2024年8月、日本でもGoogle検索結果に「AIによる概要」が表示される新機能が導入されました。これにより、検索結果の1位に表示されるのはウェブサイトではなく、AI生成の概要文になる可能性も出てきました。
さらに、ChatGPTなどの生成AIの普及により、ウェブ上のコンテンツが増加し、SEO対策も複雑化しています。SEOで成果を出すためには、今まで以上に慎重なキーワード選定が必要です。そこでこの記事では、AI時代におけるSEOキーワード選定の重要性と、キーワード選定の具体的な方法について詳しく解説します。
SEOで確実な成果を出したい方に役立つ内容をお届けしますので、ぜひ最後までお読みください。
AI時代におけるSEOキーワード選定の重要性とは
昨今、生成AIツールの普及によって、コンテンツを自動的かつ大量に作ることが可能になっています。その中には、内容が薄かったり、ユーザーにとって有益ではないコンテンツも大量にあります。
これに対してGoogleは、常に「素晴らしいユーザー体験」を実現するように取り組んでおり、以下のような対策をとる動きがあります。
- クロール量削減
- インデックス登録の厳格化
- 検索結果にAIによる回答文が生成
2024年のSEOトレンドに合わせ、今後はこれまで以上に戦略的なSEOが求められています。
生成AIの台頭によるSEOへの影響1. クロール量削減
Googleはクロール量を制限する方針を強化しており、低品質なページがクロールされにくくなっています。
Google社員のGary Illyes(ゲーリーイリース)氏は「今年のミッションはクロールを少なくし、ネットワーク上の通信量を減らす方法を見つけることだ」と言及しました。(情報源:https://www.linkedin.com/feed/update/urn:li:activity:7180832169156562945/)
Gary Illyes氏がlinkedinにおける投稿(2024年5月頃)
日本語翻訳(ChatGPTにより):
今年の私のミッションは、さらにクロール回数を減らし、通信量を減らす方法を見つけることです。
数日前、Redditのコミュニティで、あるユーザーが「Googleが以前の年よりもクロール回数を減らしているように見える」という投稿がありました。全体的に見ると、実際にはそうではなく、クロールの総量はこれまでとほぼ同じです。しかし、スケジューリングがより賢くなり、クロールに値する可能性が高いURLに重点を置くようになっています。
とはいえ、実際にはさらにクロール回数を減らすべきです。例えば、キャッシュの利用や、ユーザーエージェント間での内部キャッシュの共有をもっと賢く行い、通信量も減らすべきです。
もし、IETF(または他の標準化団体)のインターネットドラフトで、この取り組みに役立つものや、私が見落としている可能性のある標準があれば、ぜひ教えてください。クロールの品質を犠牲にせずにクロール回数を減らせれば、誰にとってもメリットがあります。
簡単にまとめると、クロール量自体を減らし、ユーザーにとって有益なコンテンツのみクロールが行われることを目標にしているということです。
ユーザーにとってのメリットは、低品質コンテンツが目に入らなくなり、有益なコンテンツだけ手に入ること。Googleにとってのメリットは、コストの削減や、持続可能な発展への貢献ができること。
ウェブサイトを運営する側にとってのメリットは感じられないかもしれませんが、このような動向に合わせて、既存のページに関しては、重要なコンテンツと重要ではないコンテンツの振り分けをし、クロールバジェットの最適化を意識的に行うことで、サイトの評価を高めることができます。
新規で作成しようとしているページに関しては、本稿でご紹介するSEOキーワード選定をすることで、ユーザーにとって有益なコンテンツにすることができるでしょう。
生成AIの台頭によるSEOへの影響2. インデックス登録の厳格化
高品質なコンテンツのみがインデックスされやすくなり、SEOキーワード選定がさらに重要になっています。Google社員のGary Illyes(ゲーリーイリース)氏は、2024年2月にインデックスから大量のURLを削除したことを認めました。これは「Googleのサイトに対する認識が変わったため」だと述べました。(情報源:https://www.youtube.com/watch?v=DJVaGCZLmt8)
