能(どのように進化したか)
  • 活用方法(重要なポイント)

2024年1月のアップデート

単位や表示形式のカスタマイズが可能に

数値の表示形式と日付の表示形式をカスタマイズ可能になりました。

ポイント:データソースを変更せずにダッシュボード上で表示形式を変更できるため、データの再取得やSQLのクエリを送信しなおす手間が省けるようになりました。

2024年2月のアップデート

表グラフのヘッダーにフィールドの説明を表示可能に

表グラフのヘッダーに対し、下記画像内①の「フィールドの説明を表示する」をチェックすることで、マウスオーバーした際に表示されるツールチップに説明を追加可能になりました。

ポイント:指標やディメンションの定義・説明等が表示可能となり、閲覧者の中でより簡易的に認識統一が可能となりました。

2024年4月のアップデート

新しいグラフ:タイムラインチャートオプションが追加

ガントチャートを表現可能なグラフ、「タイムラインチャート」が新たに追加されました。

ポイント:開始日時および終了日時の異なるデータがあればガントチャートを作成でき、ダッシュボード上で表現可能になりました。

2024年5月のアップデート

チャートに直接タイトルを追加可能に

「スタイル」からグラフにタイトルを直接追加可能になりました。タイトルのフォント、色、サイズ、スタイル、位置をカスタマイズ可能です。

ポイント:タイトルをつける際、テキストボックスを挿入する必要がなくなり、利便性が高まりました。

2024年6月のアップデート

集計行において、フィルターを無視した合計値を表示可能に

グラフの集計行において、キャンバス内で適用したフィルターを無視した合計値を表示可能になりました。

ポイント:フィルタ適用後でも、全体の数値との比較が可能なオプションが追加され、利便性が高まりました。

表示行数の制限時、除外された行を「その他」として表示する機能が追加

チャート設定「『その他』グループに含める」の使用により、指定した行数外の結果を「その他」としてラベル付けしたカテゴリに集計可能になりました。下記8種のグラフタイプで使用可能です。

表グラフ、時系列チャート、棒グラフと縦棒グラフ、円グラフ、折れ線グラフとコンボグラフ、面グラフ、ピボットテーブルグラフ、ツリーマップチャート

ポイント:指定した行数以外の数値をまとめて可視化でき、グラフの視認性が向上しました。

データラベルのカスタマイズオプションが拡張

プロパティパネルのスタイルタブにあるデータラベルセクションにて、フォントの種類、フォントの色、フォント サイズ、フォントのスタイル、背景色、不透明度、境界線の半径の設定など、カスタマイズオプションが追加されました。これらのオプションは下記のグラフにおいて利用可能です。

面グラフ、棒グラフと縦棒グラフ、折れ線グラフとコンボグラフ、時系列チャート

ポイント:ラベルをより柔軟にカスタマイズ可能となり、視認性が高まりました。

ビン計算フィールドタイプが登場し、指定の数値ごとに階層分け可能に

フィールドタイプ、「ビンを追加」使用により、CASE WHENフィールドで計算式を作成したり、SQL文を作成したりすることなく、ディメンションの値を指定の階層に分けてカテゴリ化可能になりました。

ポイント:特定の整数範囲の値を簡易的にグループ化可能となり、データの粒度を調整するうえでの利便性が高まりました。

詳細は下記のブログ記事をご覧ください。

Looker Studioの新機能(その他のグループ化、データラベルのカスタム、ビンの作成)の使い方をご紹介

タイムラインチャートの色分けオプションが追加

タイムラインチャートの色分けオプション追加により、ディメンションの値によって色分け可能になりました。「バーラベル別に色分けa」選択後、色の管理bよりディメンションごとに色を選択可能です。

