こんにちは、プリンシプルのマーケティングコンサルタント、早川です。突然ですが、皆さんのマーケティングチームではマーケティング戦略をしっかりと策定されていますか?
SEO対策も行い、広告も出稿し、GA4の分析も始めた。それなのに、なぜか全体の成果が今ひとつ上がらない、そんな感覚をお持ちの方もいるのではないでしょうか。実は、その原因の一つに、マーケティング戦略が明確に策定されていない、もしくはチーム内で共有されていないことがあるかもしれません。
この記事では、マーケティング戦略の基本とその重要性を解説し、マーケティング戦略として検討すべき7つの項目と、それらを効果的に策定するための3つのステップをご紹介します。マーケティングに携わる皆さんにとって、何かしらのヒントやインスピレーションを提供できれば幸いです。
マーケティング戦略とは
マーケティング戦略とは、事業のKGIを達成するために必要なマーケティング活動を体系的にまとめたものです。この戦略は文書として明文化することが重要で、社内外の関係者との情報共有にも役立ちます。具体的には、以下の2つの観点からの整理が求められます。
- 社内の認識共有:とくにマーケティング部門のメンバー間での共通認識を形成するための資料として
- 社外との協業:外部の協力会社と協業する際の基本資料として
では、なぜマーケティング戦略を明文化することが重要なのでしょうか?それは、マーケティング戦略が「羅針盤」としての役割を果たすからです。
具体的には、マーケティング目標を設定し、その目標を達成するための戦術を策定します。また、目標設定の前提として市場や顧客の分析を行います。
これらが明文化されていないと、次のような問題が発生しがちです。
- 施策の目的が曖昧になる
例:SNS運用を続けているが、その理由が不明確 - 施策と事業KPIの乖離
例:広告代理店からCPAが20%改善したと報告されたが、それが事業の成長にどう影響するのかが不明 - 顧客理解の不徹底
例:広告クリエイティブが顧客像に合致していない
これらの問題を未然に防ぐためには、マーケティング戦略の明文化と、部内および協力会社間での共通認識の確立が不可欠です。
マーケティング戦略の7つの項目
マーケティング戦略として定義すべき主な7項目を以下に示します。各項目では、フレームワークやマーケティング用語が登場しますが、具体的な分析方法については検索やAIツールで確認可能です。
1. 市場分析
- 対象市場の現状とトレンドを整理。PEST分析を用いると効果的です。
- 主要な競合プレイヤーの整理にはSWOT分析が有効です。
2. 顧客分析
- 顧客ペルソナやカスタマージャーニーの整理。
- 既存顧客へのアンケートやヒアリング調査も有効です。
3. 製品・サービスのポジショニング
- バリュープロポジションの整理。競合と比較して、顧客に提供する価値を明確にします。
4. マーケティング目標とKPIの設定
- マーケティング施策の目標と具体的なKPIを設定。事業KGIに直結するものが望ましいです。
5. マーケティング戦術の設計
- マーケティング目標を達成するための具体的な施策を検討。オフライン施策(イベント、展示会、街頭広告、店頭PRなど)とオンライン施策(オンライン広告、SEO、メール施策、SNS施策など)を含みます。
6. コンテンツ戦略
- コンテンツカレンダーを作成し、いつ、どのようなコンテンツを配信するかを計画。
- コンテンツ配信チャンネル(ウェブサイト、SNSなど)の策定。
7. 予算とリソース管理
- 各施策への予算配分を期待されるリターンを踏まえて行います。人員、ツール、パートナーの選定も重要です。
これらの項目を上記のタイムラインに沿って整理し、ロードマップとして整理すると、戦略がより具体的になります。とくに、順序立てて項目を定義することを推奨します。
理論上は目標が定まらなければ戦術を決められないはずなのに、どういった施策を行うべきかという戦術論ばかり協議している、というのは実務でよく見られるケースです。
そのようなケースを防ぐために、次のセクションでは、これらの項目をスムーズに進めるための方法を説明します。
マーケティング戦略の策定方法
ここまで述べたマーケティング戦略の項目は、多くのサイトや書籍で触れられています。しかし、重要なのは「どのように」これらを定義し、共有するかです。以下に、効果的な3つのステップをご提案します。
ステップ1. セルフワーク
まずは、この記事を読んでいるあなた自身が、上記の内容を実際に整理してみましょう。ざっと整理するなら30〜60分で可能です。もし3時間かけても整理できない場合は、ビジネスへの理解が不十分かもしれません。この段階での自己整理が、後の施策の成功に大きく影響します。
ステップ2. チームワーク1(発散系)
セルフワークで整理した内容をチームで共有し、ブレインストーミング形式で自由に意見を出し合います。アイディアの量を重視し、メンバー全員が意見を出しやすい環境を作りましょう。
ワークを進める過程で、文字情報で互いの意見を確認することで、フラットに各自の意見の類似点・相違点を確認することができます。
ステップ3. チームワーク2(収束系)
発散系で出たアイディアを整理し、ドキュメント化します。意見の変化や追加案が出た場合も反映し、最終的な戦略をチーム全体で確認します。
この収束ワークですが、リーダーが一人で整理してドキュメントを共有すればよいのでは?と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、メンバーで集まって認識に相違がないことを確認しあうことを推奨します。「発散 → 間隔をあける(=アイディアを醸成させる)→ 収束」の過程を、メンバーで共有することで、共通の認識を深めていくことができます。
前セクションの1〜3の基礎情報の整理や戦術の検討は、とくにチームでのすり合わせが重要です。目標設定や予算リソースに関しては、責任者が決定しますが、前提条件が共有されていれば、スムーズな進行が期待できます。
最後に
マーケティング戦略についての解説を最後までお読みいただきありがとうございます。もし、具体的な進め方やファシリテーションに関してお悩みがある方は、ぜひ弊社プリンシプルにご相談ください。マーケティング戦略の策定からファシリテーションまで、経験豊富なコンサルタントがサポートいたします。