また、2024年3月のコアアップデートで低品質で独自性のないコンテンツが45%減少したとのことです。(情報源:https://blog.google/products/search/google-search-update-march-2024/)
低品質で独自性のないコンテンツの削減について(Google The Keywordにより)
日本語翻訳(ChatGPTにより):
2022年、Googleは検索結果における役に立たない、独自性のないコンテンツを減らすため、ランキングシステムの調整を開始し、これを非常に低いレベルに保つことを目指してきました。この取り組みで得た知見を、2024年3月のコアアップデートに反映します。
今回のアップデートでは、いくつかのコアランキングシステムを改善し、ウェブページが役に立たないものか、ユーザー体験が不十分か、あるいは人間のためではなく検索エンジン向けに作られているかを、より適切に判断できるようにします。これには、特定の検索クエリにのみ対応するために作られたサイトが含まれる可能性があります。
このアップデートにより、検索結果における低品質なコンテンツが減り、役に立つ高品質なサイトにより多くのトラフィックが送られると考えています。私たちの評価に基づけば、今回のアップデートとこれまでの取り組みを組み合わせることで、検索結果における低品質で独自性のないコンテンツは全体で40%削減できると予想しています。
2024年4月26日更新:4月19日をもって、これらの変更の展開が完了しました。この結果、検索結果に表示される低品質で独自性のないコンテンツは、当初予想していた40%の改善を上回り、45%削減されました。
簡単にまとめると、高品質のコンテンツを目指して作成しなければ、掲載順位が低くなるだけでなく、露出することができなくなるということです。
生成AIの台頭によるSEOへの影響3. 検索結果にAIによる回答文が生成
「AIによる概要」というGoogle検索結果画面の新しい機能が、2024年8月に日本で一般公開されました。この機能は、生成AIが検索クエリに対して生成した要約文が、Google検索結果画面のトップに表示される機能のことです。2023年から試験運用して、2024年5月にアメリカで一般公開され、8月に日本でも一般公開されました。
ランキング1位のサイトより「AIによる概要」が検索結果画面の上方に表示されることが増えるため、検索キーワードによっては高順位が取れていてもCTRが低下することが予想されます。
以上の3つのGoogleの動きを踏まえて、ユーザーにとって有益、そして高品質のコンテンツを新規に作るにあたって、土台となるキーワード選定の重要性が高まりました。
キーワード選定の3つのポイント
キーワード選定を行う際に考慮すべきポイントは、以下の3つです。
- 自社の目的を達成できるか
- 検索需要があるか
- 上位表示できる可能性があるか
ポイント1. 自社の目的を達成できるか
選定したキーワードが自社の目的に合致していることが重要です。
キーワードがサイトの主軸となるテーマと一致していなければ、ターゲットユーザーに効果的にアプローチできず、結果としてコンバージョン率の向上にも繋がりにくいです。自社の運営目的やターゲットユーザーを明確にし、それに最適なキーワードを選びましょう。
- サイト運営の目的はなにか
- サイトの主軸キーワードはなにか
- どんなユーザーがターゲットか
ポイント2. 検索需要があるか
選定したキーワードに十分な検索需要があるかを確認する必要があります。
いくら適切なキーワードであっても、ユーザーが検索していなければ、サイトへのトラフィックは期待できません。検索ボリュームデータを確認し、ターゲットとするキーワードがどれくらいの検索数を持っているか、どの程度の流入につながるかを見極めましょう。
- 検索需要が一定数あるか
- どれくらいの流入が見込めるか
ポイント3. 上位表示できる可能性があるか
選定したキーワードで上位表示できる可能性があるかを確認することが重要です。競合サイトのドメインレーティング(DR)やコンテンツの質、タイプを分析し、自社がそのキーワードで競争力を持っているかを判断しましょう。
競合サイトが強力な場合、上位表示を狙うには時間とリソースが必要となるため、競合の少ないキーワードを選ぶのも1つの戦略です。上位表示の可能性が高い(=競合が少ない)キーワードにフォーカスすることで、効率よくSEO効果を得ることができます。
