突然ですが、御社のWeb広告の成果に占めるリターゲティング広告の比率はどの程度でしょうか?

もし成果の多くがリターゲティング広告によるものであるならば、サードパーティークッキーの規制への対策は非常に優先度が高いものとなります。

本記事では、サードパーティークッキー規制への対策が必要な理由、そしてその具体的な対策を紹介します。

サードパーティークッキー規制対策が必要な理由

リターゲティング広告のCVに占める割合は少なくない?

冒頭の問いかけへの回答、御社の比率はどの程度でしたでしょうか?

ちなみに、弊社にて開催した関連ウェビナーで実施したアンケートでは、参加者約60名のうち半数近くの方が「CVに占めるリターゲティング広告の割合は25%以上」と回答されました。

サンプル数としては限定的ではございますが、筆者個人の肌感覚としてもWeb広告市場全体でそのような傾向があると感じています。

リターゲティング広告は使えなくなる!?

サードパーティクッキー規制により想定される影響で最もインパクトが大きいのが、リターゲティング広告だと考えます。ただし、リターゲティング広告自体が使えなくなるわけではなく、あくまでもリターゲティング広告のターゲティング精度が下がる、というのが正しい認識となります。

※CV計測の精度も影響を受けますが、代替手段もありますので、広告戦略への影響度という意味では、リターゲティング広告の方が大きいかと思います。

また、Googleではリマーケティング広告(Google版のリターゲティング広告)のサービス提供終了を案内しています。そのため、リターゲティング広告の中で、Googleのリマーケティング広告が占める割合が高い場合、その影響はかなり大きいといえます。

つまり、Web広告CVに占めるリターゲティング広告の比率が高い場合、その精度が下がる、あるいは使えなくなることで、Web広告戦略の大幅な見直しが求められる、ということです。これが、サードパーティークッキー規制への対策検討が必要な理由です。

では、具体的にどのような規制対策が考えられるのか見ていきましょう。

サードパーティークッキー規制への対策① 代替ターゲティング手法

対策の一つ目の方針としては、リターゲティングに代わるターゲティング手法、つまり代替案による対策です。いくつかの手法がありますが、主なものは以下の2つです。

  • ファーストパーティーデータの活用
  • アドテクノロジーの活用

代替手法1. ファーストパーティーデータの活用

まず考えられるのが、ファーストパーティーデータの活用です。

例えば、「自社が持つ顧客データ」がファーストパーティーデータに当たります。適切なプライバシーポリシーを元に生活者から利用許諾を得たデータであることが前提とはなりますが、メールアドレスなどの情報を広告プラットフォームにアップロードしてWeb上でターゲティングを行う手法があります。

主たるプラットフォームの広告メニューとして、上記が挙げられます。上記ヘルプページのみでは実装難しい場面もありますので、導入検討の際は弊社までご相談頂ければと思います。

代替手法2. アドテクノロジーの活用

ファーストパーティーデータ活用の応用パターンとして、アドテクノロジーの活用も検討できます。

例えば、国内DMP大手のIntimate Merger社では専用IDを軸に、サードパーティークッキーに頼らないターゲティング広告のメニューを用意しています。弊社でも導入サポートをしておりますので、ご興味ある方はお気軽にご相談くださいませ。

また、Facebookで投稿にエンゲージ(いいねやシェアなど)を行ったユーザーをターゲティングするのもファーストパーティーデータ活用の応用といえます。弊社では、本取り組みでリターゲティング広告経由のセッションの鈍化率を一定程度に抑えることに成功しました。

サードパーティークッキー規制への対策② 広告戦略の転換

二つ目の方針として、そもそもリターゲティングに頼らない広告戦略に転換するという考え方もあります。サードパーティークッキー規制によるリターゲティング広告の精度低下という現象は、見方を変えれば、現状の広告戦略を見直すチャンスであるともいえるからです。

フルファネル戦略への転換

戦略の転換として、マーケティングファネルのロウワー層(下層)だけではなく、ミドル・アッパー層へも意識を向けて施策展開をするフルファネル戦略へ舵を切ることが考えられます。

一般的にリターゲティング広告が効果を発揮するのはロウワーファネル(≒購買などのアクションに近い顕在層)向けの施策です。「サイトに訪問したが問合せをしなかった」「買い物かごに商品を入れたけど購入しなかった」というユーザーに広告を表示する=リターゲティングする。その結果として高い「実績」が挙がっていました。

このような顕在層向け施策の課題は、ターゲットのボリュームが限定的且つ新しい需要の換気に繋がらないという点です。つまり効率よく見込み客を獲得できる一方で、ビジネスの拡大には繋がりにくい、という側面があります。

これらの課題に対してフルファネル戦略へ舵を切ることは、より本質的な対策となるでしょう。

コンテクスチュアル広告

ミドル・アッパー層向けの具体的な施策として、コンテクスチュアル広告が上げられます。コンテクスチュアル広告とは、広告掲載先メディアのコンテキスト=文脈に基づいたターゲティングが可能な広告メニューのことです。

従来からGoogleのコンテンツマッチ広告などがありましたが、近年AIによる機械学習の精度の向上に伴い、様々なコンテクスチュアル広告のメニューが登場しています。

価値ベースでの運用も

コンテクスチュアル広告などメニューによるミドル・アッパーファネル向けの施策と並行して、ぜひ検討したいのが価値ベースの運用です。

従来ECサイトの広告では、売上を元にROASを指標とした価値ベースの運用が実行されています。一方で、B2Bなどのリード獲得系のマーケティングにおいては、資料請求や問合せなどの件数ベースの運用が一般的です。

リードの種類によって異なる1件あたりの「重み」を価値に換算して、ECサイトにおける広告運用のように価値を指標とした広告運用への戦略転換も対策として考えられます。

まとめ:より本質的な広告運用を

この記事では、サードパーティークッキー規制への対策が必要な理由、そしてその具体的な対策を紹介しました。

本文の中でも触れましたが、サードパーティークッキー規制によって従来の広告戦略が見直しを求められている現状は、より本質的な広告運用に戦略をシフトする絶好の好機ともいえます。

キーワードは、「フルファネル戦略」と「価値ベースの運用」です。弊社では、マーケティングDX支援パートナーとして、企業の戦略見直し~実行の支援を行っております。方針見直しを検討の際は、お問い合わせ頂ければ幸いです。

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早川雅人

デジタルマーケティングコンサルタントとして10年以上の経験。PPC広告において大規模案件運用の実績を持つ。GAIQ、Google広告資格、英検1級保持。

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