ECサイト運営で、効率的に利益を拡大していくうえで重要な取り組みの1つとして「在庫管理」が挙げられます。自社で抱える在庫数や状態を正しく把握できなければ、思わぬ損失が発生しかねません。
- 在庫切れが頻繫に発生している…
- 在庫補充の優先順位付けができていない…
- 売上の機会損失、顧客の信頼失墜に…
この記事では、GA4によって在庫管理を効果的に実施するための方法を紹介します。
ECでの在庫管理=売上貢献度が可視化しやすい
ECサイトの収益は、実際に購入された結果のみが計測されます。しかし実際には「商品在庫があればユーザが購入していたにもかかわらず、在庫欠品のために発生しなかった取引き(=機会損失)」も存在します。
ECで在庫管理する利点は、機会損失が可視化しやすく、売上貢献度も直感的にわかることです。この特性を活かし機会損失の発生状況を把握することが、収益最大化を目指す上での第一歩と言えるでしょう。
在庫管理のジレンマ
在庫切れを防ぐことで機会損失を回避できますが、現実では以下のような難しさが伴います。
- 急激な需要増加による欠品
- 取り扱い商品数が多く、すべての商品を対応しきれない
- 在庫を無限に仕入れることは不可能
- 正確な需要を予測する必要がある
- 発注から仕入れまでのタイムラグが発生
これらすべてに “徹底した在庫管理” を実施しようとすると混乱を生じる可能性が高くなります。なにせ商品は山のようにあるのです。「在庫管理をはりきって始めてみたけれど、情報入力が終わらず運用できない」なんてことになりかねません。
そのうち、投入した時間に成果が見合わず放置されてしまい、ついには歴史の遺物に成り下がってしまうことも考えられます。こうなると人件費などの管理コストすべてが無駄になってしまいます。
そんなことにならないために、まずは優先順位の高いものを在庫管理していく必要があります。
「見られている」商品で在庫補充の優先順位をつける
需要を予測して、最適な在庫管理をすることは難しいですが、購買意欲を手軽に理解する手段のひとつとして、検索結果の活用が考えられます。
商品が見られたことだけでは、ユーザーがどの程度その商品を求めていたかが不明瞭です。しかし、商品を見たユーザーが商品を検索経由で見つけたとすると、それはなんらかの意図を持って商品を閲覧したはずです。
そのため、検索を経由して見られた商品の在庫情報を可視化することができれば、GA4で在庫情報と検索結果を掛け合わせた分析が可能となります。
GA4によって効率的に在庫管理する方法
GA4での実装コンセプト
まず、在庫管理でカギとなる欠品商品を特定するための情報が必要です。ところが、通常のeコマース実装ではそのようなディメンションがなく、カスタマイズが必要となります。
具体的には、商品情報(items)のパラメーターに対して、以下のような足りない情報を補うことで、興味関心の高い商品の在庫管理が可能となります。
- 商品が閲覧された際の在庫情報を送信
- 参照元のページ情報を送信
- 商品スコープのカスタムディメンションとして追加
興味関心が高い「検索経由」のデータで売上アップ!
GA4で在庫情報を計測することで、以下のような「検索結果を活用した在庫補充優先順位レポート」の作成が可能となります。
通常のアイテム名のディメンションに加えて、商品が閲覧された際の在庫情報と参照元のページ情報のディメンションを掛け合わせることで、検索経由で見られた商品の在庫状況がわかります。
また、在庫がある商品について、事前に在庫を分類しておくことで、商品ごとに在庫数を10未満、10-19、20-29、100以上といった単位で効果的に管理することも可能です。
検索経由による在庫補充の優先順位3選
在庫補充の優先順位を決定する上で、利益率や広告宣伝費がかかっている商品が考えられますが、有力な回答のひとつとして「欲しい人が多い商品を優先的に補充する」ことが理想的ではないでしょうか。
在庫補充優先順位レポートを活用することで、在庫補充の優先順位は以下のように整理されます。
優先順位1位:在庫なし商品&検索経由流入
在庫のない商品に検索経由で流入している場合には良好な検索結果を提供できていないため、最優先で在庫補充や在庫の補充予定を表示するなどの対策が必要でしょう。
優先順位2位:在庫なし商品&検索経由以外の流入
在庫のない商品に検索以外で流入している場合にも同様に、良好な検索結果を提供できていないため、在庫補充や在庫の補充予定を表示するなどの対策が必要でしょう。
また、在庫がある他の商品の提示や検索結果に在庫なし商品を表示しないなどの対策も必要でしょう。
優先順位3位:在庫が少ない商品&検索経由流入
在庫が少ない商品に検索経由で流入している場合は、適正在庫であり良好な検索結果を提供できていると考えられます。しかし欠品による機会損失を起こす可能性が高く、在庫の補充を検討する必要があるでしょう。
以上のように、在庫情報と検索結果を掛け合わせることで、在庫補充の優先度を的確に把握できるため、商品ごとに効果的な施策を展開できます。
まとめ
本記事では、ECサイトにおける在庫管理に焦点を当て、GA4を活用して機会損失を可視化し、効果的な在庫管理を実現する方法について紹介しました。
マーケティングデータに基づいて最適な在庫管理を実施することで、機会損失の低減につながるかもしれません。これを機に、新たな視点で在庫管理を見直し、収益最大化を目指してみてはいかがでしょうか。
プリンシプルでは今回ご紹介したGA4での実装やご提案も承っておりますので、ご興味がありましたらぜひお問い合わせください。