- 上位サイトのDR
- 上位サイトのコンテンツタイプ
※DR:ドメインレーティング。サイトのドメインの評価を表す指標で被リンクの質と量を考慮。(SEO外部ツールのよく使われる指標)
KW選定の具体的な方法
キーワード選定の3つのポイント(1.自社の目的を達成できるか、2.検索需要があるか、3.上位表示できる可能性があるか)を網羅するためのキーワード選定方法として、弊社は3C分析を採用しています。
3C分析は、「顧客・市場」「競合」「自社」の3つの要素から、マーケティング環境を分析するフレームワークです。このフレームワークをKW選定に活用すると、以下の図のようになります。
- 市場・顧客分析:
ターゲットユーザーの興味関心、検索ニーズ、上位表示されやすいコンテンツタイプを確認します。 - 自社分析:
自社サイトの取れているキーワード、順位が落ちているキーワード、今後強化していきたいキーワードを把握します。 - 競合分析:
競合サイトを選定し、各競合サイトがそれぞれの取れているキーワードと取れていないキーワードを確認します。
このように3つの分野に分けて分析するという工程を経て、根拠のあるキーワード戦略を立てることが可能になります。
3C分析のフロー
それでは3C分析を用いたKW選定のフローをご説明します。以下は最終的なアウトプットのイメージです。
例えば最初はキーワードABCDEFGHIと、たくさんのKW候補があるとして、この中に、どれが自社サイトで狙うべきKWなのかを選定していく作業となります。
3C分析のフロー、①顧客分析、②自社分析、③競合分析、④市場分析といった工程を経て、最終的には、キーワードGHI3つのKWが狙うべきKWだという風に絞り込むことができます。
市場・顧客分析
3C分析の「市場・顧客分析」では、ターゲットユーザー、検索ニーズ、検索結果画面の3要素を考慮して、KWを選定します。
ターゲットユーザーのニーズを把握するために、ユーザーペルソナとカスタマージャーニーの整理を行います。検索ニーズがどれくらいあって、対策することでどれくらい流入を見込めるのかを知るためには、キーワードの検索ボリュームという指標を参考にします。どのようなコンテンツタイプが上位表示されやすいかを知るために、検索結果画面の上位ページのコンテンツタイプを確認します。
市場顧客分析ではこれらの項目を確認しますが、各項目の詳細を説明していきます。
■ペルソナ
ペルソナというのは、ターゲットユーザーの人物像のことを指します。どんな人が自社の商品やサービスに興味を持ってくれるのかを、まず社内でそのターゲットユーザーのペルソナを設定することが大切になってきます。ペルソナを設定することで、そのペルソナが検索しそうなキーワードを類推しやすくなるというメリットがあります。
以下の例は、20代〜30代の女性向けに「自分だけの特別な旅」を提案する架空旅行会社のペルソナです。
ペルソナ設定の一例
- 30代独身という情報から、検索しそうなKWは「一人 旅行プラン」、検索しなさそうなKWは「家族旅行 プラン」
- 性別が女性なら、検索しそうなKWは「女子旅 おすすめ」、検索しなさそうなKWは「1人旅 男 おすすめ」
- 年収が1000万円で平均値と比べたら高収入なので、検索しそうなKWは「高級ホテル おすすめ」、検索しなさそうなKWは「格安ホテル おすすめ」
- 旅行の目的はリフレッシュし、一人の時間を楽しむということなので、検索しそうなKWは「一人旅 温泉」、検索しなさそうなKWは「旅行 アクティブ」
あくまで運用のイメージをご提示していますが、このようにペルソナ設定に沿って、KW選定をしていきます。
■カスタマージャーニー
ペルソナからKW選定がある程度できたら、次はカスタマージャーニーに落とし込みます。カスタマージャーニーは、顧客が購入に至るまでの過程を可視化したフレームワークです。
カスタマージャーニーはマーケティングでよく活用されるフレームワークです。
ユーザーを非認知層、潜在層、準顕在層、顕在層、明確層の5段階に分けて、明確層に近ければ近いほど、自社製品に対する関心度が高まりますが、ユーザーの母数も少なくなります。非認知層に近ければ近いほど、自社製品に対する関心度が下がりますが、ユーザーの母数も多くなります。