ポイント:色による表現の柔軟性が高まり、チャートが視覚的にわかりやすくなりました。

2024年8月のアップデート

リストコントロールを任意の基準で並べ替え可能に

リストコントロールにおいて、グラフ内で使用している指標だけでなく、任意の指標で並べ替えが可能になりました。

ポイント:リストコントロールに表示するディメンションの並べ替えの自由度が高まりました。

折りたたまれたピボットテーブルグラフの条件付き書式を設定可能に

リストコントロールにおいてグラフ内で使用している指標だけでなく、任意の指標で並べ替えが可能になりました。

ポイント:目標数値を超えた場合にハイライトする等の設定が可能となり、視認性が高まりました。

2024年9月のアップデート

ピボットテーブルの列ヘッダーのテキスト折り返しが可能に

ピボットテーブルグラフのテキストの折り返しオプションを有効にすると、列ヘッダーにおけるテキストを折り返し可能になりました。

ポイント:列のディメンション名が長い場合でも、表内にコンパクトにテキストを表示可能となり、視認性が高まりました。

新しいグラフ:ファネルグラフが追加

ファネルチャート使用により、連続プロセス内で発生するイベント数の変化を表現可能になりました。

ポイント:詳細なステップを組みたい場合データ成型は必要ですが、簡易的にファネルを可視化でき、サイト内離脱ポイントなどを把握しやすくなりました。

Microsoft Excelコネクタが利用可能に

Microsoft Excelコネクタが追加され、Excelワークシートに保存されているデータにアクセス可能になりました。

ポイント:Excelファイルを接続可能になり、一度Google Spread Sheet上にアップロードする手間がはぶけました。

2024年10月のアップデート

ピボットテーブルの行ヘッダーのテキスト折り返しが可能に

ピボットテーブルグラフのテキストの折り返しオプションを有効にすると、行ヘッダーにおけるテキストを折り返し可能になりました。

ポイント:行のディメンション名が長い場合でも、表内にコンパクトにテキストを表示可能となり、視認性が高まりました。

2024年12月のアップデート

グラフタイトルの自動生成機能が追加

グラフの「タイトルを表示」オプション有効時、自動生成されたグラフタイトルがデフォルトで表示されるようになりました。チェックボックスをオフ時には、カスタムで入力したタイトルを適用可能です。

ポイント:タイトルが自動生成されるようになり、作業効率が高まりました。

日付・時刻データ型ディメンションの選択可能なフィルタ条件が追加

日付関連のフィルタ作成時、選択可能なフィルタ条件に下記8つが追加されました。

直近、次の時以前に含まれる、次の時以降に含まれる、前の、今、次の、月、次の年に含まれる

ポイント:フィルタ条件を柔軟に選択できるようになり、分析したい期間に絞る際の利便性が高まりました。

ファネルグラフ(逆三角形)作成時の可視化オプションが追加

逆三角形のファネル選択時、「比例した高さを使用する」をオンにすることで数値に比例したファネル幅に変更できるようになりました。

ポイント:ファネル幅の変更が可能になり、より視覚的に数値をグラフで表現可能になりました。

スコアカードの表示フィールドをディメンションおよび指標から選択可能に

スコアカードのメインのフィールドを「ディメンション」に設定することで、数値データだけでなく、カテゴリデータやテキストデータ(例:日付、商品名、地域名など)を表示可能になりました。

ポイント:並べ替えの設定を見たい指標の降順にすることで、ランキング1位の該当ディメンションを表示するなど、スコアカードを活用したデータ可視化方法の幅が広がりました。

最後に

本記事では、2024年に追加されたLooker Studioのビジュアライズ関連のアップデートを整理し紹介しました。

2024年のLooker Studioアップデートでは「より使いやすく、細かくカスタマイズできる」ことに焦点が当てられ、グラフに詳細情報を追加できる機能や、カスタマイズの自由度が向上しました。

2023年のアップデートでは新しいグラフタイプの追加が多く、データの可視化の幅が広がっていた点に対し、2024年ではより作業の効率が上がり、ユーザーの細かなニーズにも応えられるアップデートが多数登場しています。

とくにAIを活用したタイトルの自動生成などは、時代の流れを感じる進化と言えるでしょう。今後もLooker Studioはさらに進化し、より直感的で柔軟なデータ可視化が可能になることが期待されます。これからも最新のアップデートを活用しながら、より効果的なデータ活用を目指していきましょう。

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藤野 美梨

解析コンサルタントとして、顧客のウェブサイトのデータ解析や、BIツールを活用しての可視化などを行う。

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