私の前職が小売業ということもあり「気温が下がって、冬物が売れて売上が増加する」ということをよく目にしてきました。

このブログをご覧になっている方の身近なところでも同様の事例は存在します。たとえば、気温が上がりアイスが売れる、冷房機器が売れる。反対に寒くなっておでんが売れる、暖房機器が売れるといった形です。

これはWEBにも当てはまる部分があります。誰もがなんとなく肌感ではわかっている「気温とWEB検索トレンドの関係性」について、この記事ではデータを用いて見ていきます。さらにその関係性の活用方法についてもご紹介します。

ウェザーマーチャンダイジングとは

気温とWEBの検索トレンドを見る前に、ウェザーマーチャンダイジングをご存じでしょうか?

ウェザーマーチャンダイジングとは今後の気象予測と連動させた販売計画や在庫計画を立てることです。「今日は寒いから仕入れを増やす」といったことはなかなか難しいものです。それを気象予測を基に事前に準備し、需要の高まりを的確に捉えて売上増加につなげます。

気象庁でもこういった調査はされており、統計データとして公開されています。実際の販売の現場ではこのように統計データとして活用されていることがわかります。

参考:気象庁|気象情報を活用して気候の影響を軽減してみませんか?

気温と検索トレンド

気温とWEBの検索トレンドを調べるにあたり、下記のデータを参照しました。

  • 期間:2023年の冬シーズン(10月〜12月)
  • データ:東京の最高気温
  • 検索キーワード:ダウンジャケット

※最高気温は気象庁の過去の気象データ検索を、検索トレンドはGoogleトレンドを使用

2023年の気温と検索トレンド

上記のデータから気温と検索トレンドの変化を見ていきたいと思います。


※グラフは筆者作成

2023年のデータからは11月上旬に11.7℃まで気温が下がり、そのタイミングで検索トレンドが90以上まで急激に上昇しています。検索トレンドの最高値100になったのは、気温が9.5℃まで下がったタイミングとなっています。気温が急に低下したタイミングで検索トレンドが急上昇しているのが見て取れます。

昨年のデータからは、以下の2点が読み取れます。

  • 最高気温が12℃以下になったタイミングで検索トレンドが上昇
  • その後、最高気温が10℃程度まで低下したタイミングで検索トレンドが上昇

2022年の気温と検索トレンド

2022年のデータも合わせて見てみましょう。


※グラフは筆者作成

2022年も検索トレンドが急上昇したタイミングは、最高気温11.7℃のときとなっています。検索トレンドが最高値になった最高気温は10.1℃でした。このあたりは2023年と共通しています。

グラフ全体を見ると2023年より緩やかな検索トレンドの上昇となっており、気温も2023年11月上旬のような急激な低下はなく、緩やかになっています。

また検索トレンドが急上昇した時期が12月に入ってからと2023年と比べると12℃程度まで下がる時期がずれています。この動きは2023年と異なる点です。おそらく冬物の動きが2022年と2023年で異なっているのではないかと推測できます。

具体的には、ダウンジャケットの売上は2022年は12月がもっとも販売数が多かったが、2023年は11月がもっとも販売数が多いか12月と同数程度だったのではないかと推測できます。

気温と検索トレンドの活用方法

2022年、2023年共に最高気温が12℃以下になるタイミングで検索トレンドが急上昇しています。この傾向をどのように活用できるでしょうか。

考えられるのは気象予測を基に、最高気温が12℃以下になるタイミングまでにECサイトの冬物ページの整備をすることです。同時に、WEB広告の表示回数増加に備え、予算を増やせるよう調整しておくこともできます。

秋から冬に変わるタイミングは端境期でもあるため、事前に予算抑制することで効率的なCV獲得にもつながります。また広告文の準備や入稿は事前に行っておきましょう。

  • 活用方法① 気象予報を基にした予算調整
  • 活用方法② 気温で検索数や販売数が変化する商材・サービスに対する広告配信準備

まとめ

この記事では気温とWEB検索トレンドの関係性について、実際のデータを用いて確認しました。気温の上昇、低下に応じて検索数が増加し販売が増えるということであれば、これに合わせて販売戦略や広告戦略を練ることができます。

今回は冬物の代表としてダウンジャケットを取り上げましたが、各商品、商材によって検索が急増する気温が異なりますので、それぞれ調べてみるのが良いでしょう。気温によるユーザー行動の変化を把握しておくと、広告の配信準備や調整が可能になります。

気候はコントロールできない要素ではありますが、商材やサービスが動く要因になり得ます。ぜひそういった観点からも考察を深めてみてください。

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関根大輔

人材業界・生活用品メーカーの広告運用を担当。

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