ペルソナから導き出したキーワードを各フェーズに落とし込むことで、それぞれのキーワードがどのような層のユーザーが検索するキーワードなのかを整理できます。
弊社のSEOコンサルティングというサービスのKW選定におけるカスタマージャーニーを、具体例として挙げさせていただきます。
SEOコンサルティングサービスを求めるユーザーのフェーズには「情報収集」「改善方法を検討」「外注化を検討」「外注先を比較検討」「外注先を決定」の5段階があります。
潜在層という段階にいるユーザーは「SEOキーワード選び方」「SEO 内部対策」「サイト内検索 SEO」を検索することが想定され、「顕在層」という段階にいるユーザーは企業名を含むキーワードで検索すると考えられます(弊社の場合は「プリンシプル SEO」など)。
このように、顧客が各フェーズでどのような情報を求めているのかをカスタマージャーニーに整理し把握することで、顧客ニーズに合致したコンテンツを制作する戦略が立てられます。
■検索ボリューム調査
市場・顧客分析では、ターゲットとなりうるキーワードの検索ボリュームを調査します。
先ほど、各フェースごとのユーザーの検索ニーズにあったKWが分かったところで、次はどれくらいの流入の見込みがあるのかを確認します。検索ボリュームが高ければ高いほど流入を見込むことができ、反対に検索ボリュームが低い、またはない場合は多くの流入を見込むことが難しくなります。
検索ボリュームを調査する際には、GoogleキーワードプランナーやSemrushなどのツールを使用します。
■SERPs分析
次はSERPsを確認します。SERPs(Search Engine Result Pages)は検索結果画面のことを指します。自社サイトがそのターゲットKWを対策する場合、どれくらい上位表示される見込みがあるのかを知るために行います。
以下は、あるターゲットキーワードでの検索結果画面の調査結果をまとめたものです(青い項目は外部ツールを使わず検索結果画面を目視して確認できる項目で、緑の項目はツールを使わないとわからない項目)。
表の順位、URL、コンテンツタイプの確認方法はとてもシンプルで、Google検索でターゲットキーワードで検索して、ランキング1位はこのURLで、コンテンツタイプは商品一覧なのか、コラムなのか、サービスなのかを実際にクリックして確認します。
今回の例のこの3項目からは「このターゲットKWの上位ページは商品一覧ページが多いので、自社で対策する場合は、商品詳細ページでもなく、コラムでもなく、商品一覧ページで対策すべき」ということが分かります。
DR(ドメインレーティング)というのは、各SEO分析ツールによって名称や定義が多少違いますが、サイトのドメインの評価を表す独自の指標です。
見方としては自社サイトのDRを基準に、自社よりDRが低いサイトが上位表示されていれば、自社サイトも上位表示される見込みがあるという風に見ています。反対に、ランキング上位に自社サイトよりDRがはるかに高いサイトしかない場合は、自社でそのターゲットキーワードを対策したところで、上位表示される見込みが低い、といった判断ができます。
他には、被リンクドメイン数と、被リンクURL数、推定トラフィック、獲得KW数などもありますが、参考程度にまとめている項目となります。
調査結果から、「このキーワードを対策するなら、自社サイトのDRが40前後が必要で、対策する対象は商品一覧ページである」と分かります。
自社分析
自社分析で重要なのは流入クエリの現状把握です。市場・顧客分析で洗い出したキーワードが現状、自社サイトで現在獲得できているのかを確認します。
■流入キーワードのリストを取得
自社サイトの流入キーワードリストは、Googleサーチコンソールや外部のSEO分析ツールから取得可能です。
外部分析ツールについては次の章で詳しくご紹介しますが、人気のツールとしてよく挙げられるのは、Semrush(セムラッシュ)とAhrefs(エイチレフス)です。
(弊社はSemrushを利用)
■キーワードをグルーピングして分析
抽出した流入キーワードのリストを弊社では、グルーピングして分析しています。
キーワードリストをグルーピングするメリット
- 個々のキーワードではなく、同じ性質を持つキーワードの総計値で分析ができる
- 各グループごとのデータを把握することで、全体像をより見えやすくなる
