Tableauダッシュボード作成支援のご相談をいただく中で、Tableauダッシュボード作成プロジェクトについての費用(工数)を検討するための要素についてのご質問をいただくことがよくあります。

そこで、本記事ではTableauダッシュボード作成プロジェクトについての費用(工数)を算出するためのヒアリング事項の内、代表的な8項目とそれぞれの確認ポイントをご紹介します。

枚数系

①ダッシュボードの枚数(バリエーション数)

ポイント:複数枚作成の場合、共通部分があれば工数減の可能性あり

作成するダッシュボードの枚数が多ければ多いほど、後述する各項目のボリュームが全体的に増加します。

「バリエーション数」と補足しているのは、たとえば「売上を管理するダッシュボードを、部署ごとにまったく同じフォーマットで分けて作成したい」という場合、実際作成するダッシュボードは1つ(+調整工数やデータソースの切り替え)となることもあるためです。

また、ダッシュボードを複数作成する場合でも共通部分があるなら、2枚目以降の作業工数を省略できたり、複数の作業者で同時に作成を進められたりすることもあります。この場合も、大規模なダッシュボードを1つ作成する場合よりもトータル工数が少なくなります。

②ダッシュボードに載せるシート(グラフ・表)の数

ポイント:ダッシュボートに載せたいグラフや表の数は何枚程度か

ダッシュボードに載せられているシート数のイメージは案件や担当者ごとに異なるため、ダッシュボードの枚数だけではなく、そのダッシュボードに載せるシート(グラフ・表)の数についても可能な限り確認・把握をしておく必要があります。

また、作成したいダッシュボードのイメージがすでに存在している場合、実際に作成する場合に見た目以上のシート数・工夫が必要な場合もあるため、実装イメージをすり合わせる必要があります。

有無×ボリューム系

③レイアウト・デザイン検討の有無とボリューム

ポイント:デザイン性についての認識合わせ工程の確保

見積もり・提案の段階では定量的な条件やスケジュールについてのすり合わせが中心になることが多いですが、デザインについても契約前の段階から認識合わせをしておくのがオススメです。

というのも、UIは納品物であるダッシュボードの品質に大きく関わる一方、発注段階のデザインや仕様が変更になることもよくあるためです。また、デザイン(ビジュアライゼーション)について求められる水準はプロジェクトごとに異なります。

そのため、「過去に作成したダッシュボードを参考に、求めるデザイン水準を確認する」「デザイン等を最終的に承認する責任者や承認フローを確認する」といった準備が重要です。事前の認識合わせや修正にかかる工数も考慮した見積もりが必要になります。

④データソース作業の有無とボリューム

ポイント1:データソースは何種類あるか

前述の「②ダッシュボードに載せるシート(グラフ・表)の数」と考え方が近いですが、ダッシュボードが1枚でも、参照するデータソースの種類が多いほど工数は増加します。

ここで言う「データソースの種類」は、「DWH」「CSV」などの形式の数ではなく、「売上データ」「Webアクセスデータ」「会員マスタデータ」のようにカテゴリや構造単位での種類を指します。「データソースの種類」が増えることにより工数が増える理由は、データの構造・内容を把握するための工数や、結合等を行う際の検討・作業工数が増加するためです。

なお、たとえば店舗や部門ごとにデータマートやファイルが分かれているような場合でも、フォーマットが共通であればデータソースの「種類」としては1つとしてカウントできる場合もあります。

ポイント2:加工作業が必要か

そしてデータソース作業は、種類数と共に「そのまま使うことができるかどうか」も見積もりに影響します。

データが複数のフォーマットやファイル形式で存在しており、その集約・整形・加工もダッシュボード作業者側で行わなければならない場合は、ダッシュボード用に用意されたデータマートに接続するだけで済む場合に比べてデータソース作業期間が延びることが多いです。

また、作業着手時点ではデータが揃っていない場合にサンプルデータを作成する作業や、納品前に本番データに切り替える作業が発生することもあります。工数の増減いずれにも影響するため、もしデータソース関連の状況が不明な場合は、事前に確認しておくことをオススメします。

⑤数値検証・比較作業の有無とボリューム

ポイント:要否と精度

数値検証・比較の有無も費用を決める要素の1つです。

ここで言う「数値検証・比較」は主に、「データソースの集計結果とダッシュボード上の値が同一か」「既存レポートとダッシュボードの値が同一か」の確認を指します。

前者は最低限の確認点として弊社の標準見積には含まれていますが、後者については完全新規作成のレポートであれば比較対象が存在しないこともあるためオプションとして扱っています。