キーワードリストというのは表形式のものが多いかと思いますが、弊社ではTableau(タブロー)やLooker Studio(ルッカースタジオ)といったBIツールで、ビジュアライズしています。
下の図は、外部SEOツールでダウンロードしたキーワードリストを、弊社の各サービス別に分けたキーワードグループごとに集計したデータを可視化したグラフです。
キーワードグループ別のトラフィックと検索ボリューム(tableau)
グループの定義は以下の通りです。
IF REGEXP_MATCH([Keyword],"seo|SEO") THEN "SEO" ELSEIF
REGEXP_MATCH([Keyword],"GA4|ga4|解析|UA|アナリティクス|タグ|セッション") THEN "解析" ELSEIF
REGEXP_MATCH([Keyword],"tableau|タブロー|looker|ルッカー") THEN "BI" ELSEIF
REGEXP_MATCH([Keyword],"広告|youtube|line|yahoo") THEN "広告"
ELSE "その他"
END
分析の視点として、例えば4番目の「解析」という分類には、GA4やアナリティクスなどのキーワードが含まれます。このグループは現在、あまりトラフィックを獲得していませんが、検索ボリュームがあるため、SEO対策を行えば成長の余地があると考えられます。
キーワードグループ以外に、弊社では「ブランド・非ブランド別」「ページグループ別」などのグルーピングも活用して、全体的な流入状況を分析しています。
競合分析
KW選定における競合分析には「競合サイトの選定」「各競合サイトのキーワード分析」という2つのステップがあります。
■競合サイトの選定
競合サイトの選定方法には以下のようなものがあります。
ベンチマークにおいてる競合他社
- 提供商品・サービスが似ている
- ターゲット顧客が被っている
- よくコンペで当たる
ターゲットKWで検索結果から探す
- ターゲットKWで自社より上位表示される競合サイト
外部競合分析ツールを使う
- トラフィック数やキーワード数で自社に近い規模感のサイト
ここでは3つを挙げましたが、選定方法は自由です。最終的には3つから5つをピックアップし、そしてそれぞれの競合サイトの流入キーワードリストをSEO分析ツールで取得します。
■各競合サイトのキーワード分析
競合サイトの流入KWリストを入手したら、自社分析の時と同じように以下の4種類に分け、自社サイトの流入キーワードと比較して戦略を考えます。
左上から時計回りに、「①競合が獲得しているが自社が獲得していないKW」「②競合と自社の被っているKW」「③自社が獲得しているが競合が獲得していないKW」「④競合も自社も未獲得のKW」の4種類です。
(※KW=キーワード)
新規でターゲットキーワードを選定する場合は、上半分の①と②に重点を置くことが多いです。①の領域では、自社サイトで取り扱うべき新しいテーマやコンテンツの方向性を見つけることができて、②の領域では、ウェブページのタイトルや見出し、コンテンツ構成、自社サイトの不足している情報や関連キーワードがないかを確認できます。
①と②の領域からピックアップしたキーワードリストから、検索結果画面のランキング順位を比較して、競合が自社よりランキング上位を獲得しているキーワードを選定します。これらのキーワードは、ターゲットとなりうるキーワードとなります。
3C分析からSEOキーワード選定のまとめ
以上のように、SEOキーワード選定のためには「市場・顧客分析」「自社分析」「競合分析」を実施し、それぞれの調査結果をまとめて、最終的に狙うべきKWを選定します。
ここで決まる結果は基本的にそのまま対策の行動に移すものになります。最終結果で決まる狙うべきKWの条件として、「ペルソナに合っている」「自社が未獲得」もしくは「競合が自社より上位」「検索ボリュームがある」「上位表示できる見込みがある」といったことから判断します。
人気のSEO分析ツール
自社サイトの流入キーワードは、Googleサーチコンソールで簡単に取得することができますが、競合サイトの流入キーワードを取得するためには、外部のSEO分析ツールが必要です。
また、SEO分析ツールには有料と無料のものがありますが、本稿でご紹介している分析法には、有料ツールが必須となります。ここでは有名な有料のSEO分析ツールとして、Semrush(セムラッシュ)とAhrefs(エイチレフス)について、簡単にご紹介します。
Semrush(セムラッシュ)
ツール名 | Semrush(セムラッシュ) |
URL | https://ja.semrush.com/ |
料金 | 月額$129.95~$499.95(2024年5月時点) |
主な機能 | SEOのターゲットキーワードを発見 想定トラフィック 流入キーワードの比較 キーワードの検索ボリューム キーワードの検索順位 順位変動トラッキング 競合他社とのドメインを比較 バックリンク診断 →競合調査全般向き |
提供元 | Semrush Inc. 日本代理店:株式会社オロ |
日本語版 | あり |
Ahrefs(エイチレフス)
ツール名 | Ahrefs(エイチレフス) |
URL | https://ahrefs.jp/ |
料金 | 月額:¥1,2500~¥125,000(2024年5月時点) |
主な機能 | 流入キーワード キーワード順位 キーワード上位表示難易度 キーワードの親トピック サジェストキーワード 検索ボリューム クリック率 バックリンク →バックリンク分析に特化 |
提供元 | Ahrefs Pte.Ltd |
日本語版 | あり |
キーワードごとの対応優先度
ここまでで、3C分析からKW選定の工程を経て、流入キーワードリストから自社サイトで狙うべきキーワードリストというアウトプットができました。狙うべきキーワードリストというのは基本的に対策すべきですが、その中でどのように優先順位をつけるかが大事です。
キーワードごとの対応優先度の3つの観点
弊社では①Impression(検索ボリューム)、②想定CTR(クリック率)、③想定CVR(コンバージョン率)などの指標をベースにセッション数やCV数を割り出すことで、選定したキーワードに対して対応優先度を決めています。
優先度を決める理由はとてもシンプルで、「リソースは有限なため、対策するならインパクトが大きいキーワードから着手したい」と考えているからです。
①検索ボリューム観点で優先度を決める場合は、単純に検索ボリュームが大きい順に並び替えることで、対応優先度が決まります。
②想定CTR観点と③想定CVR観点については以下で詳しくご説明します。
想定CTR(クリック率)の算出方法
SEO外部ツールには「KD%」というキーワードの難易度指標があり、この外部ツールの指標を参考に、想定CTRを算出しています。
SemrushのKD%の定義
分析したキーワードで、新しいウェブサイトをGoogleの上位10にランクインさせることの難易度を示す。パーセンテージが高いほど、高い順位の獲得が難しくなる。
つまり、点数が低ければ低いほどランキング上位に表示されやすく、点数が高ければ高いほど上位表示されにくくなります。
外部ツール上のキーワードの難易度は、0から100でキーワードごとに表示されていますので、簡易的に想定順位を3段階に分類します。キーワード難易度が0~30の場合は1位、31~75の場合は5位、76~100の場合は10位と順位を想定します。
SEOClarityというアメリカのソフトウェア会社調査結果によると、日本において、Google検索のランキング1位のCTRは13.94%、5位は2.98%、10位は1.32%となりますので、こちらの調査結果を参考に、想定CTRを算出できます。
(情報源:https://www.seoclarity.net/mobile-desktop-ctr-study-11302/)
SEOClarityのGoogleランキング順位のCTRに関する調査結果
具体的な運用イメージは以下の通りです。
想定CTRが算出できたら、そのままCTRが高い順に優先順位を決めてもいいですが、さらに月間検索ボリュームを掛け算すると月間想定トラフィックも算出できますので、流入見込みの参考値として優先順位を決めるのに利用できます。
想定CVRの算出方法
流入見込みだけではなく、流入してきたユーザーの会員登録・購買などのコンバージョンを重視して優先順位を決めたい場合には、想定CVR(コンバージョン)を参考にします。
そのために、既存の獲得済みのキーワードのデータを基に、新規に獲得したいキーワードの想定CVRを算出します。
想定CVRは以下のステップで算出します。
- STEP1:現状サイトに流入しているキーワードごとの想定CV数を算出