既存レポートが存在する場合でも、Tableauダッシュボード化のタイミングで集計定義が変更されたり精緻化されたりして、同一の結果が得られない可能性もあります。そのため、既存レポートと比較するかどうかだけでなく、精度をどこまで追求するかについても認識を合わせておく必要があります。

⑥ドキュメント作成の有無とボリューム

ポイント:作成希望の資料種別・体裁・品質

弊社にてダッシュボード作成をする際は、納品時にダッシュボードファイルと併せて「ダッシュボード設定書」をお納めしています。これは、ダッシュボードの設計書のようなもので、ある程度のTableauスキルをお持ちの方が参考にしながら作業すればダッシュボードが再現できる内容となっています。

具体的には以下の項目が含まれています。

  • ダッシュボードごとの画面キャプチャ
  • シート一覧と、ダッシュボード上のマッピング
  • シートとデータソースの対照表
  • データソース設計内容
  • 使用した計算式一覧
  • 使用したパラメーター一覧
  • 使用したアクション一覧

ダッシュボード設定書は、あくまでも参考資料としての位置づけとなっております。弊社がお納めした後にお客様側で、詳細な構造を把握したり、改修の際に参考にしたりされることを想定しています。「ダッシュボードの利用マニュアル」ではないので、もし別途作成を希望される場合は別途工数を見積もる必要があります。

資料の形式についても、「PowerPointなのか、Wordなのか」「(お客様企業テンプレートなど)雛形の指定はあるか」「利用者が見るマニュアルとしての資料水準なのか」などによって作成工数が変わるため、可能な限り事前に検討しておくことをオススメします。

回数系

⑦ダッシュボード修正回数

ポイント:修正タイミング・頻度の確認と共に、スコープも定める

ダッシュボードの試作の後、フィードバックの内容に基づきダッシュボードの修正を行います。ここで重要なことは、初回作成段階で一発OKとなることの方が稀であるため、ダッシュボード作成作業の大部分が修正作業であることを念頭に置き、スケジュールや工数を検討する必要があるということです。

打ち合せ内で対応可能な文言や色味の修正などの軽微な修正であれば全体の工数に大きな影響はありませんが、持ち帰りでの対応が必要な実装の変更や機能・レイアウトの修正は回数によっては納品スケジュールに影響が生じます。そのため、修正回数について事前に取り決めた上で、工数を見積もりに反映させることがあります。

もし事前に取り決めた回数(工数)以上の修正が発生しそうになった場合には、協議の上、「スコープを区切って次フェーズに持ち越す」「必要に応じて工数を追加する」などで対応しています。

⑧打ち合わせ回数

ポイント:必要なタイミングと頻度・出席者・アジェンダの想定

これまで挙げてきたさまざまな要素については、キックオフミーティングや定例ミーティングなどで確認・合意形成することが多く、頻度・単位時間(1回あたり何分か)・参加人数などは事前確認が必須です。

また、定例ミーティング内では決まりきらなかった議題については、別途分科会が実施されることもあり、打ち合わせ回数は当初の見積もりよりも上振れがちです。都度開催の打ち合わせ回数を予測することは難しいですが、時間を要しそうな項目については開催頻度・時間について考慮することも重要です。

「③レイアウト・デザイン検討の有無とボリューム」の項目でも述べましたが、たとえばデザインや定義・仕様の最終決定者がミーティングには参加していない場合、ミーティングの中では合意形成されていると思っていても終盤に最終決定者の判断で覆ってしまうこともあります。

そのため、デザインや仕様の承認プロセスや検討のリードタイムなども踏まえた上で、ダッシュボード作成を進めるために必要なコミュニケーション工数のシミュレーションが必要になります。

まとめ

この記事では、Tableauダッシュボード作成プロジェクトについての費用(工数)を算出するための代表的な8つの項目と確認ポイントをご紹介しました。

弊社は多くのTableauダッシュボード作成支援実績がございますが、ご提案の際は今回ご紹介した項目を含め、お客様の各種ご状況・ご希望について弊社コンサルタントがヒアリングした上でご支援内容をご提案させていただいております。

ご相談いただく時点で今回ご紹介した要素が決まっていらっしゃらないお客様も多くいらっしゃいますので、お悩み、ご相談等ございましたらお気軽にお問い合わせください。

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上村栄

大手電機グループのICTサポートベンダーにてフィールドエンジニア・研修講師として従事。その後、店舗・商業施設等の人流解析を行うベンチャー企業にてプリセールス&設計・導入担当を経て、プリンシプルに入社。

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