- STEP2:流入キーワードをカテゴリ別にグルーピングして、カテゴリ別の想定CVRを算出
- STEP3:ターゲットキーワードをカテゴリ別にグルーピングして、想定CVRを適用
詳しく説明していきます。
■STEP1:現状サイトに流入しているキーワードごとの想定CV数を算出
このステップでは自社サイトのGoogleサーチコンソールのクリック数とGA4のコンバージョンデータが必要になります。
運用方法のイメージは以下の通りです。
ランディングページ、流入キーワード、クリック数、URL単位クリック数の4つの項目はGoogleサーチコンソールのデータで、URL単体CV数という項目はGA4データをそのまま記入します。
クリック数按分という項目に関しては、例えば「キーワードA」は、ランディングページの総クリック数が27,000で、「キーワードA」のクリック数10,000なので、割合に応じて按分した数字を算出すると、37%になります。(=10,000/27,000*%=37%)
このクリック数按分の数値をCVにも適用すると、各キーワードごとの想定CV数も算出できます。例えば「キーワードA」のURL単位CV数は100なので、按分の37%を適用すると、想定CV数が37になります(100 × 37% = 37)。
■STEP2:流入キーワードをカテゴリ別にグルーピングして、カテゴリ別の想定CVRを算出
自社分析のパートでもご紹介しましたが、弊社では流入キーワードをグルーピングして分析することが多く、推定CVRも同じようにキーワードグループを利用します。
例えば、流入キーワードを「概要」「比較」「事例」「評判」「料金」の5カテゴリにグルーピングしてあるとすると、このステップではカテゴリ別の想定CVRを算出します。
キーワードカテゴリ「事例」であれば、「キーワードGとJの合計想定CV数」÷「キーワードGとJの合計クリック数」で算出できます。(=(19+3)/(3,400+700)*%=0.53%)
「事例」に属するキーワードGとJの想定CVRが0.53%という結果が出ます。
■STEP3:ターゲットキーワードをカテゴリ別にグルーピングして、想定CVRを適用
STEP1からSTEP2までは、今までの流入キーワードの想定CVRを把握できたところ、STEP3では、これから狙っていくターゲットキーワードの想定CVRを算出します。
算出方法は、ターゲットキーワードリストをSTEP2の時と、まったく同じキーワードカテゴリにグルーピングして、同じカテゴリであれば、同じ想定CVRを適用することになります。
STEP2では「事例」に属する流入キーワードの想定CVRが0.53%という結果が出ているので、ターゲットキーワードの中の「事例」に属するキーワードQとRの想定CVRも0.53%となります。
ターゲットキーワードリスト(最終アウトプット例)
以下が最終的なアウトプットとなります。
キーワードの対応優先順位は①impression(検索ボリューム)、②想定CTR(クリック率)、③想定CVR(コンバージョン率)の3つの観点があり、セッション数に重きを置くか、CV数に重きを置くか、など目標とする指標によって、優先度を適宜変更します。
コンバージョン率に重きを置いた場合、想定CVRが一番高いキーワードRが優先度最上位のキーワードとなります。
SEOキーワードの盛り込み方
SEOキーワード選定方法は理解できても、「選定したターゲットキーワードをコンテンツにどのように反映すればいいのだろう?」と疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
選定したターゲットキーワードは、コンテンツのタイトルやディスクリプション、見出し、本文などに適切に組み込むことで、検索エンジンに内容の理解や検索意図との関連性を示すことができます。これにより、狙ったキーワードでの検索順位の向上が期待できます。
タイトル・ディスクリプション
タイトルとディスクリプションは検索結果画面に表示される内容で、HTMLファイルのタイトルタグとメタディスクリプションタグで設定できます。不自然でない範囲でターゲットキーワードを含めるようにすると、ユーザーにもクローラーにもコンテンツ内容を認識してもらえます。
多くの場合設定された内容が検索エンジンに採用されて、そのまま検索結果画面に表示されます。しかし設定内容がページ内コンテンツに合わないと判断されてしまう場合には、自動的にページ内コンテンツを引用して表示することもあります。
検索結果上のタイトルは以下の要素が参照されていますので、もし望ましくない内容が表示されてしまった場合、各項目ごとに確認していくと良いです。
- title要素内のテキスト
- ページに表示されるメインの視覚的タイトル(大見出し)
- h1要素などの見出し要素
- スタイル処理によって大きく目立つように作られたその他のコンテンツ
- ページ内のその他のテキスト
- ページ上のアンカー テキスト
- ページへのアンカー テキスト
- WebSite 構造化データ
情報源:Google 検索結果のタイトルリンク(見出し)の変更 | Google 検索セントラル | ドキュメント | Google for Developers
ディスクリプションに関しても、タイトルと同じように、多くの場合は設定内容がそのまま表示されますが、望む通りに表示されなかった場合は、公式ベストプラクティスをご参照ください。
参考:スニペットの管理・メタ ディスクリプションについて | Google 検索セントラル | ドキュメント
見出し
見出し要素に関しても、選定したSEOターゲットキーワードを盛り込むと効果的です。H1とH2まで、多くキーワードを盛り込んでもそこまで問題ないですが、H3にまで詰め込みすぎると、Googleからスパム判定を受ける恐れもありますので、ご注意ください。
本文
コンテンツの本文にSEOターゲットキーワードを適切に取り入れることで、ユーザーの検索意図との関連性を強化することができます。本文に関しては、たくさんキーワードを盛り込むより、執筆の際にワードを統一したほうが良いです。
コンテンツSEOの具体的なやり方について気になる方は、ぜひ以下の記事も合わせてご覧ください。
関連記事:今さら聞けない!?コンテンツSEOの具体的な手順を分かりやすく解説!
SEOキーワードを選定する際の注意ポイント
最後に、SEOキーワードを選定する際の注意点として、下記の3つをご紹介します。
- ユーザーの認知度に合わせる
- ターゲットキーワードは盛り込みすぎない
- カニバリゼーションを避ける
ユーザーの認知度に合わせる
市場・顧客分析で、カスタマージャーニーを作成してあると思いますが、そのマップ通りに、各認知度段階のターゲットユーザーに合わせてキーワードを選定するようにしましょう。
例えば、「SEOとは?」とSEOについての概要から知りたいユーザーに対して、弊社のSEOコンサルティングの強みを紹介しても、効果が得られません。反対にすでにどのコンサルティング会社と契約するかを迷われているユーザーに対して、SEOの概要を伝えたところで、求められる情報にずれが生じるため、非効率的です。
ユーザーの認知度に合わせて、ニーズに合うキーワード選定とコンテンツを提供することがポイントになります。
ターゲットキーワードは盛り込みすぎない
キーワードを過剰に使用するとコンテンツが不自然になり、ユーザーにとって読みづらくなるだけでなく、検索エンジンにも「キーワード詰め込み(keyword stuffing)」とスパム判定され、逆に評価が下がる可能性があります。
ターゲットキーワードは、自然な形でコンテンツに取り入れ、ユーザーに価値を提供することを第一に考えましょう。
カニバリゼーションを避ける
カニバリゼーション(カニバリ)とは、自社サイト内の複数ページが同じキーワードで競合してしまう現象です。
カニバリゼーションが発生すると、同じキーワードで複数のページが検索結果に競合し合い、結果的にどちらのページも順位が下がってしまう可能性があります。これを防ぐために、各ページごとに異なるターゲットキーワードを割り当て、ページごとの目的や内容に応じた最適なキーワードを選定することが重要です。
まとめ:SEOキーワード選定は重要
この記事では、AI時代におけるSEOキーワード選定の重要性と、キーワード選定の具体的な方法について詳しく解説しました。
SEOキーワード選定は、SEO戦略の基盤となる重要なプロセスです。AI時代に突入したことで、検索エンジンがより高度に進化し、低品質なコンテンツはますます排除される傾向にあります。そのため、ターゲットキーワードの選定には時間とリソースをかけ、戦略的に行うことが不可欠です。
もしキーワード選定にお困りごとがございましたら、いつでも弊社へご相談ください。